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烏と鴨と枯れ薄 [折々散歩]


「烏なぜ鳴くの」の歌い出しで、現代の子どもたちは「烏の勝手でしょ」と継ぎ、そこで歌は途切れてしまいます。かつて、テレビ番組『8時だョ!全員集合』の中で歌われた替え歌が、本家本元を駆逐して定着しているようです。その、伝播の勢いは、特定外来生物の繁殖力のごとくで、手がつけられません。
「烏なぜ鳴くの」という問いかけを、意外な答えでひらりとかわされて、ズコっと膝が砕けるところに、乾いた滑稽さがあって、子供受けしたのでしょう。しかつめらしい「真面目さ」を笑い飛ばすのは、子どもの特権でもありますから。
でも、つんと乙にすました退屈な「真面目さ」を、庶民的な生活感覚から笑う、たとえば落語のおかしみとは、大いに異なって、「話せばわかる」と説得する犬養翁を、「問答無用」と銃撃する青年将校の感性に、それは似ていないかと、危ぶまれます。

秋深き 隣は何をする人ぞ  芭蕉

旅路にあって、人恋しさとともに、隣人の様子に関心を向けるところに、芭蕉の人間味を感じたいところです。
 
鉄柱に烏の止まりけり秋の昼  (パクリ)
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ところで、「烏なぜ鳴くの」の本の歌はつぎのとおり。

「烏なぜ鳴くの」

作詞・野口雨情
作曲・本居長世
 
 
烏 なぜ啼くの
烏は 山に
可愛 七つの
子があるからよ
 
可愛可愛と
烏は啼くの
可愛可愛と
啼くんだよ
 
山の古巣に
いつて見て御覧
丸い目をした
いゝ子だよ


「可愛可愛」「カワイカワイ」と聞こえる鳴き声は、ハシブトガラスでしょうか?
「七つの子」とは、7羽の子なのか、7歳の子なのか、子どもの頃から疑問でした。

作曲の本居長世は、江戸時代の国学者本居宣長の末裔だそうです。宣長は「もののあはれ」を論じた碩学で、賀茂真淵の弟子として知られています。賀茂真淵も、「方丈記」を書いた鴨長明も、賀茂氏(加茂氏・鴨氏・加毛氏とも)の一族で、その祖先は、八咫烏に化身して神武天皇を導いたとされる賀茂建角身命だとか。
烏と鴨を、無理矢理つないでみました。
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作詞の野口雨情は「船頭小唄」の作詞者としても知られます。
船頭小唄(枯れすすき)
作詞   野口雨情
作曲   中山晋平
、、    1
おれは河原の枯れすすき
おなじお前も枯れすすき
どうせ二人はこの世では
花の咲かない枯れすすき


死ぬも生きるもねえお前
水の流れに何変わろ
おれもお前も利根川の
船の船頭で暮らそうよ


枯れた真菰に照らしてる
潮来出島のお月さん
わたしゃこれから利根川の
船の船頭で暮らすのよ


なぜに冷たい吹く風が
枯れたすすきの二人ゆえ
熱い涙の出たときは
汲んでおくれよお月さん


どうせ二人はこの世では
花の咲かない枯れすすき
水を枕に利根川の
船の船頭で暮らそうよ    

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