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青葉の笛に江戸川柳、そしてお次は蕎麦と鳩 [折々散歩]

「誕生寺ツアー」の記事の追補です。

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御影堂全景

 

 

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正面から見た御影堂
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御影堂の屋根の宝珠は七不思議の一つ
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方丈庭園
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宝物館に収められた涅槃仏
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岡山県久米南町の法然の出生地に、「誕生寺」を建立した蓮生=俗名熊谷次郎直実は、源平の合戦の際、息子の小次郎と同年代と見える公達平敦盛を、心ならずも手に掛けた悔悟から、出家して法然の弟子になったと伝えられます。
その、熊谷次郎直実と敦盛の逸話を読み込んだ江戸川柳のいくつかを、「江戸川柳で読む平家物語 (文春新書)」(阿部達二著 文春新書)から引用してみます。

江戸川柳で読む平家物語 (文春新書)

江戸川柳で読む平家物語 (文春新書)

  • 作者: 阿部 達二
  • 出版社/メーカー: 文藝春秋
  • 発売日: 2000/08
  • メディア: 新書

 

 

敦盛も討たるるころが声がわり        「武玉川(むたまがわ)」5篇
敦盛は数え年で一六・七歳の少年でした。今でいう中学生か高校低学年でしょう。


世に青葉残し二八の花は散り  「俳風柳多留(はいふうやなぎだる)」52篇


二八は、九九で、十六を意味します。
洒落っ気で九九を取り入れた表現は、古典文学にしばしば見られる遊び心です。
たとえば「万葉集」は、日本語を漢字のみで表記した作品ですが、そのために涙ぐましい工夫が凝らされています。

チョー有名なクイズネタに「山上復有山」をどう読む?というのがあります。
たとえば、笠金村(かさのかなむら)の長歌に、

毎見 恋者雖益 色二山上復有山者一可知美  (巻九。一七八七)

とあります。

これは、「見るごとに恋はまされど 色に出でば ひと知りぬべみ」と読むそうです。
【解釈】
見るたびに恋しい思いはつのるけれども 恋心が表面にでちゃうので 人が知ってしまいそうなので、、、、

 「山上復有山」は、山の上に山がある、すなわち「出」という漢字を戯れ書きしたものなのです。このような頓知に寄る遊び書きを、「戯書」(ぎしょ)といいます。いわゆる万葉仮名のバラエティの一環と言えるでしょう。
では次の戯書の読み方は?

二二
重二
並二

いずれも二が二回で「シ」と読ませます。

では、十六は?
そのとおり、「シシ」と読ませます。

というわけで、二八が十六であることは、おなじみの表現といえます。

そして、「青葉」とは、敦盛が奏した笛の名と伝えられます。前述のように、『平家物語』では、「さ枝」という名が記されていますが、この事情について、前掲の「江戸川柳で読む平家物語」にはこうあります。

「謡曲「敦盛」では、蓮生坊が戦後、一の谷を訪れると草刈りの男たちが笛を吹きながらやってきて、互いに笛の話に興ずる.その中に「小枝蝉折さまざまに笛の名は多けれども、草刈りの吹く笛ならばこれも名は青葉の笛と思し召せ」とある。この謡曲の詞章から出たものと思われる。

文部省唱歌「青葉の笛」の一番は、これをもとにしています。
須佐卓郎さんのサイト「たくろうの名曲玉手箱」からコピーさせて戴き、紹介します。なお、このページでは、懐かしい歌を、MIDIで聴くことができます。

文部省唱歌 青葉の笛

作詞 大和田建樹 (1857~1910
 作曲 田村虎蔵  (1873~1943)
一の谷の 軍(いくさ)破れ
討たれし平家の 公達あわれ
暁寒き 須磨の嵐に
聞こえしはこれか 青葉の笛

更くる夜半に 門(かど)を敲(たた)き
わが師に託せし 言の葉あわれ
今わの際(きわ)まで 持ちし箙(えびら)に
残れるは「花や 今宵」の歌

「行き暮れて 木下蔭を 宿とせば
      花や今宵の あるじならまじ」

一番は平敦盛(あつもり)を歌った詞
 鵯越えで有名な一の谷の合戦で、海上に逃れようとした敦盛は、熊谷直実に呼び戻された。
 敦盛を組敷き首を刎ねようとした直実は、14歳の敦盛に驚き逃がそうとしたが、敦盛は断りそのまま討たれた。
 その時腰に携えていた笛「名笛小枝」を歌ったもの。

二番は平忠度(ただのり)(薩摩守で無賃乗車の代名詞として使われている)平家都落ちの時、途中から引き返して、和歌の師藤原俊成に詠草一巻を預け立ち去った。
 俊成は鎌倉幕府に遠慮して読み人知らずとして「千載集」に下記の和歌を載せている。

さざ浪や 志賀の都は 荒れにしを
        昔ながらの 山桜かな

文部省唱歌集~故郷

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  • アーティスト:
  • 出版社/メーカー: カメラータ・トウキョウ
  • 発売日: 1996/11/21
  • メディア: CD

 

NHK名曲アルバム 赤とんぼ~美しい日本の歌 名曲30選

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  • アーティスト:
  • 出版社/メーカー: キングレコード
  • 発売日: 2008/09/10
  • メディア: CD

哀調青葉の笛/ふるさと慕情

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  • アーティスト:
  • 出版社/メーカー: 日本伝統文化振興財団
  • 発売日: 2002/11/10
  • メディア: カセット

青葉の笛 (日本の物語絵本)

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  • 作者: あまん きみこ
  • 出版社/メーカー: ポプラ社
  • 発売日: 2007/01
  • メディア: 大型本


江戸川柳で読む平家物語 (文春新書)」からもう一句。

二八と聞いて敦盛を打ちかねる    「俳風柳多留(はいふうやなぎだる)」57篇

二八は、二八蕎麦。蕎麦粉八割、つなぎ二割の割合。蕎麦粉の含有率が高いほど蕎麦打ちの難度が上がります。

 「敦盛」は、「熱盛り」と掛けていて、「打つ」は「蕎麦」の縁語です。一六歳の少年と聞いて敦盛を討ちかねた、という表の意味の裏に、二八蕎麦の熱盛りを打つのが難しいという洒落を隠した言葉遊びです。


蓮生が馬上朝日が背へ当たり   「俳風柳多留(はいふうやなぎだる)」82篇
 
蓮生(俗名熊谷直実)は、信仰心が篤く、決して西に背を向けなかったそうです。もちろん、西には仏の住む西方浄土があるからです。蓮生は、東に行くときは後ろ向きに馬に乗ったとか。
 
蓮生の馬子尻へ来て吸付ける   「俳風柳多留(はいふうやなぎだる)」153篇
 
蓮生が乗る馬の馬子(馬引き)は、馬の後ろにやってきて(蓮生の正面にやってきて)、タバコの火を借りるというのです。
ちなみに、 京都寺町と東京銀座に店舗を持ち、お香や文具のお店として知られる鳩居堂(きゅうきょどう)は、熊谷直実から数えて二〇代目の熊谷直心が江戸時代に創立して、今日に至るといいます。鳩居堂のホームページにはこうあります。
屋号は儒学者・室鳩巣(むろきゅうそう)※2の命名です。由来は中国の古い時代の民謡集『詩経』の召南の篇にある「維鵲有巣、維鳩居之」で、カササギの巣に託卵する鳩に、「店はお客様のもの」という謙譲の意を込めたものです。また、室鳩巣の雅号と熊谷家の家紋「向かい鳩」にちなんだ屋号でもあります。
このページやこのページを参照。


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鳩居堂の日本のしきたり 豆知識

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  • 出版社/メーカー: 鳩居堂製造株式会社 〒604-8091 京都府京都市中京区寺町姉小路上ル 075-221-5861
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