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私の病気自慢 再び2007年問題 [健康]

今日は、一日雨で、散歩も撮影もできませんでした。

昨日行きそびれた実家に、野菜をもらいに行ってきました。

氷雨に濡れる南天の実。

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かろうじて枝に残る紅葉。
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木瓜の花が咲いていました。
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さて、先日の日曜日に、定年退職する方々に退職前後の体験を話すという機会を与えられ、準備している中で引っ張り出した資料がありました。
結局、紹介しないままに終わりましたが、我ながら思い入れのある文章ですので、備忘的な意味を込めて掲載させて戴きます。

今年の3月 退職まぎわに、機会を与えられて生徒に話した話の抜粋です。


おととい後楽園を散歩していましたら,去年の卒業生にバッタリ出会い、声を掛けてくれました。うれしい「縁」を感じました。
後楽園は,桜のつぼみがふくらみはじめた状態でしたが、色とりどりの梅や椿が咲きそろい、タンポポやナズナやオオイヌノフグリといった野の花が、春を謳歌していました。
ふと、37年前の同じような春の日、友人と後楽園を訪れたことを思い出しました。

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 私は、その春、新採用でT高校へ赴任することになったので、学生時代を過ごしたK県から,T市の下宿先まで引っ越し荷物を運ぶ必要がありました。
私は当時、運転免許も車も持っていなかったので、借り物のおんぼろワゴン車を友人に運転してもらって,T市へ向かう途中、後楽園で一休みしたのでした。
まだ瀬戸大橋も高速道路もない頃で、大歩危小歩危などという有名な難所を越え、宇高フェリーを使っての長い旅でした。友人は、岡山には用事もゆかりもなかったのですが、友情を発揮して,ドライブがてら私の引っ越しの手伝いを引き受けてくれたのでした。大原美術館にも寄ったりしながら、,T市まで私を送り届けてくれて、彼は、K県に引き返しました。教師生活のはじまりから、こうして人のお世話になり続けて37年経ちました。
それから37年間、教え子と同僚になったり、教え子の子どもがまた教え子になる例も、ままあり、不思議な巡り合わせを感じます。私はおととい、しみじみ「縁」という言葉を想いながら後楽園を散歩しました。
さて、その後楽園を散歩しながら、もう一つ気づいたことがあります。私は授業で松尾芭蕉の号が、植物の名前だと説明したついでに、後楽園に芭蕉が植えてあるエリアがあったはずだと言いました。しかし、それは勘違いで、後楽園に植えてあったのはソテツでした。お詫びして訂正しておきます。
その芭蕉の「奥の細道」に「平泉」という章があり、授業では省略しましたが,その冒頭は、「三代の栄耀一睡のうちにして、大門の跡は一里こなたにあり」という文で始まります。
奥州平泉は、今の岩手県にあたります。藤原清衡、基衡、秀衡の三代にわたって奥州藤原文化と呼ばれる黄金の文化を築いたのですが、源義経をかばったために頼朝の鎌倉幕府に滅ぼされます。栄耀栄華も、うたた寝の間に見る夢のようにはかないというのです。
この元ネタは漢文にあって、「邯鄲の夢」[盧生の夢]「黄梁一炊の夢」等たくさんの故事成語の元になっています。
私の今の心境を一言であらわそうと思うと、これらの故事成語があてはまりそうです。これらは、人の営みは「はかなくむなしい」という点にウエイトがあるのですが、私の場合はそうではなくて、「あっけないほど短い」という点にウエイトがかかります。
私は教師として,これまで、「悔いのないようにがんばれ」というメッセージを常に送ってきたと思います。次の文章を引用したこともありました。
 岩波文庫の訳で紹介します。
「人間にあって、もっとも大切なもの──それは生命だ。それは一度だけしかあたえられない。だからあてもなく過ぎ去った歳月にいたましい思いでを痛めることのないように、いやしく、くだらなかった過去に、恥で身を焼くことないように、また死にのぞんで、生涯を一貫して、持てるすべての力が、世の中でもっとも美しいもの──人類解放のたたかいのために捧げられたと言いきれるように、この生命を生き抜かなければならない。」
ロシアの革命運動に参加した作家であるオストロフスキーが、作者の分身ともいえるパーベル・コルチャーギンという登場人物に語らせている言葉です。
これにはさらに続きがあって、「しかも急いで生きなければならない。いつ偶然のアクシデントによって、突然生命が絶たれることがあるかもしれないからだ」という趣旨のことを付け加えています。
実は、近年私は、「がんばれ」という言葉を封印して、滅多に使わないようにしてきましたし、さっきのオストロフスキーの言葉も,長くお蔵入りさせていました。
というのも、私の長男が高校時代、不登校の長いトンネルに迷い込み、親子共々非常に苦しい経験をしたことと、前任校である夜間定時制のS高校でも、多くの不登校経験者と接する中で、「がんばれ」という言葉が、時に人を追い詰め、責めたて、ひどく傷つける場合があることに気づいたことも、きっかけでした。
しかし、今年は最後だからという思い入れからか、授業などでも例年以上にがんばれメッセージを発する機会が増えているかもしれません。そこを汲み取って受け止めてくれたらうれしいと思います。
さて、授業に皆さんには、4月の最初の自己紹介で話しましたが、2007年の暮れに、私は、脳動脈瘤という病気の手術を受けました。
ボールペンの先ほどの太さの脳の血管が直径3センチほどに、タマゴを飲んだヘビのようにふくれて瘤になって、他の組織や神経を圧迫するのです。何年か経過観察するうちにそのスピードが速まってきたので、手術しましょうということで、当時担任していた3年生の推薦入試の時期でしたが、急いで推薦書や必要出願書類は作り上げて、緊急に入院手術ということになりました。クラスの生徒が受験準備のさなかに折ってくれた千羽鶴,病室に飾って励みにしました。
心のこもった鶴を見て、看護師さんたちもしきりに感心してくれました。そんな彼らの卒業式にも出席できないまま、お別れしてしまい、心苦しい思いが残っています。

初めての入院手術が命がけ
大手術控えて心境まとまらず
これきりと言われちゃ困る命かな
『まあだだよ』『まだまだだよ』と口ずさみ



川柳風に心境を詠んでみました。最後の、「まあだだよ」というのは、夏目漱石の弟子で岡山出身の文学者内田百間をモデルにして、「七人の侍」で知られる世界の黒沢明監督が作った映画の題名です。「もういいかい」とあの世からのお迎えが呼びかけても「まあだだよ」と返事をする,という軽妙洒脱な生き方が、愉快に描かれています。私は、入院中、先ほどのオストロフスキーの文章を思い浮かべる一方で、この映画にあやかって、声を張り上げて「まあだだよ」を唱え続けたいと思ったことでした。


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何が映画か―「七人の侍」と「まあだだよ」をめぐって

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  • 作者: 黒澤 明
  • 出版社/メーカー: スタジオジブリ
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ノラや―内田百けん集成〈9〉  ちくま文庫

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幸いに,命をとりとめて、こうして退職の時を迎えることが出来るのは、暖かく励まし支えて下さった同僚の先生方や、素直で優しくひたむきな生徒の皆さんのおかげと感謝しています。改めて「ありがとう」を申し上げます。
今 こうして、夢のように過ぎ去った教師生活をふり返って、「悔いはないか」と自問しても、なかなかYESとは答えられないことを恥ずかしく思いながら、今も 「まあだだよ」と繰り返しています。私自身「がんばろう,悔いなく生きよう」と思いながら、「だけどそれが難しいんだよね」としょげることの繰り返しでし た。でも、人生の味わいは、その葛藤の中にあるのかもしれません。相田みつをさんなら、「だって、人間だもの」といってくれるかもしれません。

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にんげんだもの 逢 (角川文庫)

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  • 作者: 相田 みつを
  • 出版社/メーカー: 角川書店
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100点満点ではないけれど、納得の出来る教師生活だったと思います。

めでたさも中くらいなりおらが春 (小林一茶)


昨日準備していたお話はここまででした

今日ここで思いついて、一点訂正させてもらいます。

 

めでたさもマクシマムなりおらが春


おあとがよろしいようで。(2013.3月)

 


 

後日談ですが、37年前に私と引っ越し荷物をワゴン車に乗せて運んでくれた友人と、今年になって、ブログ上で、そしてfacebook上で、再会することができました。

彼の専攻は物理学でしたから、科学の波を乗りこなしていることは自然でしょうが、生粋の「文系」だった私が、CPUだのLANだの、インターネットだので遊んでいることは、意外だったようです。なにしろ、当時の勢いでは、自動車運転免許さえ、下手すると一生取りそうになかったですものね。

 



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nakano

kazsanお元気ですか?ブログ拝見しています。2つも職場が一緒でしたので、読んでいて胸が痛くなりました。迷惑のかけっぱなしで、心苦しく思っています。これからも、病気自慢などせず、お元気でお願いします。いつまでも、人に折り鶴を折るような人を育ててゆきたいと思います。灰谷健次郎に感動して、この道に入った気がしてます。
閑話休題。
今の私は写真に興味があります。オリンパスPENを愛器にしています。明るい単焦点のレンズで、ブログにあるような花を撮ってゆきたいのです。
by nakano (2014-01-27 22:49) 

kaz

nakano 様
温かいメッセージ、ありがとうございます。
「兎の眼」の人間観の広さ、深さ、優しさは、いつも心に留めたいです。
カメラの話題、昔も交わしたことがありましたね。(オートフォーカスフィルムカメラがはやり始めた頃。)
花の写真、私も、頑張ってみます。
by kaz (2014-01-29 21:29) 

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