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われもまた たずねあてたり とらつぐみ [折々散歩]

M先輩から、珍鳥の情報をメールでいただきました。写真も添えてありました。
これまで、名前は知っているが見たことのない「トラツグミ」です。
場所は、敢えて伏せますが、県内某所で、ポイントの説明まで添付して下さいました。私も、行ったことのある場所でしたので、ひょっとして見つけられるかも知れないと思うと、今朝は気温は低いが風もない穏やかな天気でしたので、ついつい足を向けてしまいました。見つけられなくてもともと、散歩の歩数を稼ごうと、心の逃げ道は用意して。
案の定、2時間ほど歩いても、撮影できたのは、シジュウカラ、ミヤマホオジロ、ジョウビタキといった鳥ばかり。

 ジョウビタキ オス

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jobi05.jpg

 

ジョウビタキ メス

P1162254.JPG
 
ミヤマホオジロ

 

 miyamahojiro02.jpg

シジュウカラ

 sijukara01.jpg

 

でも、これを写しただけでも、来たかいがあったと、納得し、あきらめかけて帰りかけた頃、先客の二人のカメラマンの方が、手招きしてくださいました。
言葉を交わさずとも、レンズの方角を見ると、いました!
暗くて、遠くて、コンディションは良くなかったけれど、とりあえず、証拠写真だけは残しておきます。



toratugumi.jpg

 


トラツグミというと、古来「ぬえ鳥」とも呼ばれ、平家物語にも、源頼政のヌエ退治の話が出てきます。

「デジタル大辞泉」では次のように説明されています。
ぬえ【×鵼/×鵺】
    1 トラツグミの別名。
    2 源頼政が退治したという、伝説上の妖力をもった怪獣。頭は猿、胴は狸、尾は蛇、手足は虎、声はトラツグミに似るという。
    3 つかみどころがなくて、正体のはっきりしない人物・物事。「政界の―」

トラツグミは、夜中に、口笛のような「ヒョー、ヒョー」という声で鳴くそうです。
「鵺の鳴く夜は恐ろしい」というのは、横溝正史原作の映画「悪霊島」のキャッチ・フレーズでした。

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  • 作者: 横溝 正史
  • 出版社/メーカー: 角川書店(角川グループパブリッシング)
  • 発売日: 1981/05/15
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山上憶良の『貧窮問答歌』(万葉集)では、その、か細い鳴き声を「ぬえ鳥の のどよひ居るに」と表現しています。
『貧窮問答歌』は、作者=山上憶良自身を投影した一人の貧者が、よりウルトラ・スーパー・ハード・スペシャルな極貧者に問いかけ、極貧者がそれに答えるという設定の長歌と、付属の短歌からなります。

『貧窮問答歌』 山上憶良
  風雑(まじ)り 雨降る夜(よ)の 雨雑り 雪降る夜は すべもなく 寒くしあれば 堅塩を 取りつづしろひ 糟湯酒(かすゆさけ) うち啜(すす)ろひ て 咳(しはぶ)かひ 鼻びしびしに  しかとあらぬ 髭掻き撫でて 吾(あれ)をおきて 人はあらじと  誇ろへど 寒くしあれば 麻衾(あさふすま)  引き被(かがふ)り  布肩衣(ぬのかたきぬ) ありのことごと 着襲(そ)へども 寒き夜すらを  我よりも 貧しき人の 父母は 飢ゑ寒からむ   妻子(めこ)どもは 吟(によ)び泣くらむ   この時は いかにしつつか 汝が世は渡る

 天地(あめつち)は 広しといへど 吾(あ) が為は 狭(さ)くやなりぬる  日月は 明(あか)しといへど 吾(あ)が為は 照りやたまはぬ  人皆か 吾(あ)のみやしかる わくらばに 人とは あるを  人並に 吾(あれ)も作るを 綿も無き 布肩衣の  海松(みる)のごと 乱(わわ)け垂(さが)れる かかふのみ 肩に打ち掛け  伏廬(ふ せいほ)の 曲廬(まげいほ)の内に 直土(ひたつち)に 藁解き敷きて  父母は 枕の方に 妻子どもは 足(あと)の方に  囲み居て 憂へ吟(さま よ)ひ 竈には 火気(けぶり)吹き立てず  甑(こしき)には 蜘蛛の巣かきて 飯(いひ)炊(かし)く ことも忘れて
  ぬえ鳥の のどよひ居るに いとのきて 短き物を  端切ると 云へるが如く 笞杖(しもと)執る 里長(さとをさ)が声は  寝屋処(ねやど)まで 来立ち呼ばひぬ 
かくばかり すべなきものか 世間(よのなか)の道(892)
短歌
  世間を憂しと恥(やさ)しと思へども飛び立ちかねつ鳥にしあらねば(893)


例のごとく、地方言葉に訳してみます。

【地方語訳】
《貧者の問い》
風 交じりの雨が降る夜で、雨交じりの雪が降る夜はどねーにもしようがのぅ寒いけぇ、固ぇ塩をなめちゃあ糟湯酒(かすゆざけ)をすすりすすりして、咳ぅしちゃ あ鼻水ぅ垂らぇて、はっきりありもせん髭をなでて、「ワイをおいてマシな人間はおるまぁ。と自慢はしてみるんじゃが、寒うてしょうがねぇけぇ,麻のふとん をひっかぶり、ぼろ着をあるだけ重ね着しても、寒い夜じゃのに、ワイよりも貧しい人の 父母は飢え凍えよぅるじゃろう。妻や子どもらぁは 力無ぅ泣きよぉ るだろうに。この時ぁ、あんたらぁどねぇして暮らすんかのぉ。

《極貧者の答え》
 天地は広いゆうけど、わしにゃぁ狭うなってしも うた。お日さんやお月さんは明けぇというけど、わしのためには照らしちゃあつかぁさらんのかのお。ほかの人もみなそうなんじゃろうか。わしだけなんじゃろ うか。人として生まれ、人並みに働きょうるのに、綿も入っとらん海松(ぬるぬるの海藻)みてぇにぼろぼろになって垂れ下がった衣ばぁ肩にかけて、つぶれか けた、曲がった家の中には、地べたにわらをばらかして敷いて、父母は枕の方に、妻子は足の方に、ワシを中に囲んで座って嘆き悲しみよんじゃ。かまどには煙 も立たず、炊飯器にゃあにクモの巣がかかって、飯を炊くことも忘れて、ぬえ鳥のようにかぼそい声を出してうめきょうるとこへ、「短い物の端ぅ切る」ゆうよ うに、鞭を持った里長の声が、寝床にまで大声を出ぇて何回も呼びかけてくるんじゃ。
こねぇにもどねぇしようようも無ぇもんじゃろうかのぉ、世の中いうもんは。
短歌
この世の中を「つらいのぉ」、「身もやせるようで生きるのも恥ずかしいのぉ、嫌じゃのぉ」と思うけど、飛んで往んでしまうわけにもいかんのんじゃ、わしぁ鳥じゃぁねえけぇ。 

「生活派歌人」、「社会派歌人」、「人道派歌人」としての山上憶良の面目躍如たる代表作で、心に残る名作といえるでしょう。


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コメント 3

美美

たくさんの冬鳥が見れていい場所ですね^^
羨ましいです。
by 美美 (2014-01-16 23:23) 

yamagara22

ジョウビタキ♂、トラツグミいいですね。今年は出会いがありません。
by yamagara22 (2014-01-17 18:57) 

kaz

訪問ありがとうございます。
美美様
今年は、鳥が少ないと嘆いておられる方もありましたが、私としては、それなりの出会いがあって、嬉しく思っています。確かに、田舎であるということのメリットは感じています。

yamagara22様
トラツグミは、初めての出会いでした。ジョウビタキには、今年はよく出会えて嬉しいです。
by kaz (2014-01-17 19:07) 

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