東風(こち)吹いて白い蕾紅い蕾と春兆(きざ)す [文学雑話]
1月7日撮影の後楽園の写真をストックしたままでした。
新春の青空の下、岡山城も後楽園も、静かなたたずまいを見せていました。
二週間あまり経って、昨日散歩した岡山市後楽園は、梅林の梅が、ようやくわずかにほころび始めていました。
日本の古典文学で「花」といえば桜をさすのが伝統ですが、それは平安時代以降のことのようで、万葉の時代は、むしろ梅が愛されていたようです。梅は、中国伝来の植物で、当時その花を愛でることができたのは、文化的教養的環境において、相当に恵まれていた立場の人だったでしょう。そんな梅の花を愛でるということは、一種のステータスだったかも知れません。
おなじみの旅人も、多く梅の歌を残しています。
【解釈】真っ白な雪の色を奪ったように真っ白に咲いている梅の花!今がまっさかりだよ。(一緒に)みてくれるような人があったらなあ。
【解釈】私の庭園に梅の花が散る。真っ白にはらはらと、天から雪が流れて来るようだよ。
ついでに、旅人の子、家持(やかもち)の歌も一首。
【解釈】真っ白な雪に月光が照り映えているこんな夜は、梅の花を折って贈ってあげるような、愛しい娘がいたらいいのになあ。
大伴旅人が太宰帥(太宰府の長官)であったことは、すでに話題にしました。
時代は下りますが、平安時代醍醐天皇の時代、右大臣であった菅原道真が、左大臣藤原時平の讒言により、太宰府に左遷されます。
その時詠んだとされる歌が、拾遺和歌集に収められています。
『拾遺和歌集』巻第十六 雑春
流され侍りける時、家の梅の花を見侍て
東風(こち)吹かば匂(にほ)ひをこせよ梅の花 主(あるぢ)なしとて春を忘るな
【解釈】(太宰府に)流されました時、家の梅の花を見まして(詠んだ歌)
(没後)太政大臣の官位を送られた菅原道真
春を告げる東風がもし吹いたならば、私の庭の梅の花よ。遠く離れた九州太宰府まで、そのかぐわしい香りを送ってよこしておくれ!!主人である私が、たとえ京のこの屋敷にいなくても決して春を忘れないでくれよ。
この歌は、その他にも、代表的なものだけでも、「拾遺和歌集」、「大鏡」、「宝物集」「 北野天神縁起」、「源平盛衰記 」、「十訓抄」、「古今著聞集」、「太平記」など、 いくつもの書物に採られています。下の句の、「主(あるぢ)なしとて春を忘るな」が「主(あるぢ)なしとて春な忘れそ」という表現になっているものもあります。「な~そ」は、禁止をあらわします。(入試頻出!)
ちなみに、夏目漱石「吾輩は猫である」には、苦沙弥先生の門人で理学士の水島寒月(みずしま かんげつ=寺田寅彦がモデルとされます。)の友人として、詩人の越智東風という、まじめだけれど風変わりな人物が登場します。「東風」という号は、本人によると「こち」と詠むのだそうで、姓名合わせると「おちこち」となります。これは「遠近(をちこち)」という古語に引っかけた洒落だと気づけば、「クスッ」っと笑えます。かの大漱石にしてこの寒いオヤジギャグかと、ギャルたちのケーベツの眼差しを覚悟する必要があるかも知れませんが。
デジタル大辞泉」によると次のとおりです。
1 遠い所と近い所。あちらこちら。
「鶏の声も―に聞こえる」〈藤村・千曲川のスケッチ〉
2 将来と現在。昔と今。
おちこちびと【遠近人】
あちこちの人。
「信濃(しなの)なる浅間の嶽(たけ)に立つけぶり―の見やはとがめぬ」〈伊勢・八〉
さて、季節は各種入試のまっただ中。受験生諸君は、キットカットをはじめ色々な合格グッズによりどころを求め、
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にわか信心を起こして神社仏閣に参詣したりするのでしょうが、なんといっても老舗は、「学問の神様」=天神様=天満宮ですね。太宰府天満宮と京都の北野天満宮に、山口の防府天満宮または大阪天満宮を合わせて、日本三大天神と呼ばれます。
道真が優れた学者であったことから天神は「学問の神様」とされ、受験にも御利益ありと考えられるようになりました。また、道真が梅を愛したことから、太宰府の名物として梅が枝餅が代表的なお土産となっています。
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この梅が枝餅にはこんないわれがあるそうです。
菅原道真が大宰府へ権帥として左遷され悄然としていた時に、安楽寺の門前で老婆が餅を
売っていた。その老婆が元気を出して欲しいと道真に餅を供し、その餅が道真の好物になった。後に道真の死後、老婆が餅に梅の枝を添えて墓前に供えたのが始
まりとされている。別の説では、菅原道真が左遷直後軟禁状態で、食事もままならなかったおり、老婆が道真が軟禁されていた部屋の格子ごしに餅を差し入れす
る際、手では届かないため梅の枝の先に刺して差し入れたというのが由来とされており、絵巻にものこっている。(wikipediaより引用)
また、道長にまつわる「天神信仰」には、次のようないわれがあるようです。これもwikiによります。
藤原時平の陰謀によって大臣の地位を追われ、大宰府へ左遷された道真は失意のうちに没した。彼の死後、疫病がはやり、日照りが続き、また醍醐天皇の皇子が相
次いで病死した。さらには清涼殿が落雷を受け多くの死傷者が出た(清涼殿落雷事件)。これらが道真の祟りだと恐れた朝廷は、道真の罪を赦すと共に贈位を
行った。
清涼殿落雷の事件から道真の怨霊は雷神と結びつけられた。元々京都の北野の地には火雷天神という地主神が祀られており、朝廷はここに北野
天満宮を建立して道真の祟りを鎮めようとした(御霊信仰も参照のこと)。道真が亡くなった太宰府にも墓所の地に安楽寺天満宮、のちの太宰府天満宮が建立さ
れた。また、949年には難波京の西北の鎮めとされた大将軍社前に一夜にして七本の松が生えたという話により、勅命により大阪天満宮(天満天神)が建立さ
れた。987年には「北野天満宮大神」の神号が下された。また、天満大自在天神、日本太政威徳天などとも呼ばれ、恐ろしい怨霊として恐れられた。
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ご訪問&nice ありがとうございます。
後楽園には一昨年に行きました。
茶屋で食べたままかり寿司がとても美味しかったです。
by johncomeback (2014-01-26 23:47)
johncomeback様
ありがとうございます。
茶屋での甘酒、抹茶等も、くつろげます。
ままかりは、瀬戸内海ではどっさりとれる雑魚で、小骨が多いので調理が面倒に思えますが、我が家ではそのまま焼いて酢漬けにしたり、油で揚げて南蛮漬けにしたりすると、手間いらずで美味しく沢山食べられます。
またの機会に、ご賞味ください。
by kaz (2014-01-27 08:06)