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西行も浮かれこそすれ花爛漫 [折々散歩]

 自宅近くの西行の歌碑は、桜に囲まれ、孫と一緒の花見散歩を楽しんでいます。

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松岡正剛さんによる「千夜千冊」というブログは、一日一冊の本を紹介し、しかも同じ本は二度紹介することがないという、読み応え十分な、ボルテージの高いブログです。
その2003年4月14日の記事が、通算753夜で、西行の『山家集』を紹介しています。

無断で、一部分を引用させていただきます。

西行が自選して俊成に贈ったという『山家心中集』は、その書名を誰がつけたのかはまだわかっていないのだが、俊成の筆と推定されている冊子の表題の下には「花月集ともいふべし」と俊成が書いている。花と月、西行はついついそういう歌ばかりを俊成に選んだのである。
  芭蕉は『西行上人像讃』で、「捨てはてて身はなきものとおもへども雪のふる日はさぶくこそあれ」という西行の雪の歌に付けて、「花のふる日は浮かれこそすれ」と詠んでみせた。まさに芭蕉の言うとおり、西行は花にばかりあけくれた。西行がいなかったなら、日本人がこれほど桜に狂うことはなかったと言いたくな るほどである。
 ぼくはあまり好きな歌ではないのだが、「ねがはくは花の下にて春死なんその如月の望月のころ」という有名な歌が、西行のよほどの桜好きをあらわしている。
 それほどに西行は桜を詠んだ。年々歳々、桜の季がくるたびに、西行は乙女のように花と戯れ、翁のように花の散るのを惜しんでいる。

 そのくらい桜を詠んだ西行だから、咲き初めてから花が散り、ついに葉桜にいたって若葉で覆われるまで、ほとんどどんな姿の桜も詠んでいるのだが、では、そのなかでぼくがどんな歌の花に心を動かされるかというと、これは毎年、決まっている。
 花を想って花から離れられずにいるのに、花のほうは今年も容赦なく去っていくという消息を詠んだ歌こそが、やはり極上だ。ぼくはいつも、そういう歌に名状しがたい感情を揺さぶられ、突き上げられ、そこにのみ行方知らずの消息をおぼえてきた。

散るを見て帰る心や桜花むかしに変はるしるしなるらむ

いざ今年散れと桜を語らはむ中々さらば風や惜しむと

 これが西行の「哀惜」というものである。「哀切」というものである。「惜しむ」ということだ。
 哀しくて惜しむのではなく、惜しむことが哀しむことである。これは「惜別」という言葉が別れを哀しむのではなく別れを惜しんでいることを意味していることをおもえば、多少は理解しやすいにちがいない。
 こうして西行の花は、「花みればそのいはれとはなけれども心のうちぞ苦しかりける」というものになっていった。

 そもそも西行にとっての桜は、この歌の裡にある。桜を見るだけで、べつだん理由(いはれ)などはっきりしているわけではないのに、なんだか心の中が苦しくなってくる。そう詠んだ歌である。その「いはれなき切実」こそが西行の花の奥にある。
  西行にとって「惜しむ」とは、この「いはれなき切実」を唐突に思いつくことである。それが花に結びつく。月に結びつく。花鳥風月と雪月花がここに作動す る。なかで花こそは、あまりにも陽気で、あまりにも短命で、あまりにも唐突な、人知を見捨てる「いはれなき切実」なのだ。

  自宅近くにある西行の歌碑を、文学散歩のコースの一つに選び、案内してくれた友人Hさんが、去年の四月に亡くなり、先日(4月29日)「偲ぶ会」が行われたことは、すでに先日の記事に書きました。
 思えば、その文学散歩は、2007年の脳動瘤手術のあとで、気分としては半病人の私が、リハビリがてら、元気なHさんらの後についてゆるゆる歩いたという恰好の、しかし楽しいひとときでした。ついでに思えば、そのときの手術が終わって退院したばかりの私を、見舞ってくれて力づけてくれた側の筆頭が、Hさんでした。

「桜を見るだけで、べつだん理由(いはれ)などはっきりしているわけではないのに、なんだか心の中が苦しくなってくる。」「『惜しむ』とは、この『いはれなき切実』を唐突に思いつくことである。」と松岡正剛さんは書きました。
 こんな風に、明るくうららかで、そのくせ妙に物寂しい春の日の哀切は、「いわれなき切実』を不意に催させるものですね。が、それに加えて、「いわれある切実」も、まがう方なく存在していることを、私は知っていますよ。Hさん、あなたがいないという「不在の重さ」「喪失の切実」(語呂あわせみたい)が、私の心を苦しくさせるのですよ。

西行が、私の住むこの地方に足跡を残したのは、讃岐の国に流罪となった崇徳上皇を訪ねた旅の道すがらであったとの由(このあたりは、Hさんの得意分野でしょう)。
崇徳上皇は、菅原道真、平将門とともに、恨みをのんで死んだために、世にたたりを成して恐れられた日本三大怨霊の一つに数えられています。
 小倉百人一首に、崇徳上皇の「瀬を早み岩にせかるる滝川のわれても末に会わんとぞおもふ」のうたがとられています。これは、落語のネタにもなっています。

wikipediaにはこう紹介されています。

商家の若旦那・作次郎が重病になった。医者に診てもらったところ「医者や薬では治らない気病で、思いごとが叶えばたちどころに治るが放っておくと5 日もつかどうか」とのこと。これを聞いた親旦那、作次郎の幼少のころからの馴染みである熊五郎を呼びつけ、その思いごとを聞き出して来いと命ずる。作次郎 が熊五郎に告げた事情はこういうものだった。
先日、作次郎が高津神社へ参詣したときのこと。茶店で休憩していると、そこへ入ってきた歳は17、8 の美しい娘に一目惚れする。娘が茶店を去る際、緋塩瀬(深紅色の羽二重)の茶帛紗を置き忘れていったので追いかけて届けると、娘は料紙に「瀬をはやみ 岩 にせかるる 滝川の」という崇徳院の歌の上の句だけ書いて作次郎に手渡し、去って行った。作次郎はこの歌の下の句「われても末に 逢わんとぞ思う」を思い 出し、あの娘は「今日のところはお別れいたしますが、いずれ後にお目にかかれますように」と言ってくれていることに気付き、それから今までずっと娘のこと ばかり思い詰めているのである。しかし先方がどこの誰であるのか訊かなかったため、皆目見当がつかないのだ。
熊五郎の報告を受けた親旦那は、熊五 郎にその娘を何としても捜し出してくれと懇願する。熊五郎はどこのお方かもわからないのにと渋ったが、借金を棒引きにしてなおかつ蔵付きの借家を五軒譲渡 し、別に300両の礼金を支払うからと言われ、3日間の猶予をもらって捜し回ることになった。
2日間、大阪の街中を捜したが見つからない。それも そのはず、熊五郎は「瀬をはやみ」の歌を誰に伝えるわけでもなく、ただ闇雲に走り回っていただけだったのだ。女房には「探し出さなければ実家へ帰らせても らう」とまで脅かされ、最後の1日に全てを賭ける熊五郎。人の多く集まりやすい床屋や風呂屋、行く先々で「瀬をはやみ~」と叫んでは反応を待つ。「うちの 娘はその歌が好きでよく歌っている、別嬪だし高津神社にも足しげく通っている」という人に出会うが、その娘はまだ幼い子供と知りガックリ。結局有力な情報 が得られないまま日暮れとなって、疲労困憊になりながら入った本日10数軒目の床屋。

もうすでに剃れる髪も髭もなく、「いっそ植えてほし い」と悲鳴をあげる熊五郎。待合場で例によって「瀬をはやみ~」と歌い出す。ちょうどそこへ入ってきたのが棟梁風の男、急いでいるので先にさせてほしいと 先客に頼み、髭を剃ってもらうことになった。その男によると、主家のお嬢さんが今日明日とも知れぬ身。そしてその原因は、お茶会帰りに高津神社の茶店に立 ち寄った際、さる若旦那に気を取られて茶帛紗を忘れてしまい、その若旦那に届けてもらったと聞き、余りの名残惜しさに、崇徳院の歌の上の句を書いて手渡したきり、恋煩いで枕が上がらなくなったというものであった。男は、その若旦那を捜し出してくれと命ぜられてこれから紀州方面へ行こうとしていたのだ。

艱難辛苦の末にとうとう捜し求める娘が判った熊五郎。その棟梁風の男に飛びかかり「その歌を書いてもろうたのはうちの若旦那や!」と叫ぶ。「うちへ来い!」 「先にわしのとこへ来い!」「お前が来たらこっちは借家五軒に300両…」揉み合いになり、弾みで床屋の鏡を割ってしまった。「どないしてくれる」と怒っ た床屋の主人。熊五郎は「心配するな!崇徳院の下の句や!」

「割れても末(月末)に 買わんとぞ思う」

崇徳院の歌

「瀬をはやみ 岩にせかるる 滝川の われても末に あはむとぞ思ふ」 (詞花集・恋上)
小倉百人一首77番の歌として有名。「流れが速いので、岩に遮られて二手に分かれている川の流れがまた一つに合流するように、今別れ別れになっているあなたともまたいつか逢いたいと思っています。」

バリエーション

江戸落語では、高津神社の代わりに上野の清水さん(寛永寺清水観音堂)が舞台となることが多い。また、木に吊るしてあった短冊が落ちてきて、そこに崇徳院の歌が書かれてあったという演出であることが多い。
床屋で揉み合った際に鏡ではなく、水壺や花瓶を割ってしまうという演出もある。
「あんたのとこの若旦那は仁徳のある方ですなあ」と感心する床屋に、「仁徳があるはずや、見初めたんが高津さんや」とするサゲもある。これは高津宮の祭神が仁徳天皇であることに拠る。

 近所のファーマーズマーケット・サウスビレッジという公園に、男の子の孫二人を連れて出かけました。

桃の花が色鮮やかに咲いていました。

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桜と桃の花の向こうに風車小屋。
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ローズマリーの花に戯れるミツバチ。
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 レンギョウの花も満開。
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