鏡花忌に二つ蜻蛉も艶めくや [今日の暦]
昨日、九月七日は泉鏡花の忌日だそうです。
先日、この記事で縷紅草(ルコウソウ)とおぼしき赤く可憐な花を話題にしたところ、 ふゆん様からいただいたコメントで、泉鏡花を思い出させていただきました。
鏡花が亡くなる2カ月前に「中央公論」に発表した「縷紅新草」」は、鏡花最後の作品=絶筆となりました。
この「縷紅新草」という題名は、夏に小さな赤い花を咲かせる縷紅草に”新”を加えた鏡花の造語で、登場人物の儚い娘を連想させます。
「縷紅新草」は、こんな不思議な歌で始まります。
あれ見たか。
二つ蜻蛉(とんぼ)が草の葉に、
かやつり草に宿をかり、
人目しのぶと思えども、
羽はうすものかくされぬ、
すきや明石(あかし)に緋(ひ)ぢりめん、
肌のしろさも浅ましや、
白い絹地の赤蜻蛉。
雪にもみじとあざむけど、
世間稲妻、目が光る。
あれあれ見たか、
あれ見たか。
もと千五百石の武家の娘だった初路は、没落後親類に引き取られ、はんかち工場の「お針子」として働きますが、周囲からはその容姿と刺繍の腕を嫉妬されます。彼女が考案して海外でも評判の高かった「二つ蜻蛉」のデザインの刺繍を、男女の性にこと寄せてからかい、中傷するはやし唄まで、誰歌うともなく周囲に広がり、彼女をはやし立てるのです。純真な初路は、辱めに耐えられず、それを苦に自殺します、、、、。
この「二つ蜻蛉」のデザインは、あでやかな紅糸で刺繍されるアカトンボでしょうが、今日の散歩で見たのはギンヤンマの「二つ蜻蛉」でした。
アオサギ
ここまでの使用カメラは、fuji ファインピクスs1。
昨日プランターに植えた野菜苗に防虫ネットをかけていましたら、幼いカナヘビが遊んでいました。
手元にあったカメラは、Olympus EP2+M.ZUIKO 40-150mm+kenkoクローズアップレンズno2。
おお!縷紅新草!
この間の記事みてから実家に本のこってないかって
聞いていたところなの
この歌は言葉がころころ転がるみたいで
ステキにつないであるなあって
お花にちょうちょとまってるお写真すてき
きちんととまっててくれていいなあ♪(・∀・`)
by ふゆん (2014-09-12 19:59)
ふゆん様
「縷紅新草」を思い出させていただき、感謝です。ルコウソウの花の姿とイメージが結びついて、ちょっとした知的満足感(おおげさですが)を得ましたよ。繰り返して読むと、「あわれにうつくしい」作品ですね。言葉も、情景も。
ちょうちょは、動き回って、なかなか、思い通りには撮らせてくれませんね。
by kazg (2014-09-12 20:55)