ほなどないしょ? [折々散歩]
葛藤、二律背反、ジレンマといえば、“To be, or not to be: that is the question”と悩んだハムレットが思い出されます。
ネット検索してみますと、田中幸光さんとおっしゃる方の『二葉亭が記録』というタイトルのブログに、
「有ります、有りませぬ、こりゃあ困った」という記事がありました。
一部を無断で引用させていただきますと、
「ハムレット」の、古来有名な独白は、これでしょう。
生か、死か、それが疑問だ、どちらが男らしい生き方か。
じっと身を伏せ、不法な運命の矢弾を堪へ忍ぶのと、
それとも剣をとって、押し寄せる苦難に立ち向かひ、
とどめを刺すまであとには引かぬのと、一体どちらが。
死は眠りにすぎぬ――それだけのことではないか。眠りに落ちれば、
その瞬間、一切が消えてなくなる。
胸を痛める憂ひも、肉体につきまとふ数々の苦しみも。
(福田恆存訳)
(中略)
日本初の翻訳は、明治7年、イギリスの通信員だったチャールズ・ワーグマンによってなされたとされています。「イェロー・ヨコハマ・パンチ」という雑誌にサムライのマンガに添えてローマ字で書かれたものです。
「アリマス、アリマセヌ、アレハナンデスカ」というもの。
しばらくたって、だれが訳したのかは不明ですが「有ります、有りませぬ、こりゃあ困った」というセリフ。これは、横浜のある劇場ではじめて上演されたときのものです。
(中略)
本格的な訳は、明治15年「新体詩抄」に収録された外山正一氏と矢田部良吉氏の競訳となって出現します。
死ぬるが増か生くるが増か
思案をするはここぞかし(外山正一訳)
ながらふべきか但し又
ながらふべきに非るか
爰(ここ)が思案のしどころぞ(矢田部良吉訳)
それから岩野泡鳴作の「魂迷月中刃」にハムレットらしい主人公が登場し、そのことばは「死のか死のまいか、一思案」というのもあるそうです。
坪内逍遥はいわずと知れたシェイクスピア学者といっていいほど、当時にあっては世界初の個人全訳を試み、それを成し遂げています。昭和10年の「新修シェー
クスピア全集」(全40巻)というのがそれです。逍遥自身「文体は浄瑠璃まがいの七五調で、いたってだらしのない自由訳」といっていますが、その訳文は
ぐーんと近代的になっていて、気持ちのいい訳です。
「世に在る、世に在らぬ、それが疑問じゃ」と。
彼は何度も翻訳していますが、これが最後の定本になったらしいのです。「長らふべきか、長らはざるべきか、これぞ思案のしどころぞ」というのが確かあったとおもいます。
いずれ劣らぬ名訳揃いですが、なかんづく最大の傑作は、やはりこれですかね?
「やったろか?あかんか。ほな、どないしょ?」
ネット上の、いろいろな方の記事中に紹介されていますが、この訳の出典については、非力にして確かめることができませんでした。ともあれ、掲載日時が一番古いのは、お見受けしたところ、YAHOO知恵袋のこの記事でした。とりあえず勝手にリンクを張らせていただきます。
二者択一に窮して身動きできなくなる悲劇を、わが日本古典文学に探るとすれば、『源氏物語』中の浮舟でしょうか?
薫(かおる)大将と匂宮(におうみや)という、性格も個性も異なる二人の貴公子からの愛を受け、板挟みの苦悩と懊悩の果てに、宇治川へ入水をはかるのですから、その究極の葛藤といえるでしょう。
さて、私の葛藤はといいますと、お散歩カメラの選択です。
願望A 四季の移ろいを愛でながら、美味しい空気を味わい、適度な有酸素運動をこなすことができるような、身軽で軽快な散歩のついでに、あわよくば折々の出会いを画像に収めたい。
願望B できることなら、遠い対象物も、それなりに鮮明に、見て楽しめる程度に写し止めたい。
このA・B二つの願望が、どうにも並び立たないのが困ったことです。
しかも、「限られた小遣いの範囲内で」という絶対的な縛りが大前提ですから、ことはシビアです。
さしあたり、わが所有カメラの中で、期待をかけたいものの筆頭が、FUJI FinePix S1なのですが、困ったことに、ピントの不安定さにしばしば泣かされます。
先日のキジの記事もそうでしたが、珍しい鳥を見つけたと思って、わくわくして写すと、こんなピンぼけ作品が続出したりします。
この鳥は何だったのでしょうかね?
お師匠のMさんも、こんな写真が撮れたと嘆いておられました。
そうかと思うと、こんな絵が撮れたりして、やっぱり持ち歩こうかと思ったりします。
メジロが可愛く撮れました。
ネット検索してみますと、やはりこの機種のピントの甘さは話題になっているようで、解決策として、AFモードを「センター固定」ではなく、「エリア選択(真ん中設定) 」に設定すべしという指摘がありました。
早速今日の散歩で試してみましたら、てきめんというほどではないにしても、効果はあるようです。
以下の画像は、すべて大きくトリミングしています。
「ネオ一眼」というジャンルの機種ですから、必ずしも軽量コンパクトとは言い切れませんが、一眼レフに重い望遠レンズを装着して持ち歩くよりは、はるかに軽快な散歩ができることは確かです。
けれども対象物をファインダーにとらえるのがやや難しいのと、まだまだピント合わせに全幅の信頼が置けない点が、不安材料として残ります。
ほなどないしょ?
どんなときでもポケットからすぐ出せるカメラが軽くて便利でちんまいのばかり(ノ∀・)ノ
by ふゆん (2015-01-13 06:40)
ふゆん様
ホントにそうですねえ。それがいいですねえ。
by kazg (2015-01-13 17:09)