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俎の魚肉か今朝も歯の治療 [折々散歩]

今朝は、妻がパートの仕事に出かけたあと、いつものように孫の登校を見送り、可燃ゴミ2袋をゴミステーションに運び、洗濯物を少々物干し竿に掛け、NHK朝ドラ「マッサン」を見てから、歯医者に向かいました。
当初の通院動機だった金属のカブセの剥落は、すでに処置が終わり、先週で治療が終わったのですが、3年ほどもメンテナンスをしないでいるうちに、別の歯の金属を埋めた下の部分に虫歯が広がっているとのことで、新たな治療に入りました。
今日も、麻酔を打って、ガリガリ、ギューンとドリルをかけられ、ブルーな気分に覆われます。
ドリルを掛けられている間は、我知らず肩に力を入れて、ただただ我慢の時間が過ぎるのを待つのみですが、治療のはざまの手待ち時間も結構ありまして、来し方行く末など、あれこれと瞑想する「有為」な時間だったりします。
その間あれこれと浮かんでは消える「よしなしごと」は、私のブログネタにうってつけと思えたのですが、いざ冷静になって思い返すと、とても世間様にご披露するようなお話でもありませんでしたので、ボツに致します。
ただ一つ、この思いつきだけは、今日のブログのネタにさせていただくことにします。
シチュエーションは、まさしく「俎(まないた)の鯉」という心境にも似ていますが、そこまで悟りきることもできず、次から次へと煩悩が頭をのぞけます。

そこでふと思い出した一節。
司馬遷「史記」の「項羽本紀」の中で、「鴻門(こうもん)の会」とか「四面楚歌(しめんそか)」の表題で高校生の漢文教科書にも掲載されている、項羽と劉邦の争いをめぐる一連のドラマの一コマにこんな場面がありました。


沛公已出。

項王使都尉陳平召沛公。

沛公曰、

「今者出、未辞也。

為之奈何。」

樊噲曰、

「大行不顧細謹、大礼不辞小讓。

如今、人方為刀俎、我為魚肉。

何辞為。」

於是遂去。

乃令張良留謝。

書き下し文
沛公已に出づ。項王都尉陳平をして沛公を召さしむ。沛公曰はく、「今者(いま)、出づるに未だ辞せざるなり。之を為すこと奈何
(いかん)。」と。樊噲曰はく、「大行は細謹を顧みず、大礼は小譲を辞せず。如今(いま)、人は方(まさ)に刀俎(とうそ)たり、我は魚肉たり。何ぞ辞せんや。」と。是に於いて遂に去る。

現代語訳
沛公は外に出た。

項王は都尉陳平に沛公を呼びに行かせた。(外に出た)沛公が言うことには、「今、出てくるにあたりまだ(項羽に)別れの言葉を告げていない。このことをどうしようか。」と。
樊噲は言った、
「大事を行うときは、些細な慎みなど問題にせず、大いなる礼には、小さな謙譲の語など問題ではありません。今、向こうは包丁とまな板で、我々は魚肉です。 どうして別れの挨拶をする必要がありましょうか、いえ、必要ありません。」
こうして、そのまま酒宴から立ち去った。


沛公とは、のちに漢を建てて高祖となる劉邦のこと。

項王とは、劉邦と天下を争った楚の武将項羽。

項羽の怒りを解くための弁明に、鴻門に布いた項羽の陣を訪ねた劉邦は、張良、樊噲という忠臣の働きによって生命の危機を脱し、「トイレに行く」と称して、項羽の陣の外に逃れました。
引用部分はちょうどその場面です。

事ここに至っても、「 項羽にさようならの挨拶をしていない」と、儀礼とマナーを慮る劉邦に対して、忠臣の樊噲が説得するセリフが、「大行不顧細謹、大礼不辞小讓。如今、人方為刀俎、我為魚肉。何辞為。」です。

「目下の危機を脱して生命を永らえ、やがて天下を取るという大きな目的のためには、目先の小さな礼節など二の次三の次でござる。相手は刀俎、こっちは魚肉ですぞ。どうして別れの挨拶など要りましょうか。」と、速やかな逃走を促しているのです。

 「刀俎」は包丁とまな板、「魚肉」は、「魚肉ソーセージ」などという場合の「魚の肉」のことではなく、「魚」や「肉」という食材を意味します。

歯医者の椅子に座って、  「人方為刀俎、我為魚肉。」を痛感した次第です。

オソマツでした。

 当初は、歯医者帰りに、少しは散歩でもしようかと、カメラも用意して車に乗せてはいたのですが、肩は凝るは、麻酔で唇や頬がしびれるはで、気力が湧かず、すごすごと帰宅することにしました。

ただ、昨日の朝散歩で持ち歩いたfinepix s1が、電池切れメッセージが出るので電池交換をしてみると、なぜか「電池を入れ直してください」と言う表示が出ては電源が切れる症状が治まらず、カメラ屋さんに持ち込むことにしました。

午前中は、こんな「非生産的」な、消耗の時間を費やし、ちょっとくたびれました。

昨日とは一転してお天気も良いので、午後は、畑にでかけ、ジャガイモを植え付けることにしました。そんなわけで、今日の画像はありません。

代わりに、昨日の散歩で写した写真を掲載します。

朝のうちの、雨中散歩の記事は昨日書きました。午後は、にわかに妻のアッシーを仰せつかり、合わせて手元にあったカメラを一台だけバッグに入れて、出かけました。pentaxk5Ⅱ+tamron18-250mmという組み合わせでした。

寒い、濡れる、暗い、という悪条件が重なった散歩でしたが、カメラボディは防塵防滴仕様で、出番と言えば出番です。( finepix s1)も、同様に防塵防滴なのですが、いかんせん、前述のトラブルで、使えません。

アッシーの手待ち時間、どこへ行って時間をつぶそうか迷いましたが、ワンパターンの後楽園散歩とあいなりました。

あいにくの悪コンディションでしたが、意外に入園者は大勢で、しかも、いつもと比べて日本人の観光客が多かったことが、印象に残りました。

  後楽園外周の、旭川岸辺から、雨の岡山城を望みます。


三月の雨の岡山城

 

黒く焼かれた芝生の上をカルガモが散歩しています。

三月の雨の後楽園

 

弥生の初めの雨粒が、水面に幾つもの波紋を広げています。焼け焦げた芝生が潤って、明らかに季節の変化が感じられます。

三月の雨の後楽園
 
三月の雨の後楽園


 
 

三月の雨の後楽園
 

三月の雨の後楽園
 
三月の雨の後楽園

今日はここまで。

 


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コメント 2

mimimomo

おはようございます^^
 わたくし胃は今日が歯の治療日。はじめ一本の予定が都合4本しないといけないです。今二本目と三本目を同時進行中(--
by mimimomo (2015-03-03 08:25) 

kazg

mimimomo 様
いやはや、人ごとではありません。お大事になさいませ。
by kazg (2015-03-03 15:29) 

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