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沖縄慰霊の日に思う [今日の暦]

今日は「沖縄慰霊の日」。太平洋戦争の末期、日本が経験した、ほとんど唯一の地上戦といわれる「沖縄戦」で、日本軍の組織的戦闘が収束を迎えたとされる一九四五年の今日を記念して、沖縄県が定めている記念日です。

「鉄の暴風」と喩えられるこの激戦は、日米合わせて200,656人〔沖縄県援護課発表 1976年(昭和51)年3月〕というおびただしい犠牲者をだしました。うち、日本 188,136人(沖縄県出身者122,228人(一般人94,000人、軍人・軍属28,228人)(他都道府県出身兵 65,908人)。米 12,520人に及ぶと言います。一般民の犠牲者の多さが目を引きます。

今日、平和祈念公園でひらかれた「沖縄全戦没者追悼式」では、沖縄県立与勝高校3年の知念捷(まさる)君(17)が、自作の詩を朗読し、深い感動を呼びました。

「みるく世(ゆ)がやゆら(今は平和でしょうか)」と題されたこの詩は、第25回児童・生徒の平和メッセージ展「詩の部門・高校生の部」で最優秀賞に選ばれ、このたびの朗読になったそうです。詩の全文を、引用させて戴きます。







 みるく世(ゆ)がやゆら

平和を願った 古(いにしえ)の琉球人が詠んだ琉歌(りゅうか)が 私へ訴える

「戦世(いくさゆ)や済(し)まち みるく世ややがて 嘆(なじ)くなよ臣下 命(ぬち)ど宝」

七〇年前のあの日と同じように

今年もまたせみの鳴き声が梅雨の終(おわ)りを告げる

七〇年目の慰霊の日

大地の恵みを受け 大きく育ったクワディーサーの木々の間を

夏至南風(かーちーべー)の 湿った潮風が吹き抜ける

せみの声は微(かす)かに 風の中へと消えてゆく

クワディーサーの木々に触れ せみの声に耳を澄ます

みるく世がやゆら

「今は平和でしょうか」と 私は風に問う

花を愛し 踊りを愛し 私を孫のように愛してくれた 祖父の姉

戦後七〇年 再婚をせず戦争未亡人として生き抜いた 祖父の姉

九十才を超え 彼女の体は折れ曲がり ベッドへと横臥(おうが)する

一九四五年 沖縄戦 彼女は愛する夫を失った

一人 妻と乳飲み子を残し 二十二才の若い死

南部の戦跡へと 礎へと

夫の足跡を 夫のぬくもりを 求め探しまわった

彼女のもとには 戦死を報(しら)せる紙一枚

亀甲墓に納められた骨壺(こつつぼ)には 彼女が拾った小さな石

戦後七〇年を前にして 彼女は認知症を患った

愛する夫のことを 若い夫婦の幸せを奪った あの戦争を

すべての記憶が 漆黒の闇へと消えゆくのを前にして 彼女は歌う

愛する夫と戦争の記憶を呼び止めるかのように

あなたが笑ってお戻りになられることをお待ちしていますと

軍人節の歌に込め 何十回 何百回と

次第に途切れ途切れになる 彼女の歌声

無慈悲にも自然の摂理は 彼女の記憶を風の中へと消してゆく

七〇年の時を経て 彼女の哀(かな)しみが 刻まれた頬(ほお)を涙がつたう

蒼天(そうてん)に飛び立つ鳩(はと)を 平和の象徴というのなら

彼女が戦争の惨めさと 戦争の風化の現状を 私へ物語る

みるく世がやゆら

彼女の夫の名が 二十四万もの犠牲者の名が

刻まれた礎に 私は問う

みるく世がやゆら

頭上を飛び交う戦闘機 クワディーサーの葉のたゆたい

六月二十三日の世界に 私は問う

みるく世がやゆら

戦争の恐ろしさを知らぬ私に 私は問う

気が重い 一層 戦争のことは風に流してしまいたい

しかし忘れてはならぬ 彼女の記憶を 戦争の惨めさを

伝えねばならぬ 彼女の哀しさを 平和の尊さを

みるく世がやゆら

せみよ 大きく鳴け 思うがままに

クワディーサーよ 大きく育て 燦燦(さんさん)と注ぐ光を浴びて

古のあの琉歌(うた)よ 時を超え今 世界中を駆け巡れ

今が平和で これからも平和であり続けるために

みるく世がやゆら

潮風に吹かれ 私は彼女の記憶を心に留める

みるく世の素晴らしさを 未来へと繋(つな)ぐ




知念君の大伯母=「花を愛し 踊りを愛し 私を孫のように愛してくれた 祖父の姉」は、22歳で沖縄戦に散った夫の、戦死の状況は分からず、遺骨も見つかっていません。彼女は、無念を抱えたまま認知症を発症。介護施設で今も、出征する夫を思う歌「軍人節」を歌い続けているのだそうです。



詩の冒頭に「平和を願った 古の琉球人が詠んだ琉歌」として紹介されているこの歌は、琉球王朝時代の古歌だそうです。


「戦世(いくさゆ)や済(し)まち みるく世ややがて 嘆(なじ)くなよ臣下 命(ぬち)ど宝」



大意は、「戦いの世は終わった/平和な弥勒世(みろくよ)がやがて来る/嘆くなよ、おまえたち、命こそ宝」。



沖縄慰霊の日について詳しく、資料や記事を掲載してしてくださっているページがこちらにありました。勝手にリンクを張らせて戴きます。



「みるく世がやゆら」(今は平和な弥勒世ですか?)と、何度も問いかけ続ける17歳に、大人達は胸をはって「そうです。憲法九条が輝く平和な弥勒世なのです。」と答えなければなりませんね。

そうしてもう一つ思ったこと。このような若者達が、きっぱりと選挙権を行使できるようになるとすれば、「みるく世」は近いと言えるのではないでしょうか?



鳥たちにとっても、「みるく世」でありますように。

最近のカルガモです。















バンです。







バンと亀


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コメント 6

TM

「積極的平和主義」これってなんだろうなと、小生は首を傾げる。「ぬちどぅたから」これを大前提だとすれば平和主義もくそもない。積極的も消極的も意味をなさないと、小生は思っている。
by TM (2015-06-24 15:08) 

majyo

みるく世(ゆ)がやゆら

昨夜の夕刊で読み、また今日の朝刊にも出ていて
改めて涙しました。
最近、涙腺が弱いのです。
私が配っているのは、沖縄の少年の(当時小学校1年生)
「平和ってすてきだね」の詩です。
子供の、青年の、ひたむきな思いに胸打たれます


by majyo (2015-06-24 19:32) 

kazg

TM様
おっしゃるとおりです。
ヨハン・ガルトゥング博士は、戦争は起きていないが、貧困や抑圧、環境破壊などの「構造的暴力」が存在する状態を、「消極的平和」(Negative Peace)であるとし、これに対し戦争がなく、かつ「構造的暴力」も排された真に人々が平和である状態を「積極的平和」(Positive Peace)と呼んだそうです。言葉は似てますが、安倍さんのは、「攻撃的平和主義」とでも呼ぶべきものですね。

by kazg (2015-06-24 21:27) 

kazg

majyo様
去年の記事拝読しました。
「平和ってすてきだね」の詩、すてきだね。
翌日の大関松三郎の詩も。
by kazg (2015-06-24 21:46) 

えんや

沖縄の苦悩が伝わっています。
今の自公政権を無くすべく以外に道はなしですか、、、。
by えんや (2015-06-26 20:49) 

kazg

えんや様
仰る通りですね。
少なくとも、思い上がりと傲岸を控えることを学ばせるべく、国民の意思を示すことでしょうね。
by kazg (2015-06-27 06:56) 

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