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沖縄慰霊の日に思い出すこと(その4 最終回) [私の切り抜き帳]

一九八〇年頃、映画「てだのふぁ」を鑑賞した際の「担任通信」のつづき(最終回)です。
 十 ふたたび映画について
あの笑いは何だったのだろうか?今もってぼくにはわからない。なぜ、あの場面で、少なからぬ人々が、笑い得たのか?
最初の笑い―女学生の歌う「郷愁」のメロディを聴いた父親が発作を起こす場面。
なぜそこで笑うことができたのだろう?あの笑いの質は何だったのだろう?
耳鳴りの効果音が、何か違和感を覚えさせたのだろうか?それとも、演者の演技の質を笑ったのだろうか?物語とは独立させてそれだけを???そうだとすれば、私の不快感はいささかはやわらぐが、それにしても幼稚な反応だ。
父親のしぐさに、何か尋常でないものを感じて、そこに戸惑いを覚えての笑いだろうか?そのしぐさが、発作によるものだったこと、そしてその発作が何に起因するものかを知る前だったから、そのしぐさの故に無邪気に笑ったのだろうか?
それとも、大の大人が頭を抱え込み、おびえている様がだらしなく思えての笑いだったのだろうか?だが、そうした、一種のホホエマシサの笑いとは違った調子が、あの笑い声の中には感じられたように思えてならない。
しかも、二度三度の笑いはどうしたことだ。父親の発作の旅に起こる笑いはどうしたことだ。もはや、無邪気な笑いでは済まされないだろう。戦争体験の重さ、傷跡の痛ましさ、さらに沖縄の担わされた過酷な受難への感受性が問われねばならないだろう。それだけではない。たとえ発作の原因がほかにあろうとも、心の病、神経の疾患、心身の障害に苦しむ人を、いたわりによってではなく、笑いによって遇する感覚は、問い直されねばならないのではあるまいか。たかが映画の中でのこと、現実とはおのずと関わり方が違う.と言って済まされると思わない。
発作の原因が .次第に明らかにされていく過程を経ても、笑いの質に変化が見られなかったことが、ぼくをますます沈ませる。
◎耳鳴りの音が、砲弾や手榴弾の爆発音を連想させること。
◎目の前で自決させられた少女たちの涙まじりの合唱。
◎全人口の1/3が散った沖縄戦。
◎戦後のアメリカによる占領のもとで苦難を押して祖国復帰の運動に携わってきた友人の、疲れ果てた死。
――そこには、笑いを誘う要素はないはずなのだが・・・。
入院した「ふうちゃん」。家の中に見えなくなった娘を心配して発作を起こした父親のどこに笑える要素があるのだろう。
「娘のそばにいてやらねば。娘を守ってやらねば。凶暴な力によって娘が奪い去られるかもしれない。目の前で少女たちがバタバタと死んでいくことに手をこまねいた自分だが、娘をそんな目にあわせてはならない。」という強迫観念におびえる父親の、どこに笑える要素があるだろう。
ぼくだって、わが子を抱きしめることがある。この子がよもや、何かあらがい難いちからによって、連れ去られるようなことがありませんようにと、祈る思いで抱きしめる事がある。戦争の足音が、かすかながらも聞こえるような気がするときには、やもたてもたまらず、我が子を抱きしめたくなる。それは、あれほどの嘲笑を浴びせられねばならぬほど、コッケイなことなのであろうか、果たして?

十一 終わりに
たかが映画を、そんなにもシチメンドウクサク考えなくとも、スクリーンのこちら側は、安全至極、おだやかそのもの、おせんにキャラメル、コカコーラにホットドッグで、満ち足りているとおっしゃるお方には、”お気に召すまま”と申し上げましょう。そして、冷ややかな笑いを返して差し上げましょう。どうせ、傷つきもしないかもしれないが。

いささか冷静さを欠いて、感情的ななっていますね。とくに、終わりのあたりは、恫喝めいていて、高校生相手に不穏当かと、忸怩たるものがありますが、取り繕うことなく、ありのままに記録しておきます。
今なら、もう少しカウンセリングマインドに配慮した物言いを心がけたかもしれません。
なにしろ、二十数年も前に見た作品です野で、今となっては記憶も曖昧ですが、ネット上に、コンパクトな解説がありましたのでご紹介します。weblio辞書の、このページです。
一部引用します。
 ストーリー
※ストーリーの結末まで記載されていますので、ご注意ください
小学校六年生のふうちゃんの両親は沖縄出身で“てだのふあ沖縄亭”という食堂を開いている。店には片腕のないロクさんや鋳物工のギッチョンチョンやその友達のギンちゃん、桐道さん、ゴロちゃんといった沖縄出身者が集まり、ふうちゃんは皆の人気者だ。ふうちゃんの父親は、時々、ノイローゼで発作を起す。長いこと故郷の波照間に帰ってないからだ。食堂では、沖縄出身のグレかかった少年、キヨシを連れてきたギッチョンチョンとギンちゃんの間で少年が原因で喧嘩が起った。ある夜、キヨシが沖縄亭にこっそりやってきた。ギッチョンチョンから盗んだ金を返しに来たのだ。帰ろうとするキヨシを追ったふうちゃんは足をケガしてしまう。そして、病院のベッドでふうちゃんは、お父さんが発作を起したのを知った。でも、キヨシがお店を手伝うことになってふうちゃんは一安心。そんなキヨシも暗い過去を背負っていた。幼いとき母に捨てられ、ギリギリの生活をしていたのだ。沖縄亭に集まる心優しい人たちみんな、気の遠くなるようなつらい悲しいめに会ってることを、ふうちゃんは気づきはじめた。そして、それは、みんな戦争と沖縄が原因している。「沖縄のことを勉強しよう!」ギッチョンチョンを先生に、ふうちゃんの猛勉強が始まった。ある日曜日、ふうちゃん、お母さん、ゴロちゃん、キヨシで姫路の先の室崎へ行くことになった。お父さんを誘うと、急に不気嫌な顔をする。お客さんの一人は、お父さんを室崎で見かけたことがあると云う。室崎でゴロちゃんが叫んだ「南部の海岸線に似ている!」沖縄戦にさい悩まされるお父さんは、ここへ来て何を考えるのだろうか。戦争の暗い影をいやすのは、故郷の青い海だと考えたお母さんは、波照間にいるお父さんのいとこに手紙を出し、親娘三人で行くことになった。お店はキヨシがやってくれるのだ。出発前夜みんなでパーティを開いていると、お父さんがいなくなった。みんなで八方手をつくすが、お父さんはどこにもいない。ふうちゃんはキヨシと室崎へ行った。海岸を走る二人。神戸に電話をしたキヨシが涙をためてふうちゃんのところに来た。全てを悟ってふうちゃんの目に涙が溢れでてきた。石垣島から波照間へ向う船に、ふうちゃん、お母さん、そしてお骨になったお父さんが乗っている。波照間の海はお父さんが話していたよりもずっと青い。今までの楽しいこと、悲しいことが胸にこみあげてきて涙が溢れてしようがない。波照間の、海に向う一本道をふうちゃんはお父さんと叫びながら走り続けた。

私はこの頃、まだ沖縄に行ったことがなく、書物からの情報と耳学問と想像で、自分なりの「沖縄」イメージを抱いていたに過ぎません。実際に目でで見ることができたのは、それなら何年かの後でした。何よりも印象深いのは、飛行機の窓から見下ろした、晴れた海のエメラルドグリーンの明るさです。それと対照的なのが、民間機の合間を縫って、轟音を立てて那覇空港に発着する自衛隊機のおどろおどろしさ。軍用空港と共用の、前線基地としての側面への驚きでした。
現在はさらに増強されて、「那覇空港の過密化は大丈夫か」と沖縄タイムス+プラスの記事は懸念しています。
http://www.okinawatimes.co.jp/article.php?id=152005
 南西地域の防衛体制の強化に向けて、航空自衛隊那覇基地のF15戦闘機を2飛行隊化し、約40機で組織する第9航空団が31日、発足する。約50年ぶりの 航空団編成に中谷元・防衛相は「強化を目に見える形で示す」と期待をかけるが、主力のF15が倍増することで懸念されるのは、那覇空港滑走路発着の過密化 や騒音の激化。民間機の発着数、自衛隊機の緊急発進数ともに増加傾向が続き、「軍民共用」1本の滑走路は、ぎりぎりの運用を迫られることになりそうだ。

那覇空港の発着数と自衛隊機の緊急発進数
その時の沖縄旅のいきさつについては、以前、この記事に書きましたので、繰り返しません。
大寒や沖縄に春いちはやく
私の沖縄訪問は、後にも先にもその一度だけ、それにしては知った風によくもの申すものと、自分であきれます。「知ったかブログ」の面目躍如ですね。
現在では、「沖縄旅行」は、高校の修学旅行でも定番のコースの一つとなり、私の次男も行きましたし、多くの若者にとって沖縄は身近な、なじみの場所となっていることでしょう。本土の人間が、実際の沖縄の良さに触れ、親近感を覚えるようになってきているのは好ましいことだと思います。
でも、何度沖縄を訪問しようとも、何度「戦没者追悼式」に参列しようとも、何度「沖縄の心に寄り添う」と口にしようとも、ちっとも「沖縄の心」が感じ取れないお方もあるようです。その方にこの言葉を贈ります。
 そんなにもシチメンドウクサク考えなくとも、スクリーンのこちら側は、安全至極、おだやかそのもの、おせんにキャラメル、コカコーラにホットドッグで、満ち足りているとおっしゃるお方には、”お気に召すまま”と申し上げましょう。そして、冷ややかな笑いを返して差し上げましょう。どうせ、傷つきもしないかもしれないが。

あちらこちらでこだまのように広がる「帰れ」の声の意味にお気づきでないお方には、この際、退場していただくしかないようですね。



つかの間の梅雨の晴れ間がありましたが、今日からまた雨が続くようです。
最近になってオールドカメラやオールドレンズを持ち歩いています。(画像の扱いやすさから、デジカメに限られますが)。

近隣の田園は田植えが進み、この季節らしい美しい風景が広がります。

リコーgx200での撮影です。まだまだ、オールドカメラとは言えませんが、私自身、旧世代機になってから中古で買っていますから、むろん新鋭機ではありません。写りは?

なかなか結構です。
















次の画像は、PENTAXQ7+TAMRON BBAR MULTI C AUTO 135mm F2.8。間にkマウント→Qマウント純正アダプターを挟みます。

TAMRON BBAR MULTI C AUTO 135mm F2.8は、過去に↓こんな記事でご紹介した悲劇の「チャボツレンズ」です。

あな哀れ チャボツレンズに 秋の風

チャボツレンズもまた楽し







受光部のサイズが小さいQシリーズですと、かなりの望遠レンズになります。

マクロ撮影もできます。

アガパンサス。



タチアオイ。







コスモス。



ホオズキ。



ベニシジミ。



ちょっとトリミングします。



木陰のヌートリア。トリミングなしでこのサイズに写ります。さすがに背面液晶でのマニュアル撮影は、明るい場所では見にくく、ましてや動体になるとお手上げです。あえてこの機材を使う積極的意義は?となると沈黙するしかありません〈笑)。





次は、PENTAXK10D+Super-Takumar 1:1.8/55。レンズは、m42スクリューマウントタイプの、押しも押されもせぬ超オールドレンズです。もちろんKマウント化のためのアダプターが必要で、今回は加えて、AF化のためのAFアダプタ1.7倍を間に挟んでいます。

ヒャクニチソウ。











白いキキョウ。



白いアジサイ。



ホオズキ。上のものと比べて、描写に違いがありますか?



ひまわりも咲いています。







タチアオイ。



ノウゼンカズラ。



ミントの花。



収穫。



モノクロ時代のレンズで、カラー撮影のことなど想定していなかったのでしょうが、条件によっては結構良い色が出るように思えます。

ただ、カメラのせいかレンズのせいか、この組み合わせだと露出がかなり暴れ、撮影時の露出調整と、撮影後のレタッチが必須です。

今日はこれにて。
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コメント 8

gonntan

丁寧な記事と写真ですね
現役時代もこんな感じで生徒さんたちと
触れあってたのだろうと創造します
by gonntan (2016-06-27 22:48) 

kazg

gonntan様
お褒めにあずかり恐縮です。ただただ、お恥ずかしい限りです〈汗〉。
by kazg (2016-06-27 23:41) 

長友

素晴らしい写真の数々。ただただ見とれていました♪
レンズで見える風景って撮影が楽しくなるんでしょうね。
by 長友 (2016-06-28 06:31) 

majyo

自衛隊機の緊急発進
増えましたね。そして他の島にも続々と自衛隊基地計画
何故このように緊張感を煽るのか
池袋、新宿、その他 中国人ばかりですよ
そんなに怖い国から人が来るのでしょうか?
危機感感じている方はそれを考えて欲しいです
ミントの花、畑で見ます。
by majyo (2016-06-28 21:31) 

hatumi30331

人の感情を育てるって難しいのよね。
みんな同じじゃないし・・・
映画観た後、私はあの場面で・・こう思ったのよね〜って話したり
他の人の考えも聞いたりして・・・大人の映画界を年に1度やってますが、色んな事を話し合いながら楽しいですよ。^^
ちょっと違う話しになってしまったね。

お花の写真素敵ですね!
パイナップルリリーって言う花は可愛いんですよ。
白い小さな花が咲きます。
また撮っておきますね。
来週は、3年生にいじめの話し、4年6年には男女共同参画の授業をしに行きますよ。今年度のゲストティーチャー活動の始まり!楽しみです。^^
by hatumi30331 (2016-06-28 23:30) 

kazg

長友 様
ありがとうございます、お目にとまり、嬉しいです。
そうなんです、レンズをのぞいていると、「この世の憂さ」を忘れます。
by kazg (2016-06-29 05:18) 

kazg

majyo様
緊張状態は、客観的な世界の情勢にではなく、特異な指向(嗜好?)を持つ内側の事情にありそうですね。
ミント、気づいたら咲いていますね。
by kazg (2016-06-29 05:30) 

kazg

hatumi30331様
>人の感情を育てるって難しいのよね。
みんな同じじゃないし・・・
ほんとうにそのとおりですね。つくづくそう思います。
「パイナップルリリー」若いパイナップルそのものに見えますね。
ゲストティーチャー活動、楽しく、頑張ってください。
by kazg (2016-06-29 05:37) 

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