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自民HP「密告フォーム」に思うこと(その1) [時事]

最近こんなニュースを知り、仰天しています。

YAHOO!ニュース7月9二日付記事から引用します。


7月7日、自民党・文部科学部会長を務める木原稔衆院議員のツイートをきっかけに、自民党ホームページにアクセスが集中した。ツイート内に貼られたリンク先にあったのは「学校教育における政治的中立性についての実態調査」だった。これが批判を呼んでいる。【BuzzFeed Japan / 石戸諭】


サイトにはこう記されていた。
『教育現場の中には「教育の政治的中立はありえない」、あるいは「子供たちを戦場に送るな」と主張し中立性を逸脱した教育を行う先生方がいることも事実です。』
『学校現場における主権者教育が重要な意味を持つ中、偏向した教育が行われることで、生徒の多面的多角的な視点を失わせてしまう恐れがあり、高校等で行われる模擬投票等で意図的に政治色の強い偏向教育を行うことで、特定のイデオロギーに染まった結論が導き出されることをわが党は危惧しております。』
「子供たちを戦場に送るな」というのは、政治的中立を逸脱している。そんな発言をした「先生方」は自民党に報告してほしい。
そう呼びかけるツイートに批判が殺到した。
まもなく、ホームページが見られなくなったが、9日になって復活。批判が集中していた「子供たちを戦場に送るな」の部分は差し替えられ、こうなった。
『学校教育における政治的中立性の徹底的な確保等を求める提言を取りまとめ、不偏不党の教育を求めているところですが、教育現場の中には「教育の政治的中立はありえない」、あるいは「安保関連法は廃止にすべき」と主張し中立性を逸脱した教育を行う先生方がいることも事実です。』
「安保関連法の廃止」はダメ
「子供たちを戦争に送るな」から「安保関連法は廃止にすべき」という文言に変わったが、なぜ変わったのか。以前との変化の説明はない。
さらに、他の部分はまったく変わっておらず、不適切事例は「(いつ、どこで、だれが、何を、どのように)」を書くことが求められている。
自民党「修正は木原議員の指示」
BuzzFeed Newsは自民党に取材した。担当者はこう話した。
「『子供を戦場に送るな』という文言を変更したのは、木原稔議員の指示です。指示に従って、9日の段階で『安保法~』に変更しました。細かい理由について、私どもは聞いておりません」
「参院選の公示後、6月下旬にアップしたのですが、ここ最近、アクセスが集中してサーバーがダウンしました。その後、文言を差し替えました」
自民党によると、調査をすること自体は5月の時点で決まっていた。中心になったのも木原議員だ。
「密告フォーム」との批判
このホームページは文言修正後も、インターネット上では「密告フォーム」と名づけられ、方々からツッコミを受けている。
「自民党は密告奨励かい」「あまりに凄まじい」「政治的中立性を自民党に都合の良い意味にする」
こうした批判についても担当者に聞いたが、調査は続けるという。
「調査をやめるなんてありません。(中止は)当然しません」

昨日の永六輔さんに関する記事でも話題にしましたが、憲法はその遵守義務を一般国民にではなく、国家権力に負わせています。

天皇又は摂政及び国務大臣、国会議員、裁判官その他の公務員は、この憲法を尊重し擁護する義務を負ふ。(憲法第九九条)
まずこの義務を果たすべき一国の首相が、「みっともない憲法」などとうそぶいていることほどみっともない話はないのですが(憲法記念日に家の中でひとり憲法を考える、の巻 の記事参照)、、、。

ともあれ、「その他の公務員」である私たちも、、日本国憲法と教育基本法の遵守を宣誓して教師生活を始めました。私たちが遵守を宣誓した教育基本法(1947年版)は、「われらは、さきに、日本国憲法を確定し、民主的で文化的な国家を建設して、世界の平和と人類の福祉に貢献しようとする決意を示した。この理想の実現は、根本において教育の力にまつべきものである。」と高らかにうたっていました。

これに従えば、「子供たちを戦場に送るな」は、第一義的に重んじるべき教育の根本テーマであり、なんびともないがしろにしてはいけない課題です。

この47年教育基本法は、「教育は、不当な支配に服することなく、国民全体に対し直接に責任を負って行われるべきものである」と明記していましたが、第一次安倍内閣は、2006年、「国民全体に直接責任を負って」の文言を削除し、「この法律及び他の法律の定めるところにより行われるべきもの」と国家や行政の権限を強めて、「愛国心」や「公共の精神」を強調するなど、国家主義的色彩の強い新教育基本法を、野党議員欠席のもと単独可決・成立させました。10年の時を経て、今度は本丸の憲法そのものに手をかけようという動きが顕著です。アベさん、なかなかやりますナ。
アベ内閣の最大の応援団は「日本会議、神社本庁、美しい日本の憲法をつくる国民の会」だと、池上彰さんが投票日のTV番組で言ってました。これらの勢力は、安倍内閣の最大の支持団体というよりも、裏で操る傀儡師(くぐつし)とも言える存在でしょう。

今がチャンスだとばかりに、改憲アクセルを踏み込むよう、操り糸は引かれるでしょうが、それは急速に国民の支持を失う道。それを知っているアベさんは、どう老獪に、ウマク立ち回って人気の維持をはかりつつ、「悲願」の改憲を達成するおつもりなのでしょうか?

戦争の悲惨を自ら体験し、辛酸を記憶に刻みつけた世代が次々に世を去って民族的な記憶が薄らぐなか、若者たち・子どもたちの間に、「戦争反対」を偏向と見なし、「戦争に行きたくない」は自分中心、極端な利己的考えと決めつけるような空気を醸成することが、遠回りのようでも確実な近道だと腹をくくっているので消化。いやいや、それともいまぞ機は熟したと全面攻勢を決意しておられますかな?

そのような今だからこそ、子どもに平和の尊さや命のかけがえのなさを教えるような「偏向」教師は排斥しなければならないというわけでしょうか?

先日のこの記事(大橋巨泉、井上ひさし、菅原文太、愛川欽也の言葉に、いま、耳傾ける時。
で、巨泉さんのこんな文章を引用しました。
竹槍こそ使わなかったが、本土決戦を本気で考えているうちに、東京大空襲から広島・長崎まで、何十万人という市民の命が、無意味に失われた。そして300万人の貴重な犠牲の上に、われわれは平和を手に入れ、戦争のできない憲法のもと、70年の繁栄を享受してきた。
 いかに戦争が悪で、平和や自由が尊いか。若い人もようやくわかってくれたようだ。8月30日の大集会はインパクトがあった。こうした若者に対し、自民党の武藤貴也衆院議員が、「戦争に行きたくないので反対」というのは「利己的個人主義」と批判(※1)したのには驚いた。この人は36歳、若者である。ここにはすでに「滅私奉公」のメンタリティーが感じられる。デモの若者たちの発言は、「殺人したくないから反対」というのと同じだということがわかっていない。もう日本人は崖っぷちに立っているのだ。

武藤なにがしとかいう議員さんのことなど、もうお忘れかもしれませんが、去年、私もこんな記事を書きました。

◇佳き光賜(たまは)る朝や稲太る

◇昔、水木しげるロードを歩いたっけ、の巻(その3)
話題になった彼のツィートを、念のためにもう一度引用しておきます。


 SEALDsという学生集団が自由と民主主義のために行動すると 言って、国会前でマイクを持ち演説をしてるが、彼ら彼女らの主張は「だって戦争に行きたくないじゃん」という自分中心、極端な利己的考えに基づく。利己的 個人主義がここまで蔓延したのは戦後教育のせいだろうと思うが、非常に残念だ。

返信 リツイート いいね 2015.07.31 01:17



思わず長い文章になりそうですので、今日はいったんここで中断し、続きは次回といたします。






先日散歩した県自然保護センターの「虫の原っぱ」では、ハッチョウトンボ以外にも出会いがありましたよ。



こちらは、チョウトンボ。超トンボではなく、「蝶トンボ」です。











イトトンボも何種類か見えます。











































バッタです。

バッタには、こんな逸話があるそうです。





 3世紀の小アジアに生まれた聖バルバラがキリスト教の信仰を守ろうとして身を隠していたところ、居場所を羊飼いに密告され、その結果その羊飼いの羊がバッタに変わってしまったという伝説が残されている。〈ウィキペディアより)


密告とバッタが結びつきましたところで、お後がよろしいようで。
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美美

チョウトンボ綺麗ですね。
私には見た記憶が無いんですよ^^;
by 美美 (2016-07-12 18:09) 

kazg

チョウトンボ、ふわふわひらひらして、不思議なトンボです。色も、光線の具合で微妙な金属光沢がみえます。
by kazg (2016-07-12 21:55) 

Sparky

イギリス人は(戦勝国だからでしょうか)戦争に対する考え方が日本人とはずいぶん違うように感じます。あくまで私が個人的に感じていることですが、「戦争=悪」ではなく「自由や民主主義を守るための戦争は正義」という風潮があるように思います。10年以上前の話ですが、英国の歴史上の偉人100人を視聴者が選ぶBBCのテレビ番組で1位になったのは、ウィンストン・チャーチル首相でした。イギリスでの戦勝記念日の式典の様子を見るたびにどうも落ち着かない気分になってしまいます。こんな記事を見つけました。
http://c-faculty.chuo-u.ac.jp/~usami/VEday.html
by Sparky (2016-07-13 01:00) 

kazg

Sparky 様
リンク記事読ませていただき、考えさえられました。数学者のピーター・フランクルの「国際人の条件は英語が話せることではありません。国際人の条件は、とても大切な外国人の友だちを少なくとも一人持っていることです。」という言葉、メモしました。
by kazg (2016-07-13 05:48) 

momotaro

教育は国(家)・政府から独立しているべきです。三権分立ではなく、四権独立であるべきです。共同体が運営にあたるべきで、国が口を挟むべきではありません。
そういう認識など全くない人たちだから、通報せよなどと言い出すのです。困った人たちです。
チョウトンボなるものがいるとは知りませんでした。
by momotaro (2016-07-15 16:41) 

kazg

momotaro様
教育は、あくまで、国民に直接責任を負って行われるべきで、目の前の子どもたちや父母に奉仕すべきものだと思います。教育が時の権力に奉仕するものであってはならないし、国民を権力に奉仕させるための者であってもならないと、、。
チョウトンボ、運良く出会うことがあります。
by kazg (2016-07-16 00:49) 

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