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今もなおとびらをたたく音きこゆ(8月に寄せた学級通信2) [私の切り抜き帳]

昨日の記事でご紹介したクラス通信の三年後の1991年の夏、これも二年生のクラスの生徒に向けて書いた文章です。





読み返して見ると、3年前の文章を使い回している部分もかなりあります。「コピーアンドペースト」という用語はまだ存在していないか、少なくとも一般的ではなかった頃ですが、実質はそれです。今も昔も、同じようなその場しのぎをしておりますな《汗)。
重複部分は除いて、文章に書き起こしてみます。

開けてちょうだい たたくのはあたし/あっちの戸こっちの戸あたしはたたくの/こわがらないで見えないあたしを/だれにも見えない死んだ女の子を・・・トルコの詩人ナジム・ヒクメットの詩「死んだ女の子」の一節だ。
原詩を左に掲げておくから、ひとつ自分で訳してみよう。
7つの時、ヒ口シマで死んだ女の子は、いまでも7つのまま。なぜなら、死んだ子は大きくなれないから。
ヒロシマで死んだ女の子の願いは何?甘い果物、おいしいご飯、飴玉、それともふかふかのパン?
いえ、死んだ女の子に、そんなものはもういらない。死んだ女の子の願いは、平和。 世界中の子供たちが、生きて、育って、笑って、遊ぺるように。
そのために、彼女は世界中の家々の前に立ち、扉をたたく。「戦争が起こらないようにして頂戴、子どもが戦火に灼かれることのないように、あなたの力を貸して頂戴
(中略)
そして、世界最初の(今のところ唯一の)被爆国日本は、いまや世界有数の軍事力を有するまでになり、“平和協力の名のもとに、自衡隊海外派遭の一歩を踏み出すまでになった。政府自身“国是”と称してきた「非核三原則(作らず、持たず、持ち込ませず) 」も、有名無実化して久しい。
湾岸戦争で”大活躍”の巡航ミサイル“トマホーク”を積んだ船は、この日本を基地にして出撃していった。辛うじて、今回のイラク攻準に核ミサイルは使用されなかったが、当然、核攻撃の準備は、周到におこなわれていた。
”死んだ女の子”の悲劇の再現は、目の前だ。そして今度は、ヒロシマ・ナガサキの体験を有するわが国が、公然とした加担者として立ち現れようというのだろうか。
確かに、イラクのクウェート侵略は許されない。ちょうど、軍国日本のアジア侵略が、不正義であったと同様に。
だが、非戦闘員・婦女子・病人をも含むイラク国民全体を標的にした軍事行動は、正義の名に値するか。これを正義と認めるには、大戦末期、日本の敗北がすでに決定的になっている段階で、無差別殺戮の限りを尽くした大空襲や、ヒロシマ・ナガサキへの原爆投下をも“正義”としなくてはならぬ。「犠牲を最小限にとどめるための人道的措置」との強弁を、甘んじて受け入れなくてはならぬ。
この不条理に、「死んだ女の子」は何と言えばよいのだろう。
生きているものは何をすればよい?
愚かしいあやまちは繰り返されてはならない。
ゲンバクで死んだ幾万の子どもたち、戦争で死んだ幾百千万の子どもたち、あなたがたの:悔しさを、二度と再び地球上のこどもたちにかみしめさせる事のないように、地球上に再び被爆者をつくらないために、いま、生きている私達も一緒に声を上げるときではないか。
“核兵器の廃絶を”、”被爆者援護法の即時制定を”“憲法の復権を”---そう思わずにはいられない夏である。

「死んだ女の子」ナジム・ヒクメット

これを書いた頃は、まだ「パソコン」と言えば、統計処理のために職場の共有物の電算機に向かって、必要に迫られておそるおそる打鍵する、といった存在でした。ましてやインタネット検索など、想像だにできない世界でした。

ヒクメットの詩も、当然のことながら、何らかの機会にたまたま目にした詩を書き留めて、生徒に紹介したという次第です。

今なら、ネット検索で、詳細な情報が手に入り、もっと深い理解が可能であったかもしれません。
たとえば、これまでも何度か紹介した詩人・翻訳家の大島博光さんが、こんな訳詩をされていることも、やすやすと見つけ出すことができます。
大島博光記念館 Oshima Hakko Museum のHPの、次のページから紹介させて戴きます。ナーズム・ヒクメット Nâzım Hikmet

ヒロシマの少女

このページには、この詩の作者ヒクメットについて、このような紹介が添えられています。

ナジム・ヒクメットはトルコの生んだ世界的な大詩人です。青年時代から革命運動に参加した彼は、その生涯に、何回となく投獄され、そしてまた国外に亡命しな
ければならなかったのです。ソヴェトに亡命したときには、彼はマヤコフスキーとも会っています。ヒクメットの詩は、素朴で、自然で、透きとおっている、といっていいでしょう。しかし、そこでは、すべてが歌っているのです。詩人の善意、やさしさ、ゆるぎない革命的精神が、うたっているのです。彼はまたこう言っています。

 「自分の祖国と自国の労働者を愛さない者は、全世界と世界の労働者を愛することはできない。そして世界と全世界の労働者を愛さないものは、自分の祖国と自国の労働者を愛することはできない。そして愛することを知らぬ者は、文学や絵画にたずさわることはできない。

 ネルーダはつぎのような詩をヒクメットに贈っています。

 全世界のために書いた 偉大な詩人

 人類の多数派にぞくする 偉大な男

 自分の祖国から責めたてられた 偉大な愛国者

 ナジム・ヒクメットは 世紀の詩で無類だ

 彼はわたしにとって 英雄主義と優しさの化身であった

     (「妻への手紙」解説 大島博光 掲載誌不詳)

 


私が学級通信で引用した訳詩は、中本信幸氏の訳のようです。

最近では元ちとせさんが歌ってひろく知られるようになりました。

 

あけてちょうだい たたくのはあたし

あっちの戸 こっちの戸 あたしはたたくの

こわがらないで 見えないあたしを

だれにも見えない死んだ女の子を



あたしは死んだの あのヒロシマで

あのヒロシマで 夏の朝に

あのときも七つ いまでも七つ

死んだ子はけっして大きくならないの



炎がのんだの あたしの髪の毛を

あたしの両手を あたしのひとみを

あたしのからだはひとつかみの灰

冷たい風にさらわれていった灰



あなたにお願い だけどあたしは

パンもお米もなにもいらないの

あまいあめ玉もしゃぶれないの

紙きれみたいにもえたあたしは



戸をたたくのはあたしあたし

平和な世界に どうかしてちょうだい

炎が子どもを焼かないように

あまいあめ玉がしゃぶれるように

炎が子どもを焼かないように

あまいあめ玉がしゃぶれるように



(ナジム・ヒクメット作詞、中本信幸訳)

 
 
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  • アーティスト: 岡本定義,上田現,HUSSY_R,中本信幸,松任谷由実,ナジム・ヒクメット,COIL,常田真太郎,間宮工,松任谷正隆
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これとは違う詩と曲もあります。↓こちらのブログに、曲付きで紹介してくださっています。

二木紘三のうた物語

 このページです。

作詞:ナーズム・ヒクメット、作曲:木下航二
日本語詞:飯塚 広


1 とびらをたたくのはあたし
  あなたの胸にひびくでしょう
  小さな声が聞こえるでしょう
  あたしの姿は見えないの



2 十年前の夏の朝
  あたしはヒロシマで死んだ
  そのまま六つの女の子
  いつまでたっても六つなの



3 あたしの髪に火がついて
  目と手がやけてしまったの
  あたしは冷い灰になり
  風で遠くへとびちった



       (間奏)



4 あたしは何にもいらないの
  誰にも抱いてもらえないの
  紙切れのように燃えた子は
  おいしいお菓子も食べられない



5 とびらをたたくのはあたし
  みんなが笑って暮らせるよう
  おいしいお菓子を食べられるよう
  署名をどうぞして下さい

  ブログ主、二木紘三様のコメントを少し、引用させていただきます( このページ).

 

昭和32年(1957)に発表され、原水禁運動の集会や歌声喫茶で盛んに歌われました。

作曲者の木下航二は、当時、都立日比谷高校の社会科教師で、『原爆を許すまじ』の作曲者。原詩はトルコの社会派詩人ナーズム・ヒクメットの『KIZ ÇOCUĞU(クズ・チョズーウ)(小さな娘)
 ヒクメット
(写真)は、オスマントルコ時代の1902年、帝国西端の都市サロニカ(現ギリシア領テッサロニキ)で、帝国高官の家に生まれました。11歳ごろから詩を書き始めたといいます。
 第一次大戦が始まると、トルコ中興の祖といわれるムスタファ・ケマル・パシャ
(のちのケマル・アタチュルク)が指導する祖国解放闘争に参加。その後、ロシア革命後のソ連に渡り、詩人マヤコフスキーの影響を強く受けて、力強い自由律詩を書き始めました。
 1924年、新生トルコ共和国に帰国し、執筆活動を中心とした社会改革運動を展開しましたが、その社会主義的傾向が新生トルコ政府の忌避するところとなり、何度も投獄されました。獄中生活は通算17年に及びましたが、その志操は毫も揺らぎませんでした。
 1950年、トルコ政府は国際世論に妥協して、彼を釈放しましたが、その後も執拗に弾圧を続けました。自由な言論を封じられたヒクメットは、翌1951年、トルコを密かに脱出して、ソ連に亡命しました。トルコ政府は、ただちに彼の国籍を剥奪しました。

 ヒクメットはモスクワで、詩、エッセイ、小説、戯曲、映画、シナリオ、バレエ台本などを精力的に執筆するかたわら、反戦・平和を求める国際連帯運動の先頭に立って戦い続けました。20世紀を代表する知性の1人といってよいでしょう。

1963年6月、亡命先のモスクワで、ヒクメットは、故国に残してきた妻子を思いつつ客死しました。享年61歳。

(中略)

 ヒクメットはこの詩のほか、第五福竜丸事件の漁師を悼んだ『日本の漁夫』や『雲が人間を殺さないように』という原水爆への抗議を歌った詩をいくつか作っています。
 彼の詩は、日本だけでなく世界中で、メッセージソングとしてのフォークや、プロテストソングとしてのロックに作曲され、多くの人に歌われています。
 さて、
私は、この歌を覚えた当初から、最後の「署名をしてください」に違和感を感じてきました。
 1番から4番までは、原爆で燃え尽きたいたいけな女の子だったのが、5番に来ると、突然反核運動家に変身します。1番から4番までは「詩」なのに、5番は反核運動のプロパガンダになっています。詩としての整合性が崩れている、という思いがぬぐえませんでした。

 ところが、takano shizuyoという方が送ってくださった原詩の逐語訳を読んでから、少し考えが変わりました。
 「署名をしてください」は、署名活動に応じて名前を書いてほしいという限定的かつ散文的な意味ではなく、核廃絶の誓いをそれぞれの胸に刻み、その実現のためにできることをしてください、という象徴的な表現であろうと思うようになったのです。

 原詩には「おばさん、おじさん」という呼びかけがありますが、このわずかな差で印象がずいぶん違ってきます。
 ただ、アルファベットのような1バイト系の文字
(半角文字)のフレーズを、漢字・かなのような2バイト系の文字(全角文字)に直すと、どうしても省略せざるをえない部分が多くなってしまいます。そういうことを考えると、飯塚広の日本語詞は、相当よく練られた訳詞だといってよいでしょう。

 逐語訳は、次のとおりです。

1. 扉をたたくのは私です  扉を一軒一軒
   みなさんの眼に私は見えません 死んだ者は眼に見えません

2. 広島で亡くなり10年ほどになります 私は7歳だった女の子です

   死んだ子供たちは 成長しません

3. まず私の髪に火がつき 私の眼は燃えて焼かれてダメになりました

 ひと握りの灰になってしまい 私の灰は空中へ舞い上げられました

4. 私がみなさんから自分のために  欲しいものは何もありません

  お菓子さえ食べられません  紙みたいに燃えた子どもは

5. みなさんの扉を私はたたいています   おばさん おじさん 署名をしてください

   子どもたちを殺させないように  お菓子も食べられるようにしてください

                                                                            (二木紘三)

 

大変勉強になりました。感謝。

リンクと引用を快諾していただき、お礼申します。


今朝の散歩道も、セミの合唱のシャワーでした。しかも、ビュンビュンと飛び回って、私の体の激突してくるセミも、何匹もいました。

 
8月の田園朝景色
8月の田園朝景色 posted by (C)kazg

8月の田園朝景色
8月の田園朝景色 posted by (C)kazg

8月の田園朝景色
8月の田園朝景色 posted by (C)kazg

8月の田園朝景色
8月の田園朝景色 posted by (C)kazg

8月の田園朝景色
8月の田園朝景色 posted by (C)kazg

8月の朝のノウゼンカズラ
8月の朝のノウゼンカズラ posted by (C)kazg

8月の朝のクレマチス
8月の朝のクレマチス posted by (C)kazg 

 炎昼に燃えさかる百日紅。

  八月の赤い百日紅

八月の  赤い  百日紅 posted by (C)kazg 

 

  八月のピンクの百日紅

八月の  ピンクの百日紅 posted by (C)kazg

 下は、昨日の夕方の光景です。

夏雲の立つ夕暮れ時
夏雲の立つ夕暮れ時 posted by (C)kazg

きょうはこれにて。


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hatumi30331

きれいな空に百日紅〜
この平和が永遠に続きますように〜♪
by hatumi30331 (2016-08-05 23:17) 

kazg

hatumi30331様
まったく同感です。
by kazg (2016-08-06 00:50) 

momotaro

辛いですねぇ、しかし本当のことです。
こんなことが一瞬にして、多数の罪のない子に起こってしまった。
アメリカ人は何を考えているのか、人の心があるのか?
対峙していた日本も残忍極まりなかった。
その反省すらしない人たちが、今また国を動かしている・・・
by momotaro (2016-08-06 12:23) 

kazg

momotaro様
>その反省すらしない人たちが、今また国を動かしている・・・
同じ敗戦国であるドイツとの決定的な違いは、戦犯を徹底して断罪するころから再出発し、今も轍を踏まないために断罪し続けているかどうかにあると指摘する意見もありますね。説得力があります。
by kazg (2016-08-06 15:43) 

majyo

若い時は何も考えずに青春の夏を楽しみましたが
この年になってあらゆる危険から
夏が楽しめません
死んだ女の子は以前にも記事にしたのですが
こちらを拝見し、今日だ! と私もご紹介しました
この曲は泣けてきます
by majyo (2016-08-06 18:51) 

kazg

majyo様
貴ブログの記事拝見。同感です。
死んだ女の子、辛くて、嗚咽をもよおします。新たな被爆少女を生むことがないように、と祈ります。
by kazg (2016-08-06 20:06) 

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