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冬立つや冬鳥あまた見鶴鴨 [折々散歩]

アジア人留学生と学んでいる日本語学習の教材に、次のような余興を取り入れてみました。これはずっと以前、高校「古文」の入門期につくった導入教材をアレンジしたものです。


 Q1  日本語の文字は三種類あります。それが使われ始めたのが早い順に並べなさい。

Q2 奈良時代にできた「万葉集」という和歌集(最古の和歌集)は、こんな文字で書かれています。  読めるかな?
①余 能 奈 可 波          
②春 過 而          
③見 鶴 鴨          
④於 保 吉 民          
⑤二二          
⑥十六          
⑦牛鳴          
⑧馬声          
⑨蜂音          
⑩山上復有山            

Q3 このような、漢(かん)字(じ)の音(おん)や訓(くん)や意(い)味(み)を当(あ)てはめて日(に)本(ほん)語(ご)の表(ひよう)記(き)に用(もち)いた文(も)字(じ)を、「   」といいます。


答えは、次の通りです。
Q1  漢字  片仮名  平仮名
Q2 ① 「よのなかは」=「世の中は」
   ②「はるすぎて」=「春過ぎて」
   ③「みつるかも」=「見つるかも」
   ④「おほきみ」=「大君、王」
   ⑤「し」
   ③「しし」
   ⑦「む」
   ⑧「い」
   ⑨「ぶ」
   ⑩「いで」=「出」
Q3 万葉仮名


ここで、ちょっと、いつもの知ったかぶりの「解説」をくわえます。
Q1については、言うまでもないでしょうが、無文字時代の日本で、最初に用いられた文字は、中国から輸入された漢字でした。中国語の文法・用法や意味によらず、日本語の発音に合わせて書き表すために用いた漢字は「借字(しゃくじ)」と呼ばれます。「万葉集」の表記はこれに依っていましたから、「万葉仮名」と呼ばれることもあります。
(Q3も。詳しくはウィキペディア「万葉仮名」の項参照。)
その借字の偏や旁の一部分を使い、その文字の代わりとして用いたのがカタカナで、僧侶や学者などがメモ(速記)用の記号として用いはじめたものと言われます.
また、借字の草書体を大きく崩して書き表した文字から平仮名が生まれます。宮中の女房たちが主に用いたことから「女文字」とも呼ばれます。日本の古典文学を代表する平安女流文学はこの平仮名によって表記されました。そして、れっきとした男性ですが、紀貫之はみずからを女性に仮託して「男もすなる日記といふものを女もしてみむとてするなり」と、最初の仮名書き日記である「土佐日記」を執筆しました。平仮名使用による文学的可能性の広がりを追求したものと考えられます。彼は、古今集撰者の一人として平仮名による序文=「仮名序」を執筆してもいます。
現代の日本語表記は、表意文字である漢字と、表音文字である片仮名、平仮名のmix体であることにより表現の豊かさを獲得し、多彩な表情を担保し得ていると思います。


Q2は、「万葉仮名」のうちでも、「戯書」と呼ばれる知的お遊びの紹介です。
「奈泥之故」は「なでしこ」と読ませます。「なでしこジャパン」も漢字で書けばこうなります。
「夜露死苦」等の暴走族御用達の表現も、いわば万葉仮名のバリエーションであり、かれらも正統な日本文化の継承者と言えるのかも知れません。


⑤⑥は、かけ算の九九(くく)を使ったおあそびです。
数にまつわる言葉遊びには、こんな例があります。
「如是二二知三(かくししらさむ)」
「生友奈重二(いけりともなし)」
「不知二五寸許瀬(いさとをきこせ)」
「十六社者(ししこそば)」
「情八十一(こころぐく)」
「情(こころ)八十一(ぐく)」
「二八十一(にくく)あらなくに」


⑦⑧⑨は擬音、擬声による言葉遊びです。
⑦の「牛鳴」は推量の助動詞の「む」です。牛の鳴き声は、「む」と聞こえたのですね。
「なほやなりな牛鳴」(一一・二八三九)の例があります。
⑧⑨は、有名な「馬声蜂音石花蜘蟵荒鹿」(一二・二九九一)から。「いぶせくもあるか(心が晴れないことだ)」と読むそうです。
参考までに、国語学者橋本進吉氏の「駒のいななき」という文章の一節を青空文庫から引用してみます。


 駒のいななき
橋本進吉

「兵馬(へいば)の権(けん)」とか「弓馬(きゅうば)の家(いえ)」とかいう語もあるほど、遠い昔から軍事の要具とせられている勇ましい馬の鳴声は、「お馬ヒンヒン」という通(とお)り詞(ことば)にあるとおり、昔からヒンヒンときまっていたように思われるが、ずっと古い時代に溯(さかのぼ)ると案外そうでなかったらしい。『万葉集』巻十二に「いぶせくも」という語を「馬声(イ)蜂音(ブ)石花(セ)蜘※(「虫+厨」、第4水準2-87-81)(クモ)」と書いてあって、「馬声」をイに宛て、「蜂音」をブに宛てたのをみれば、当時の人々は、蜂の飛ぶ音をブと聞いたと共に、馬の鳴声をイの音で表わしていたのである。「いばゆ(嘶)」という語の「い」もまた馬の鳴声を摸した語であることは従来の学者の説いた通りであろう。蜂の音は今日でもブンブンといわれていて、昔と大体変らないが、馬の声をイといったのは我々には異様に聞える。馬の鳴声には古今の相違があろうと思われないのに、これを表わす音に今昔の相違があるのは不審なようであるが、それにはしかるべき理由があるのである。
 ハヒフヘホは現今ではhahihuhehoと発音されているが、かような音(おん)は古代の国語にはなく、江戸時代以後にはじめて生じたもので、それ以前はこれらの仮名はfafifufefoと発音されていた。このf音は西洋諸国語や支那(シナ)語におけるごとき歯唇音(ししんおん)(上歯と下唇との間で発する音)ではなく、今日のフの音の子音に近い両唇音(りょうしんおん)(上唇と下唇との間で発する音)であって、それは更に古い時代のp音から転化したものであろうと考えられているが、奈良時代には多分既にf音になっていたのであり、江戸初期に更にh音に変じたものと思われる。
 鳥や獣の声であっても、これを擬した鳴声が普通の語として用いられる場合には、その当時の正常な国語の音として常に用いられる音によって表わされるのが普通である。さすれば、国語の音としてhiのような音がなかった時代においては、馬の鳴声に最も近い音としてはイ以外にないのであるから、これをイの音で摸したのは当然といわなければならない。なおまた後世には「ヒン」というが、ンの音も、古くは外国語、すなわち漢語(または梵語(ぼんご))にはあったけれども、普通の国語の音としてはなかったので、インとはいわず、ただイといったのであろう(蜂の音を今日ではブンというのを、古くブといったのも同じ理由による)。

ちなみに、「いぶせく」は古代の形容詞「いぶせし」の連用形。気持ちが晴れない、うっとうしい等の意味。広島出身の友人は、「いぶせい」という方言が残っていると教えてくれたことがありました。
念のためにググってみると、瀬戸内地方から四国。豊前・豊後に用いられる方言として「いびしい」 「いびせえ」があり、「気持が悪い。気色が悪い。」の意味で用いられる由。
なんとなく釈然としないの「いぶかし」と、気持が悪いの「いぶせし」の混用と解説されています。
⑩も有名です。
「毎見 恋者雖益 色二山上復有山者 一可知美」(巻九・1787)をどう読むか、長い間の謎だったそうです。
「山上復有山」は山の上に山を書いて「出」という漢字ができることから「いづ」と読み、引用箇所は、「見るごとに 恋はまされど 色に出でば 人知りぬべみ」とよむそうです。
ここまでは、長~い導入部(マクラ)で、今日の本題はここからです。
③見 鶴 鴨   には、こんな用例があります。


「山邊乃 御井乎見我弖利 神風乃 伊勢處女等 相見鶴鴨」(一・八一)
【訓読】山辺の御井を見がてり神風の伊勢娘子どもあひ見つるかも
【読み】やまのへの みゐをみがてり かむかぜの いせをとめども あひみつるかも
【歌意】伊勢の斎宮に行ったついでに 山辺の聖泉を見に立ち寄り そこの乙女たちにも逢うことができたよ

【解説】「長田王を伊勢の斎宮に遣はす時、山辺(やまのへ)の御井(みゐ)にして作る歌」という詞書きあります。長田王(ながたのおほきみ)が、奈良から伊勢斎宮へ行く途中に、山辺(やまのへ)の御井(みゐ)に立ち寄った時に詠んだ歌というのです。

山辺(やまのへ)の御井は、名井として知られたようですが、その場所は一説には三重県鈴鹿市山辺町とも言われますが、確定できないそうです。

「見がてり」は、「がてら」の古い形、「神風の」は伊勢にかかる枕詞。

「相見鶴鴨」は「相(あひ)見(み)つるかも」とよみます。「相見る」は「出逢う」の意。「鶴」「鴨」は、共に「つる」「かも」を表わすための当て字で鳥の名とは関係ありません。「つる」は完了の助動詞「つ」の連体形。「かも」は詠嘆の終助詞です。



さて、今日のタイトルですが、今日は立冬。暦の上ではいよいよ冬です。さすがに今シーズン一番の冷え込みでした。

今朝も、ちょっとだけ農作業のち、自然環境体験公園を散歩しました。

昨日今日と続けて歩いた公園の池の中には、水鳥の姿が増えています。


バンです。




オオバン。たくさんいます。







カルガモはよく目にしますが、さて、手前のカモは新顔ですね。



最近、群れでやってきたようです。



これはカルガモですね。

自然環境体験公園のカルガモ

自然環境体験公園のカルガモ posted by (C)kazg

 

自然環境体験公園のカルガモ

自然環境体験公園のカルガモ posted by (C)kazg

自然環境体験公園のカルガモ(2016)



自然環境体験公園のカルガモ(2016) posted by (C)kazg

 

自然環境体験公園のカルガモ(2016)

自然環境体験公園のカルガモ(2016) posted by (C)kazg

 

自然環境体験公園のカルガモ(2016)

自然環境体験公園のカルガモ(2016) posted by (C)kazg

自然環境体験公園のカルガモ(2016)



自然環境体験公園のカルガモ(2016) posted by (C)kazg

 

自然環境体験公園のカルガモ(2016)

自然環境体験公園のカルガモ(2016) posted by (C)kazg


新顔のこれはオカヨシガモでしょうか?

 

自然環境体験公園のオカヨシガモ

環境体験公園のオカヨシガモ posted by (C)kazg 


自然環境体験公園のオカヨシガモ

自然環境体験公園のオカヨシガモ posted by (C)kazg 


自然環境体験公園のオカヨシガモ

自然環境体験公園のオカヨシガモ posted by (C)kazg 

自然環境体験公園のオカヨシガモ

自然環境体験公園のオカヨシガモ posted by (C)kazg 


自然環境体験公園のオカヨシガモ

自然環境体験公園のオカヨシガモ posted by (C)kazg 

 

自然環境体験公園のオカヨシガモ

自然環境体験公園のオカヨシガモ posted by (C)kazg 



自然環境体験公園のオカヨシガモ

自然環境体験公園のオカヨシガモ posted by (C)kazg 


スズガモとキンクロハジロのみわけがむずかしいです。

自然環境体験公園にいたこれは、スズガモでしょうか?

スズガモは海鴨だそうですが、この自然環境体験公園はほとんど児島湖と接しており、海水の児島湾もほど近くに位置していますから、海鴨が飛来してきても不思議ではないですが、、、。



自然環境体験公園のスズガモ

自然環境体験公園のスズガモ posted by (C)kazg

自然環境体験公園のスズガモ


自然環境体験公園のスズガモ posted by (C)kazg





これは児島湖に群れでやってきていた鴨ですが、後頭部の冠羽からキンクロハジロかと思うのですが。 

児島湖のキンクロハジロ

児島湖のキンクロハジロ posted by (C)kazg 

児島湖のキンクロハジロ

児島湖のキンクロハジロ posted by (C)kazg 

児島湖のキンクロハジロ

児島湖のキンクロハジロ posted by (C)kazg 

児島湖のキンクロハジロ

児島湖のキンクロハジロ posted by (C)kazg 


児島湖のキンクロハジロ

児島湖のキンクロハジロ posted by (C)kazg


大きな魚がはねました。

児島湖のキンクロハジロ

児島湖のキンクロハジロ posted by (C)kazg 

 

今日はこれにて。


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コメント 6

hatumi30331

バンちゃん、元気に泳いでますね。^^
私も探しに行こうかな?

今日は雨・・・明日から大阪も寒くなるようです。^^;
by hatumi30331 (2016-11-08 07:19) 

yakko

お早うございます。
嘴が赤いのがバンで白いのがオオバンなんですね、オオバンはこちらでも見かけたことがあります。鳥の見分けは殆で出来ません。
by yakko (2016-11-08 09:35) 

馬爺

最近はやっと水鳥がやってきて居ますね。
こちらの川でも鴨やバン等が水辺で遊んでいますよ。
by 馬爺 (2016-11-08 10:47) 

kazg

hatumi30331様
バン、あちらこちらの水辺で、最近、よく目にします。
姿も動きも可愛いです。
by kazg (2016-11-08 21:49) 

kazg

yakko様
バンは、季節によるともっと赤味が増しておしゃれになります。
鳥の見分け。ホントに難しいです。
by kazg (2016-11-08 21:53) 

kazg

馬爺様
水鳥の姿がいっぺんに増えました。毎年わすれずにやってくる律儀さに感心します。
by kazg (2016-11-09 04:37) 

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