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デンチュウでござるぞ、の巻 [今日の暦]

「デンチュウでござるぞ」といえば、忠臣蔵の松の廊下のワンシーンが思い浮かぶでしょう。
人形浄瑠璃や歌舞伎で、元祖「仮名手本忠臣蔵」を思い浮かべる方もおありでしょうし、長谷川一夫主演の映画「忠臣蔵」(1958年)やNHK大河ドラマ「赤穂浪士」(1964年)を真っ先に連想される方もおありでしょう。はたまた、世代によっては、それ以降の数々の、映画、ドラマ、舞台がイメージされる場合もありましょう。若い世代では、ドリフターズの「8時だよ全員集合」でのコントが印象に残っておられる方もあるそうな。(いや、もっと若い世代では、ドリフターズというグループの存在をご存じない場合もあるでしょうか。)
「武士の情け、おはなしくだされ梶川殿」の名セリフを、歌謡浪曲 「あゝ松の廊下」(歌:三波春夫)や、「刃傷松の廊下」(作詞:藤間哲郎 作曲:桜田誠一 歌:真山一郎)の曲とともに思い出される方もおありでしょう。
ネット検索をしておりますと、ユーチューブに、藤圭子さんの歌唱がUPしてありました。切々として良いです。

藤圭子 刃傷松の廊下 - YouTube



デビュー当時、年齢的にはほぼ同世代で、14インチの白黒ブラウン管テレビに写る薄倖の少女歌手は、気になる存在でした。下の記事にも書きました。
返す返すも残念な晩年でした。
ムクドリとモズが我が家の窓から見えました。

 藤圭子さんは、ほぼ同世代。密かにファンでした。8月22日が命日ですか。痛ましいことです。
藤圭子 GOLDEN☆BEST

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GOLDEN☆BEST 藤圭子ヒット&カバーコレクション 艶歌と縁歌

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去年放送されていたNHK朝ドラ「とと姉ちゃん」の主題歌「花束を君に」 は、宇多田ヒカルが母、藤圭子を想って歌ったとか。この歌が流れてくると、一歳児だった孫娘が、どんなに機嫌が悪くてもすぐに泣き止んで聞き耳を立てたそうです。
ところで、この記事↓↓↓にも書きましたが、「刃傷松の廊下」は、故H氏の持ち歌のひとつであったようです(生前、直接拝聴したことはないのですが)。
寒かりし討ち入りの日のエナガかな

 わが畏友、H氏の十八番の一つが「刃傷松の廊下」であったことから、彼の追悼式では、生前の本人の熱演(熱唱)をビデオで流したことも思い出されます。

その故H氏の出身地は、広島県にほど近い、県西部の町でした。先日、クロヅルとカナダヅルを訪ねて、笠岡干拓へ向かう途中、近くを通りかかり、ふと思い出しました。
その、道中に「田中美術館」への案内がありました。「田中」は、「タナカ」と読まずに、「デンチュウ」と読みます。彫刻家平櫛田中の出身地にちなんで建てられた美術館です。


上のHPには、こんな紹介が載せられています。

 平櫛田中(1872~1979)は岡山県井原市に生まれた、近代日本を代表する彫刻家です。
 本名を倬太郎(たくたろう)と言い、田中家から平櫛家に養子に入ったのち、田中(でんちゅう)と号しました。107歳でその生涯を閉じるまで、明治・大正・昭和の三代に渡って活躍しました。 岡倉天心と西山禾山に思想的な影響を受け、伝統的な木彫技術と西洋の彫塑を学んだ田中の作品は、観る者を引き込む緊張感と、人間味あふれる豊かな創造性を持っています。 なかでも井原地方の古い伝承に基づく《転生》(東京芸術大学大学美術館蔵)や、六代目尾上菊五郎をモデルに約20年の歳月をかけて完成した《鏡獅子》(東京国立近代美術館蔵、国立劇場展観)は、こんにち平櫛田中の代表作として知られています。

養家の「平櫛」姓の下に、生家の「田中」を号として名乗ったそうです。
今では時効となっているでしょうから暴露しますが、私の妻は美術の教員免許を持っていますので、大学卒業後、岡山県の教員採用試験を受けました。(彼女の出身地は四国なのですが、私との交際の都合からの進路選択でした。)
その面接試験で、岡山県出身の彫刻家の名を問われて、答えられなかったそうです。当時、私も平櫛田中という人を知りませんでしたか。専門分野の知識を問われて答えられなかった妻もうかつですが、郷土の偉人を知らない私もうかつなことでした。
のちのことになりますが、妻の父が還暦を過ぎた頃、こんな言葉を座右の銘のようにしていたことを思い出します。

いまやらねばいつできる
わしがやらねば誰がやる

六十七十ははなたれこぞう 
おとこざかりは百から百から 
わしもこれからこれから 


いずれも、平櫛翁が好んで口にし、揮毫もした言葉だそうです。
平櫛翁は、長寿で、高齢になっても活躍されたことでも知られます。
金田一耕助探偵が活躍するミステリー小説で知られる横溝正史が、朝日新聞夕刊1976(S51)年1月16日文化欄 のこんな文章を残しているそうです。

 「クリスティと私 晩年の創作力に改めて脱帽」

私の書斎には「夢」という一字を書いた軸が掛かっている。 九十七翁中書とあるのは、即ち木彫の平櫛田中先生九十七歳のときの ご揮毫である。平櫛田中先生の事蹟は本紙の元日の「ひと」の欄で 紹介されたから多くのひとが知っていられるだろうが、先生はたしか百三歳。 その先生が百歳になられたとき、むこう三十年間のクス、ケヤキ等木彫に 使用する原木を買い込まれたと当時ひとづてに聞いている。
 そこで去年の正月私はひそかにこういう戯れ唄を作った。
 田中先生には及びもないが、せめてなりたやクリスティ。
 私は今後何年生きるかしらないが、クリスティに倣って、 年一作長編を書いていきたいと決心したのである。


ところで、横溝正史と言えば、戦中、戦後の一時期、岡山県に疎開していたこと、その時期の見聞が、金田一シリーズ執筆の源泉になっていることはよく知られています。倉敷市のHPにこんな記事があります。

 横溝正史疎開宅
 
 横溝氏とその一家は,太平洋戦争末期の昭和20年4月,東京での戦禍を避けて,倉敷市真備町岡田村桜で約3年半の疎開生活を送った。
 当時,軍部の圧力で探偵小説を書くことが出来なかった氏は,岡田地区の人と交わり,畑でジャガイモつくりなどに精を出した。しかし,いつの日か本格的な長編作品を書きたいと考えた正史は,東京から運んだ蔵書を読み,地区の親しかった人たちから農村の因習,農漁民の生活などの話を聞き,作品の構想をあたためた。
 戦後,氏が日本で初めて本格理論的な推理小説を拓いた「本陣殺人事件」「獄門島」「八つ墓村」など多く名作が,疎開宅で著述された。
 名探偵金田一耕助は,「本陣殺人事件」で磯川警部と共に初めて横溝正史作品に登場した。氏の日記によると金田一耕助は,昭和21年4月24日この疎開宅で生まれたことになる。

また、倉敷観光webにはこんな記事があります。

この横溝正史の未発表原稿が、先日、新たに発見されたというニュースがありました。(読売online

 昭和を代表する推理作家の一人、横溝正史(1902~81年)が、太平洋戦争が始まった41年に唯一となる長編家庭小説を執筆していたことが分かった。
 遺品を所蔵する二松学舎大(東京都千代田区)が21日、発表した。作中には、名探偵・金田一耕助の原型とされる人物が登場するなど、専門家は横溝文学を考察する上で見逃せない作品としている。
 今回、全体像が判明したのは小説「雪割草」で、400字詰め原稿用紙で800枚近い長編。草稿の断片などから題名は知られていたが、発表媒体が不明で、「幻の作品」とされてきた。草稿を分析した同大の山口直孝教授らが、41年6~12月の「新潟毎日新聞」(途中から「新潟日日新聞」)に掲載されていたことを突き止めた。


今日、12月28日は、横溝正史の命日です。1981年逝去。79歳でした。
一方、平櫛田中翁の命日は、12月30日(1979年)。107歳でした。
まさしく「六十七十ははなたれこぞう おとこざかりは百から百から」ですね。

蛇足を一つ。
散歩中、こんな光景を見ると、「電柱ですぞ」とつぶやきたくなります。





コサギです。
電線ですぞ。

次は、ムクドリ。





そしてこれは?






これは別の場所で会いました。





ノスリでしょうか?
先日の食事中の二羽の猛禽も、ノスリだったかも知れません、
今日はこれにて。

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コメント 6

hatumi30331

電線の上には、色々止まってますよ。
上向いて歩かなきゃ!見逃しちゃう!(笑)

今年一年、ありがとうございました。
来年も、よろしくお願いします。
良い年末年始をお過ごし下さいね。
by hatumi30331 (2017-12-29 08:10) 

kazg

hatumi30331 様

>上向いて歩かなきゃ!見逃しちゃう!
まったくその通りですね。
こちらこそありがとうございました。来年もよろしくお願いします。
by kazg (2017-12-29 18:31) 

johncomeback

やっぱり猛禽はカッコいいですよね(^^)
by johncomeback (2017-12-29 22:42) 

kazg

johncomeback様
そうなんです。威厳というか、風格がありますね。
by kazg (2017-12-30 21:04) 

momotaro

「デンチュウでござるぞ」
序から落ちまで見事でござるぞ!
by momotaro (2018-01-06 14:31) 

kazg

momotaro様
恐れ入りましてございまする
by kazg (2018-01-09 17:19) 

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