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ワイシャツとカメとマサルの三題噺、の巻 [折々散歩]


予報通りの雨です。朝散歩は半袖シャツで出かけましたが、気温が低く、肌寒いほど。

カシワバアジサイでしょうか、日に日に花がほころんできています。







これは、セキチクだと思うのですが、、、。



えーと、この花はなんでしたっけ?







半袖では涼しすぎるので、濡れて着替えるついでに、長袖のワイシャツを着て仕事に行きました。「ワイシャツ」と書いてしまいましたが、雑学情報に寄りますと「ワイシャツ」とは「ホワイトシャツ」の転だそうですから、色つきシャツは「カラーシャツ」または「カラーシャツ」と呼ぶのが適当なのでしょうか?
雑学情報で面白いのは、明治時代、洋犬をカメと呼んだ、というエピソード。ちょっと関連資料を引用します。
デジタル大辞泉の解説
カメ
西洋犬のこと。明治初期、西洋人が飼い犬を呼ぶのに「Come here!」と言うのを「カメヤ」と聞き、「カメ」を犬の意、「ヤ」を呼びかけの意の「や」ととったことによる。
「おれが面を見りゃア異人館の―までがしっぽをさげる」〈魯文・西洋道中膝栗毛〉

「犬たちの明治維新―― ポチの誕生」(仁科邦男 著) が、そのあたりの事情を興味深く考証しています。

AMAZONの商品説明を少々引用します。

幕末の開国と明治維新は、
犬たちにとっても激動の時代だった──
『犬の伊勢参り』(平凡社新書)で【新書大賞2014・第2位】の著者による
傑作歴史ノンフィクション!

本書は、幕末明治期の史料に散らばった犬関連の記述を
十数年がかりで拾い集め、
それを時代の流れに即して体系的にまとめ、
「犬たちにとっての明治維新」を明らかにした初めての本です。
吉田松陰と犬、ペリーと犬、ハリスと犬、明治天皇と犬、西郷と犬など、
これまで誰も試みたことのない「犬」という視点から
まったく新しい幕末明治像を描いていきます。
犬好き、幕末好きにはたまらない非常に濃厚な一冊になっています。
ぜひご一読ください!
《内容より》
●吉田松陰のアメリカ密航を阻んだのは、横浜の村犬たちだった!
●幕府がペリーに贈ったチン(狆)は何匹で、そのうち何匹がアメリカに着いたか?
●幕府の遣米使節団、ペリーのチンと感動の再会!
●英国公使オールコックの愛犬トビー、熱海に死す…!
●攘夷派の水戸浪士による英国公使館襲撃を知らせた犬!
●外国人が洋犬に「come here(カムヒア)」と呼ぶのが、日本人には「カメや」と聞こえ、
「外国では犬は“カメ"というのか」と勘違い!
●明治維新を境に、日本犬が町や村から姿を消した…なぜか!!
●明治天皇、赤坂仮皇居で洋犬を溺愛!
●西郷が西南戦争に「犬連れ」で出陣した衝撃の理由!!
●上野公園の「西郷隆盛像の犬」のモデルとは!?
●明治時代の「犬の名前」人気ランキング!
●明治時代、なぜ犬は「ポチ」、猫は「タマ」と相場が決まったか?
●ポチの語源はpetit(プチ)?pooch(プーチ)?patch(パッチ)…?
……などなど

本書に引用される福沢諭吉の文章が、時代を席巻した洋犬ブームを彷彿させます。

「犬は近年西洋の雑種のみになって、日本純粋の種類はきわめて稀になった。その理由か知らぬが、犬の名はみな西洋風か西洋まがいになった。昔は(中略)ジミーとかジャッキーとかポチとかいうのは聞かなかった」(明治35年9月27日・朝日新聞)

明治43年の朝日新聞に掲載されたデータによる“犬の名前ランキング”は、こんな具合だそうです。

1位・ポチ/ 2位・ジョン/ 3位・マル/ 4位・クロ/ 5位・アカ/ 6位・ポーチ/ 7位・ボチ、チイ/ 9位・シロ、ハチ、チン、タマ



今日では、「ポチ」とい名前も聞かなくなりました。対米従属性を揶揄して「トランプのポチ」と嘲られる誰かさんのあだ名以外には、、、。

余談ですが、長男・長女が小学校低学年の頃に、学校帰りに拾ってきた捨て犬は「チロ」と名付けて飼い、18歳で天寿を全うしました。また、私が高校時代に飼った犬は、これも捨て犬でしたが、気取って「デューク」(公爵)と名付けました。

この記事にそのあたりの事情を少し書きました。

安酒をちびりちびりの物思い

そもそも文学というものは、「入試」とか「競り合い」とかの、世俗的な世界にはそぐわない、どちらかと言うとその対極に位置するような気が漠然としますが、不思議なことに、文学の持つ力は、それに触れるシチュエーションや環境にお構いなしに、読者のハートをわしづかみにすることがあるらしいです。
たとえば、同じく二〇〇一年度のセンター試験で、江國香織さんの「デューク」が出題された時には、試験会場に時ならぬすすり泣きの声が広がったと伝えられていますね。死んだ飼い犬の「デューク」が若い感性の柔軟さに、うらやましささえ感じるエピソードです。
デューク

デューク

  • 作者: 江國 香織
  • 出版社/メーカー: 講談社
  • 発売日: 2000/11/08
  • メディア: 単行本

 

 

著作権問題が気になりますが、まったく無断で少々引用します。

歩きながら、わたしは涙が止まらなかっ た。二十一にもなった女が、びょおびょお泣きながら歩いているのだから、ほか の人たちがいぶかしげにわたしを見たの も、無理のないことだった。それでも、 わたしは泣きやむことができなかった。
デュークが死んだ。
わたしのデュークが死んでしまった。
わたしは悲しみでいっぱいだった。
デュークは、グレーの目をしたクリーム 色のムク毛の犬で、プーリー種という牧 羊犬だった。わが家にやってきたときに は、まだ生まれたばかリの赤ん坊で、廊下を走ると手足が滑ってぺたんと開き、 すーっとおなかで滑ってしまった。それ がかわいくて、名前を呼んでは何度も廊下を走らせた。(そのかっこうがモップに 似ていると言って、みんなで笑った。) 卵料理と、アイスクリームと、なしが大 好物だった。五月生まれのせいか、 デュークは初夏がよく似合った。新緑の ころに散歩に連れていくと、におやかな 風に、毛をそよがせて目を細める。すぐ にすねるたちで、すねた横顔はジェーム ス=ディーンに似ていた。音楽が好きで、
わたしがピアノを弾くといつもうずく まって聴いていた。そうして、デュークはとても、キスがうまかった。
死因は老衰で、わたしがアルバイトから帰ると、まだかすかに温かかった。ひざ に頭をのせてなでているうちに、いつの まにか固くなって、冷たくなってしまっ た。

 この、死んだ愛犬「デューク」が、飼い主である彼女の前に、少年の姿であらわれるのです。

大通りにはクリスマスソングが流れ、薄青い夕暮れに、ネオンがぽつぽつつきは じめていた。
「今年ももう終わるなあ。」
少年が言った。
「そうね。」
「来年はまた新しい年だね。」
「そうね。」
「今までずっと、ぼくは楽しかったよ。 」
「そう、わたしもよ。」
下を向いたままわたしが言うと、少年は わたしのあごをそっと持ち上げた。
「今までずっと、だよ。」
懐かしい、深い目がわたしを見つめた。 そして、少年はわたしにキスをした。
わたしがあんなに驚いたのは、彼がキスをしたからではなく、彼のキスがあまりにもデュークのキスに似ていたからだっ た。呆然として声も出せずにいるわたしに、少年が言った。
「ぼくもとても、愛していたよ。」
寂しそうに笑った顔が、ジェームス=ディーンによく似ていた。
「それだけ言いに来たんだ。じゃあね。元気で。」
そう言うと、青信号の点滅している横断歩道にすばやく飛び出し、少年は駆けていってしまった。わたしはそこに立ちつ くし、いつまでもクリスマスソングを聴いていた。銀座に、ゆっくリと夜が始まっていた。

 やっぱり泣けますね。


ところで、まったく何の関係もないのですが、私が高校生の頃に飼っていた、捨て犬上がりの雑種犬は、気取って「デューク」と名づけました。公爵という称号に特別の思い入れがあったわけではありませんが、語感の良さ、呼びやすさから思いついたのだったと思います。

でも、昔人間の父母には、発音しにくかったようで、「リュックサックのリュック」と、近所の子どもたちに紹介しておりました。

賢い犬で、大抵の言葉は理解しているようでした。田舎のことですから、鎖を外して自由に野に放っていても、私の指笛を聞きつけると、どこからでも駆け戻ってきました。狩猟犬の素質もあるらしく、野鳥を捕らえて、自慢そうに咥えて帰ることもありました。私が大学に入学し、故郷を離れたのを最後に、お別れしました。近所の養鶏場の鶏を襲ったとの嫌疑を受け、恐縮した両親が、保健所に処分を委ねたのだそうです。初の夏休みに帰省した時、鎖と首輪の残滓だけが残っているのを見つけ、事情を聞いたわたしは、抗うこともならず、黙ってうなずくばかりでした。

まもなく、父が会社の合理化・縮小の影響で、東京の関連企業に転勤し、近郊の狭いアパートに引っ越すという環境変化があって、 犬を飼い続けるなどの条件もなくなったのですが、、、、。

その点、2007年の正月に、18歳で長寿を全うしたチロは、これも捨て犬上がりでしたが、長く家族の一員として私たちを悦ばせてくれ、いまは、故郷の先祖の墓地に眠っています。たくさんの想い出がありますが、ごくごく私的な思い入れとなりますので、語ることはしません。

若かりし日のチロの写真をご覧下さい。隣にいるのは、小学生の頃の次男です。今や、2歳の女児の父です。

file0002.jpg

 安酒をちびりちびりやりながら書いておりますと、話がもつれにもつれて、どこに転げて行くやら分かりません。 産前休暇に入った娘が、旦那さんの帰りが遅いので今晩は夕食を共にしたいと言いますので、待っています。待ちながら、安酒をちびりちびりするうちに、だいぶ出来上がってしまいました。




話は飛びますが、ピョンチャンオリンピックで金メダルを獲得したフィギュアスケートのザギトワ選手(ロシア)に贈呈される秋田犬がの子犬が、25日午前、成田発の日航機でモスクワに空輸されるそうです。ザギトワ選手は、「勝利」の意味を込めて「マサル」と名付けたいと話しているそうな。雌犬なのに「マサル」?なんて突っ込む気持ちはありません。突っ込みたいのはこれ。↓

「秋田魁新報」の記事(5/17)を引用します。

秋田犬贈呈に首相臨席へ 「贈るのは保存会 節度守って」

【モスクワ共同】平昌冬季五輪フィギュアスケート女子で金メダルを獲得したアリーナ・ザギトワ選手(15)に秋田犬保存会が子犬を贈呈する今月下旬の式典に、首脳会談のためロシアを訪問する安倍晋三首相が臨席する方向で調整されていることが16日、分かった。複数の関係者が共同通信に明らかにした。

 日本政府関係者は「日ロ友好を演出する良い機会になる」と強調する。ただ秋田犬保存会の会長で日本維新の会の遠藤敬国対委員長は「贈呈するのはあくまで保存会。首相が贈呈する形になれば会員に説明がつかない。友好演出はやぶさかでないが節度を守ってほしい」と話している。


buzzapの5/18付記事はもっと辛辣です。

子ども食堂に続き、自分は全く関係ないのに便乗して人気とりです。詳細は以下から。
自分が目立って人気とりをするためなら子ども食堂でもリオ五輪でも無節操に便乗する安倍首相ですが、今度は秋田犬とザギトワ選手をダシに使うことに決めたようです。
平昌冬季五輪フィギュアスケート女子で金メダルを獲得したアリーナ・ザギトワ選手に秋田犬保存会が子犬を贈呈するという話は既に日本でも話題になっています。
そのための5月下旬の式典に首脳会談のためロシアを訪問する安倍晋三首相が臨席する方向で調整されていることが判明し、戸惑いの声が広がっています。
日本政府関係者は「日ロ友好を演出する良い機会になる」と強調しつつ安倍首相のイメージアップを狙い、支持率回復に繋げたい考え。
(中略)
秋田とも秋田犬とも何の繋がりもない安倍首相がここでしゃしゃり出てあたかも自分の手柄のように振る舞われていい気分のする人などいるはずもありません。
安倍首相のあからさまな便乗商法としては、リオ五輪閉会式でマリオの仮装で登場して見せたこと、さらには政府の子どもの貧困への対策が不十分な事への対症療法として民間が身を粉にして成立させている子ども食堂へのフリーライドなどが挙げられます。
そんな人気とりのパフォーマンスなどせずとも、国民のためになる政治をシンプルに行えば支持率はついてくるはずですが…?

中村愛媛県知事が国会に提出した新文書では、2015年2月に加計孝太郎氏と面会した安倍首相は「そういう新しい獣医大学の考えはいいね」とコメントしたそうな。首相の国会答弁では17年1月20日に初めて知ったと繰り返していますから、どちらかが虚偽ということになります。どう考えても、中村知事には、ウソをつく動機もメリットも思い当たりませんから、おのずと疑惑は絞られてきます。人気とりのパフォーマンスの前に、日大アメフト選手の潔い謝罪記者会見の爪の垢でも煎じて、キッパリ真実を語ってほしいものです。

「世界一企業活動がやりやすい日本にするための「働かせ改革」法案。データの杜撰さを認め、口先では「お詫び」しながらも、会期末に向けて法案はなんとしても強行したいという乱暴な国会運営も「国民のためになる政治をシンプルに行」うのとは真逆の政治姿勢です。

それでも支持率が回復???謎の怪奇現象の成り行きは、もう少し見守ってみなければならないようですね。

今日はこれにて。


nice!(26)  コメント(4) 

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コメント 4

majyo

一番下のお花、畑に植えました。すぐに名前を忘れます
ビロードのような

犬にまつわるお話が・・・・
随分泣きましたね。死んだときは
しかしいつしか泣かなくなりました。
それでいいのでしょう。
贈呈式にいくなんて信じられない。恥ずかしすぎます

by majyo (2018-05-24 06:26) 

kazg

majyo様
一番下の花、実家の庭にも咲いていましたが、名前が、、、?
贈呈式、なんでも政治利用。無節操の極みですね。
by kazg (2018-05-24 20:46) 

momotaro

デューク、悲しい思い出ですね
アベシンゾウ、都合のいいことはなんでも利用しますね、羽生結弦の人気も利用するようです。
勝手にしろ!
by momotaro (2018-06-03 05:46) 

kazg

momotaro様
>アベシンゾウ、都合のいいことはなんでも利用
利用できそうなものはなんでも利用し、手に余るとみるやすぐにポイする、、。究極の御都合主義にあきれるばかりですね。

by kazg (2018-06-03 17:14) 

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