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「沖縄慰霊の日」にグスコーブドリを思う、の巻 [今日の暦]

今日は戦後73年目の「沖縄慰霊の日」。
過去にもこんな記事を書きましたが、今日もまた思いは同じで、同工異曲の記事になりそうです。

沖縄慰霊の日に思う


沖縄慰霊の日に思い出すこと。


沖縄慰霊の日に思い出すこと(その2)


沖縄慰霊の日に思い出すこと(その3)


沖縄慰霊の日に思い出すこと(その4 最終回)

今日の「毎日新聞web版」は,こんな記事を伝えています。

追悼式では、沖縄県浦添市立港川中学3年の相良倫子(さがらりんこ)さん(14)が、自作の平和の詩「生きる」を朗読した。沖縄戦を生き抜いた曽祖母の体験を聞き、「平和とは、あたり前に生きること。その命を精一杯輝かせて生きること」と考えた。生まれ育ったこの美しい島から伝えたい。「鎮魂歌よ届け。悲しみの過去に。命よ響け。生きゆく未来に。私は今を、生きていく」
相良さんの詩は県平和祈念資料館が募った「平和の詩」971点の中から選ばれた。
 うるま市に住む94歳の曽祖母は戦前から理容店で働き、地上戦を体験。友人が目の前で被弾して命を落としたことや家族と離ればなれになった話を聞き、相良さんは「戦争の残酷さを感じた。曽祖母の存在から平和や戦争について考える機会が増えた」と振り返る。
 5月に曽祖母が入院したことで、「生きる」を詩のテーマに決めた。「優しく響く三線は、爆撃の轟に消えた」「青く広がる大空は、鉄の雨に見えなくなった」。作品では「戦争の残酷さがより伝わる」と美しい島の現在の情景と73年前の戦場を対比的に描いた。
 「戦争は人を鬼に変えてしまうから絶対してはいけない」と教えてくれた曽祖母。「この詩が一人でも多くの人に平和や戦争について考えるきっかけになってほしい」と願う。「一日一日を大切に。平和を想って。平和を祈って。なぜなら、未来は、この瞬間の延長線上にあるからだ。つまり、未来は、今なんだ」【佐野格】

また、同じく今日の「朝日新聞web版」は、相良さんの詩の全文を掲載しています。長い詩ですが引用させていただきます。

私は、生きている。/マントルの熱を伝える大地を踏みしめ、/心地よい湿気を孕(はら)んだ風を全身に受け、/草の匂いを鼻孔に感じ、/遠くから聞こえてくる潮騒に耳を傾けて。
私は今、生きている。
私の生きるこの島は、/何と美しい島だろう。/青く輝く海、/岩に打ち寄せしぶきを上げて光る波、/山羊(やぎ)の嘶(いなな)き、/小川のせせらぎ、/畑に続く小道、/萌(も)え出づる山の緑、/優しい三線の響き、/照りつける太陽の光。
私はなんと美しい島に、/生まれ育ったのだろう。
ありったけの私の感覚器で、感受性で、/島を感じる。心がじわりと熱くなる。
私はこの瞬間を、生きている。
この瞬間の素晴らしさが/この瞬間の愛(いと)おしさが/今と言う安らぎとなり/私の中に広がりゆく。
たまらなく込み上げるこの気持ちを/どう表現しよう。/大切な今よ/かけがえのない今よ
私の生きる、この今よ。
七十三年前、/私の愛する島が、死の島と化したあの日。/小鳥のさえずりは、恐怖の悲鳴と変わった。/優しく響く三線は、爆撃の轟(とどろき)に消えた。/青く広がる大空は、鉄の雨に見えなくなった。/草の匂いは死臭で濁り、/光り輝いていた海の水面は、/戦艦で埋め尽くされた。/火炎放射器から吹き出す炎、幼子の泣き声、/燃えつくされた民家、火薬の匂い。/着弾に揺れる大地。血に染まった海。/魑魅魍魎(ちみもうりょう)の如(ごと)く、姿を変えた人々。/阿鼻叫喚(あびきょうかん)の壮絶な戦の記憶。
みんな、生きていたのだ。/私と何も変わらない、/懸命に生きる命だったのだ。/彼らの人生を、それぞれの未来を。/疑うことなく、思い描いていたんだ。/家族がいて、仲間がいて、恋人がいた。/仕事があった。生きがいがあった。/日々の小さな幸せを喜んだ。手をとり合って生きてきた、私と同じ、人間だった。/それなのに。/壊されて、奪われた。/生きた時代が違う。ただ、それだけで。/無辜(むこ)の命を。あたり前に生きていた、あの日々を。
摩文仁の丘。眼下に広がる穏やかな海。/悲しくて、忘れることのできない、この島の全て。/私は手を強く握り、誓う。/奪われた命に想(おも)いを馳(は)せて、/心から、誓う。
私が生きている限り、/こんなにもたくさんの命を犠牲にした戦争を、絶対に許さないことを。/もう二度と過去を未来にしないこと。/全ての人間が、国境を越え、人種を越え、宗教を越え、あらゆる利害を越えて、平和である世界を目指すこと。/生きる事、命を大切にできることを、/誰からも侵されない世界を創ること。/平和を創造する努力を、厭(いと)わないことを。
あなたも、感じるだろう。/この島の美しさを。/あなたも、知っているだろう。/この島の悲しみを。/そして、あなたも、/私と同じこの瞬間(とき)を/一緒に生きているのだ。
今を一緒に、生きているのだ。
だから、きっとわかるはずなんだ。/戦争の無意味さを。本当の平和を。/頭じゃなくて、その心で。/戦力という愚かな力を持つことで、/得られる平和など、本当は無いことを。/平和とは、あたり前に生きること。/その命を精一杯(いっぱい)輝かせて生きることだということを。
私は、今を生きている。/みんなと一緒に。/そして、これからも生きていく。/一日一日を大切に。/平和を想(おも)って。平和を祈って。/なぜなら、未来は、/この瞬間の延長線上にあるからだ。/つまり、未来は、今なんだ。
大好きな、私の島。/誇り高き、みんなの島。/そして、この島に生きる、すべての命。/私と共に今を生きる、私の友。私の家族。
これからも、共に生きてゆこう。/この青に囲まれた美しい故郷から。/真の平和を発信しよう。/一人一人が立ち上がって、/みんなで未来を歩んでいこう。
摩文仁の丘の風に吹かれ、/私の命が鳴っている。/過去と現在、未来の共鳴。/鎮魂歌よ届け。悲しみの過去に。/命よ響け。生きゆく未来に。/私は今を、生きていく。

この詩を読む前に,私は今日のブログ記事をこう書き起こそうとしていました。
今朝(6/23)の地元紙「山陽新聞」のコラムに、こんな詩が紹介されていました。

おともだちとなかよし
かぞくが、げんき
えがおであそぶ。
ねこがわらう。
おなかがいっぱい
ヤギがのんびりあるいている

コラムはこう続きます。

沖縄全戦没者追悼式で5年前、作者の安里有生君が朗読した詩「へいわってすてきだね」だ。純粋で真っすぐなことばは、人気絵本作家の長谷川義史さんにも響き、絵本になった。(中略)▼世界に目を転じると,笑顔で遊べず、おなかをすかせた子どもたちがまだまだいる。冒頭の詩はこう結ぶ。「へいわがつづくようにぼくも、ぼくのできることからがんばるよ」。まずは大人が頑張らねば。

6歳(当時)の少年の思いと、14歳の少女の思いの切実さが、等しく胸を打ちます。平和とは、平和の願いとは、決して抽象的な飾り文句ではなく、子どもたちがその手で掴み、五感で感じ取ることのできる、具体的でシンプルな実体でなければなりません。「平和とは、あたり前に生きること。その命を精一杯輝かせて生きること」けだし至言です。

以下、次回に続きます。



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コメント 2

momotaro

相良さんの詩は本当に素晴らしいですねぇ
あんな酷い生き地獄を、二度と再現してはいけません。
特に沖縄には、永遠の平和を約束しなければなりません。それが日米両政府の責任です。
by momotaro (2018-06-24 01:27) 

kazg

momotaro様
>相良さんの詩は本当に素晴らしいですねぇ
アベさんの空っぽの「式辞」とは対照的に、詠む(聴く)ものの五感を揺さぶり、平和への希求を共感させますね。
by kazg (2018-06-24 05:56) 

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