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閑谷学校の楷の木、の巻 [折々散歩]

特別史跡旧閑谷学校」のHPにはこのような紹介記事があります。


近代化の原動力となった旧閑谷学校 「日本遺産第一号」に認定

閑谷学校は江戸時代前期の寛文10年(1670)に岡山藩主池田光政によって創建された、現存する世界最古の庶民のための公立学校です。初めて閑谷の地に来観した池田光政は、「山水清閑、宜しく読書講学すべき地」と称賛、地方のリーダーを養成する学校の設立を決めたのです。この学校の永続を願う藩主の意を受けた家臣津田永忠は、約30年かけて、元禄14年(1701)に現在とほぼ同様の外観を持つ、堅固で壮麗な学校を完成させました。

平成27年(2015)4月には「近世日本の教育遺産群」として特別史跡旧弘道館、史跡足利学校跡、史跡咸宜園跡などとともに最初の日本遺産に認定されました。(後略)


ところで岡山県には、県立和気閑谷(わけしずたに)高等学校という高校があります。その公式HPに、このような校長挨拶が掲載されています。


和気閑谷高等学校は、1670年に岡山藩主の池田光政が、地域のリーダーを育成するために、武士だけでなく、庶民の家に生まれた少年や他藩の少年も学ぶことができる学校を閑谷の地に開いて以来、今年で348年目を迎える、日本で最も長い歴史と伝統を誇る高等学校です。(後略)


「創立348年」を名乗る高校は、全国広しといえども、寡聞にして私は他に知りません。気宇壮大というか、大言壮語というか(いや、シツレイ。言い過ぎの段、校長はじめ関係各位に。謹んでお詫び申し上げます)。


この季節、聖廟(せいびょう)前に植栽されている2本の楷の巨木が


一本は紅色、一本は黄色に色づき、見学者を感嘆させます。特別史跡旧閑谷学校HPの記事を引用します。


楷の木(かいのき)

四季を通して情緒豊かな「学問の木」。

聖廟前に植えられた二本の楷の木は、中国山東省曲阜の孔林から種子を持ち帰り苗に育てられた内の2本です。

紅葉の季節には美しく色づく楷の木を見ることができます。


聖廟前に植えられた二本の楷の木は、中国山東省曲阜の孔林から種子を持ち帰り苗に育てられた内の2本です。


重要文化財
聖廟(せいびょう)

儒学の祖、孔子の徳を称える最も重要な施設。

孔子廟、西御堂とも呼ばれ、最も重要な施設として中央の一番高い所に配されています。

奥の大成殿には孔子像が安置され、毎年10月には儒学の祖、孔子の徳を称える「釈菜(せきさい)」の儀式が行われます。


以前楷の木を話題にしたこの記事でも、閑谷学校のそれに触れました。


再生の象徴 楷の葉は緑(2015-09-22)


先日、so-netブログのmajo様の9月19日付の記事「国会前へピクニック」のなかで、憲法制定50周年に記念植樹されたという櫂(楷)の木(カイノキ)が、平成25年の台風で倒壊したけれど、残された種子から後継樹が育っていると紹介してくださっていました。

(写真、お借りしました。 )
そこで、majoさんはこう書いておられました。

日本国憲法は、改正されてはいませんが
一内閣で大きく変えました。戦える国にです
しかし、倒れたこの木のように、また私たちはこの国を再生させなくてはなりません。

まことにその通りと、心を胸を打たれました。
ネット検索すると、奇しくも同じ日の「東京新聞」のコラムにこんな記事を見つけました。

国会議事堂の前庭に、一本の若木がある。憲法施行五十周年を記念して、参議院が植樹したという「楷(かい)」の木だ▼楷は紅葉が美しいウルシ科の落葉樹で、孔子の墓に弟子が植えたとの伝承がある。文人が好んで庭に植えたため「学問の木」とも呼ばれる。楷の字には、「正しく、規範となる」との意があるから、なるほど立法府が植えるにふさわしい木だろう▼さて、国会での安保法制の審議と採決のありようは「楷」に恥じぬものであったろうか。多くの法学者らが「違憲だ」と言うだけでなく、研究室から国会前に駆けつけて廃案を訴えた▼憲法学の泰斗・樋口陽一さん(81)も先日、マイクを握って議事堂に向かい、「みなさん一人一人が歴史に責任を持っている。自分の良心に照らして投票を」と呼び掛けたが、多数の力で押し切る与党の姿はまるで、「学問の木」を切り倒すかのようであった▼ただ樋口さんは国会前で声を上げ続ける市民らを見て、こうも語っていた。「(政権は)憲法のみならず、これまで積み重ねられたあらゆるものを壊そうとしているが、壊れないものを私たちはもうつくった。何があろうとも壊れない、壊させない。それが、ここにいる人たちとの絆です」▼実は国会前庭の楷の木は二年前の台風で倒れてしまったが、しかと再生したという。たくましき楷は国会の外で大きく育っていくはずだ。

正確には、majo様の記事の通り、種子から苗を育成したようですが。
ところで、楷の木は、孔子の死を悼んで、その墓(孔子廟)に弟子の子貢(しこう)が植えたとされます。「学問」、「規範」のシンボルとされる木だそうで、科挙(官吏登用試験)の合格祈願木ともされたそうです。楷書の「楷」もこの木にちなむとされます。
まことに憲法を象徴するにふさわしい木といえます。暴虐の嵐にいったんは倒れることがあったとしても、必ず不屈に再生させることができるのだと、勇気づけられるエピソードです。
因みに、子貢は字(あざな)=呼び名で、姓は端木、名は賜といいました。孔子の高弟のうちでも際立って弁論に優れ、また実業の才覚もあり、孔子一門を財政的にも支えたといわれます。

( 中略 )

孔子の死後、弟子たちは孔子の墓のそばで三年間喪に服したそうですが、子貢は六年間服喪したと伝えられています。
そういえば、櫂の木については、私も以前、この記事で写真を載せたことがありました。
あれは、県の「三徳園 -岡山県立青少年農林文化センター」という施設を取り囲む森=「小鳥の森」を訪ねた時の記事でしたが、たくさんの楷の木がそこにはあります。
岡山県には、ほかにも、「閑谷学校」や、「(平串)田中(でんちゅう)美術館」など、みごとな楷の大木で有名な名所が少なくありません
田中美術館のホームページにこの記事がありましたので引用させていただきます。

楷は中国原産の落葉喬木で、新芽は美しい紅色、若芽は芳香があるので茶の代用とし、幼芽は食用とします。
葉の生じ方や枝振りが直角に整然としていることから、樹木の手本になる木として貴ばれ、儒学の祖、孔子が亡くなった時に弟子の子貢が、人間尊重と人格形成を説く孔子を偲んで墓所に植えました。
そのため「学問の木」と呼ばれており、書道でいう楷書の語源もこの木にちなんで名付けられたと言われています。(中略)楷を最初に日本に入れたのは白沢保美博士(当時、農商務省林業試験場長・林学博士)で、大正4年に博士が中国に出張したさい、孔子の墓所にある楷の根元に落ちていた種子を持ち帰り、林業試験場で下種し苗を育て、これを湯島聖堂(東京・大正11年)、足利学校(栃木県・同年)などの孔子ゆかりの地に植えました。岡山では大正14年、旧閑谷学校に植えられ、その後県庁、三徳園、岡山大学、後楽園にも株分けされました。(後略)


この閑谷学校は、県の東部に位置し、私の郷里とは経度がほぼ同じですので、直進的に南下する経路をたどれば、少しだけ遠回りですが、ついでの感覚で立ち寄ることができます。しかし、いつでも行けると思ううちにシーズンをのがし、これまでに一度行ったことがあるだけです。かなり以前、郷里の家からの帰り道、妻と一緒に見に行のがその機会でした。その時は、入場料を惜しんで、周囲の取り囲む石塀(せきへい)の上からのぞき見をして帰りました。カメラ(フィルムカメラだったはず)も持っていたと思いますが、その写真はどこにあるかわかりません。


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改めて今回も、石塀の外から撮影してみました。機材は、Pentaxk5Ⅱ+TAMRONSP AF17-50mm F2.8 XR DiII 。お天気が曇り気味でしたので、明るい広角系のズームレンズを準備してきました。






正面に見えるのが「校門(鶴鳴門)」です。


HPの解説から引用します。


重要文化財
校門(こうもん)

屋根は備前焼の本瓦葺き、棟に鯱を載せた正門。

廟の正門として建てられたもので閑谷学校の校門でもある。

中国最古の詩集である「詩経」の中の詩に因んで鶴鳴門ともよばれる。

両脇に花頭窓のある付属屋を付けるなど中国の建築様式を模しており、貞享三年(1686)の造営である。


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左に赤、右に黄色の楷の木が見えます。


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石塀越しに講堂が見えます。


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今回は、入場料を払って敷地内を見学しようと固く決意して出かけたのでした。一般400円の入場料が、65歳以上は200円になります。そして、駐車場も無料です。


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昨日ご紹介したチャボツレンズの画像はこれ。


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もう一つ、pentaxKX+smc PENTAX-FA 100mm F3.5 MACROという組み合わせも持ってきていました。


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IMGP2552


風が吹くたびにはらはらと落ち葉が舞います。


IMGP2543


今日はこれにて。


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