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槙村浩生誕地案内板の除幕式、のこと [文学雑話]

高知在住の、大学時代の先輩Nさんから、今日、お手紙をいただきました。、地元高知新聞の切り抜きを同封してくださいました。


makimira


少し文字起こしをしておきます。


反戦詩人槇村浩に案内板

生誕地近くに設置 高知市

昭和初期の反戦詩人、槙村浩(1912 ~38年)を顕彰する案内板が高知市廿代町の生誕地近くに設置され、有志らが除幕式を行つた。
槙村は、満州事変の翌年の32年、反日武装闘争をする中国東北部 の商船族を題材にした「間島パルチザンの歌」を発表し、軍隊でビラを配るなど反戦還動を展開。高知刑務所に留置され、拷問の末に病気となり、26歳で亡くなった。
その生涯は戦後、大原富枝の「ひとつの青春」などで小説化され、広く知られるようになった。高知でも75 年に県内の有志が槙村浩の会」を結成し、墓前祭を行うなど長く槙村を顕彰している。
模村の没後80周年を迎えた昨年から、同会が準備を進めて完成した案内板は、高さ141 ㌢、幅69センチ。廿代町の生家跡地から約100m北の高知橋南側にある遊歩道脇に設置した。槙村の写真や来歴のほか、同市内にある槙村の詩碑など周辺の史跡も紹介している。

除幕式 には会員ら約 30人が出席して「間島パルチザンの歌」の朗読などが行われた。同会の馴田正満代表(71) は「日本と朝鮮の人々の連帯を訴えた槇村。 現代の東アジアの国々との関係を考える意味でもその思いを引き継ぎたい」と話している。


実は、除幕式の当日の夜も、Nさんは電話を下さり、あらましを教えてくださっていたのです。「先輩Nさん」と紹介したのは、実は、上の記事中の「同会の馴田正満代表(71)」のことです。最近では、こんな記事でも紹介しました。


江ノ口川異聞、の巻(2019-10-22)


今年の2月には、こんな記事を書きました。

ある新聞投稿、の巻

「高知新聞」にこんな文章を投稿しました。

高知は、学生時代を過ごした第二の故郷ですが、滅多に訪問の機会がありません。維新の志士や民権運動の史跡などどともに、夭逝の反戦詩人槇村浩(まきむらこう)ゆかりの地を、折あれば訪ねてみたいと常々思ってきました。
「思い出はおれを故郷へ運ぶ---」二〇歳の頃の作品「間島パルチザンの歌」の冒頭の一節です。「おれ」は、日本の侵略支配に抗し、身を挺して民族の独立をたたかいとろうとするパルチザンの若者であり、反戦と国際連帯の思いを込めた作者の想像が生んだ鮮烈な造形です。
高知県立海南中学校四年生の時、軍事教練反対運動を組織した彼は放校となり、縁あって、わが岡山県の私立関西中学に編入学します。異郷の地にあって、彼の胸中には故郷高知の思い出が去来したに違いありません。
自宅があったという帯屋町2丁目の「ひろめ市場」辺りや、高知刑務所跡の城西公園に建つ詩碑などは、以前も訪ね、詩人の短かすぎる青春を偲びました。市内にあるという墓地にも、いつかお参りしてみたいと思っています。
ところで、彼の生誕の地は、高知県高知市廿代町とされています。去年の夏、会合で高知を訪れたついでに、マップ頼りに界隈を散策してみました。しかし、残念ながら、案内掲示や碑の類を見つけることもできず、心を残して引き揚げたことでした。聞けば、いま貴地では、「槇村浩生誕碑」建設の気運が起こっているとの由。運動が成就し、碑完成の暁には、是非再訪してみたいと願っているところです。

それが今朝の朝刊に掲載されていると、高知市在住のN先輩が知らせて下さいました。Nさんは、文中の、「槇村浩生誕碑」建設の運動にも携わっておられます。当ブログの過去記事でも、槇村浩については何度か話題にしてきました。

そのNさんは、今回の同窓会の世話役を、いつもの通り担ってくださったのでしたが、二次会での歓談のなかで、このたび、市から「槇村浩生誕碑」建設の許可が出たこと、募金その他で建設資金も集まり、11月には除幕式の予定との最新情報を教えてくださいました。嬉しいことです。

今回のこの記事を書くに当たって、ネット検索していますと、ウィキペディアの記事に、こんな一文が付け加えられていることに気がつきました。

2019年3月18日、平和資料館・草の家の馴田正満研究員が、記者会見を開き槇村の生誕地である廿代町八十九番屋敷の現在地を公表。高知民報同年4月14日号から3回、生誕地について連載。

何を隠そう、「平和資料館・草の家の馴田正満研究員」こそ、わが先輩Nさんその人なのです。


もっと昔の、この記事でも触れたことがありました。


夏の終わりの高知行、の巻(その5)(2016-09-02)


さて、昨日までの記事で、思わせせぶりに先のばしてきた、今回の高知行の第2の目的とは?
高知が生んだ反戦詩人、槇村浩ゆかりの地を訪ねたいという「宿願」を達成することでした。
槇村浩については、これまでこんな記事を書いてきました。
◆サトキマダラヒカゲは海峡を越えるか、の巻
◆「すばらしい野天の五月のお祭りだ」、の巻
◆槙村浩と三月一日
◆ビクトルハラをカーラジオで聞くの巻
◆もうひとつの911
◆懐かしき便り嬉しき聖夜かなの記事では、こんなことを書きました。

もう一つの郵便物は、高知のN先輩からサークル会誌第11号が同封されたお便り。

N先輩については、去年の八月のこの記事や九月のこの記事で「Nさん」と呼んで紹介しました。

この会誌11号は、ほとんどこのN先輩が中心に編集・発行してくださっています。今号のおもな記事は、 この記事で話題にした「仲間の集い」での大先輩(1958年入学のKさん、及び1965年入学のFさん)のスピーチの記録と、各地にお住まいの同窓生の方々の近況など。

それぞれ時空を越えて、様々な感慨を喚起せずにはいられない文章でした。

巻末の「事務局だより」に、高知県生まれの詩人槙村浩(まきむらこう)の生誕100周年を記念して今年11月に出版された雑誌『ダッタン海峡』10号の紹介があり、別刷りで、雑誌『ダッタン海峡』10号の目次を印刷してくださっていました。

雑誌『ダッタン海峡』は、「ダッタン海峡——ダッタン海峡以南、北海道の牢獄にある人民××革命の同志たちに——」と題する槙村浩の詩のタイトルにちなんで名付けられた雑誌のようです。高知市枡形にある「平和資料館・草の家」のこの記事 が参考になります。

このN先輩は、今回の同窓会の準備運営の中心を担ってくださいました。そして次の記事にも登場します。
◇多喜二忌に北の多喜二南の槙村を思うの巻

今日のもう一つの話題は、同じく治安維持法の犠牲となった文学者槙村浩のことです。

「北の小林多喜二、南の槙村浩」と呼ばれました。

2012年5月12日付の朝日新聞高知版を紹介したWEBページにこんな記事がありました。

北の多喜二、南の槙村浩(こう)――。小説「蟹工船」の小林多喜二と並び称されるプロレタリア文学作家が、戦前の高知にいた。3年2カ月の獄中生活をへてもなお反戦の信念を貫き、精神と肉体を患って26歳で逝った。長い間、故郷高知にさえ忘れられた存在だった。6月1日の生誕100年を前に、その足跡をたどった。(中略)

兵士を、銃を立てかけておく「銃架」にたとえたこの詩(引用者注:槇村浩作「生ける銃架」)は、満州事変翌月の31年10月に作られた。槙村が通った高知市立第六小学校の隣にあり、戦時中の資料を展示する「平和資料館・草の家」(升形)館長の岡村正弘さん(75)は「戦争は人間を魂のない存在にしてしまうというのがこの詩の意味だと思う。槙村は鋭い感性で市民にとって戦争とはなにかという本質を見抜き、告発した」と話す。

(中略)

映画会社「四国文映社」代表の馴田(なれ・た)正満さん(64)は大学時代、先輩に連れられて槙村の墓を訪れた。「厳しい弾圧下でも自分の生き方を通した姿勢に共感した」と振り返る。
墓は平和町の丘の中腹にあるが、戦後長く忘れられていた。同郷の作家・土佐文雄が槙村の生涯を描いた小説「人間の骨」(66年)は、土佐が鎌を手に林に入 り、槙村の墓を探す場面で始まり、「孤独に耐えていた彼の墓をついに見出し」「私の目から涙がふきこぼれた」と記す。関係者らの手で69年に建てられた墓 碑には、「反戦革命の詩人 槙村浩墓」と刻まれる。

槙村の代表作は、長編詩「間島パルチザンの歌」(32年3月)だ。中国東北部の朝鮮族が多い地域で抗日運動をする朝鮮人の思いを歌う。

(以下略)


Nさんのお手紙には、「これで、①墓碑(高知市ヒルガ谷)、②詩碑(高知市城西公園)、③生誕地案内板の三点セットが揃いました。」とありました。私は、②詩碑(高知市城西公園)だけは訪問することができましたが、あとの二つは未踏です。今後の高知行きへの楽しみが増えました。


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コメント 4

KINYAN

コメントありがとうございました。
今年は、台風の影響か数が少なかったです
by KINYAN (2019-11-14 19:10) 

kazg

空気も澄んで,バラのあでやかさが際立ちますね。お写真を見て、そわそわしてしまいます。近所のバラ、今年は見に行く機会があるでしょうか?
by kazg (2019-11-15 07:29) 

ファルコ84

コメントありがとうございます
安倍政権のやりたい放題もこれくらいでしょう
いよいよかな!と思う次第です。
高知は、長いこと訪れていないので行ってみたくなりました。
by ファルコ84 (2019-11-15 08:57) 

kazg

ファルコ84様
>いよいよかな!
あの厚顔なしぶとさは驚嘆に値しますが、さすがに「いよいよ」ですよね!
高知、今、知事選もおもしろそうですよ。
by kazg (2019-11-15 21:35) 

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