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小鳥の森がアブナイ?の巻 [折々散歩]

前回の記事で農業後継者の問題に少しだけ言及しましたところ、M師から、「ナードサークで農業改革について触れておられたので、お伝えしなければと思いました。」と、昨日、次のようなメールをいただきました(一部抜粋)。
 (前略)三徳園というのは元は農業研修施設だったようですが、ご承知のように現在は別名「小鳥の森」として県民に親しまれている公園です。この公園に国から五億円の予算がついて農業従事者を育成するための施設を作ることが決まったようです。かなりの木を伐採し資料館(高松農高から移設された木造建築で三徳園のシンボルになっている。)も改築されるようです。
 周辺住民にこのことが知らされたのは、工事を行う業者も決定し工事が始まる直前の7月初めでした。多くの木が伐採されると(すでに巨木が惜しげも無く伐採されております。)小鳥の住む環境が破壊されてしまいます。これを知った地域の方、野鳥愛好家、県野鳥の会などが県に話し合い、申し入れを行いましたが、県からは通り一遍の回答で作業はどんどん進んでおります。マスコミにも連絡しましたが、RSKが木が伐採されている様子を放映し県の説明を流しただけでした。ただ木の伐採はノコギリとかチェンソーでの伐採ではなく重機を使って大木を根こそぎ倒してゆくまさに破壊的映像で、見た人には衝撃を与えたようです。
 F先生は専門家である自分達の意見を聞くこともなく事業が進められることに憤っておられました。農業施設を作るなら別の場所がいくらでもあるのではないか、平地にこのような森林施設があるところは稀であり貴重だと言っておられます。私も小鳥の森に出かけた時に、よく保育園児や車椅子の方などをお見かけしました。山には出かけられない人でも気軽に出かけられる森林施設です。県に申し入れをしても担当者の通りいっぺんの回答があるだけなので、現在知事に直訴する手はないかなど検討されています。
 (後略)
「三徳園」の工事計画については、少し前にもM師から概略を伺っており、山陽放送(RSK)のニュース番組での報道予定についても教えていただいていました。録画予約をしていたのですが、時間は正しかったのですが、日にちを間違えて一日遅れで録画しており、見損ねました(汗)
「三徳園」、「小鳥の森」は、当ブログの過去記事でも、しばしば訪問して、野鳥や樹木、花などの撮影を楽しませてもらっている場所です。たとえばこんな記事。

上を向いて歩いていたら、の巻

青い鳥尋ねあてたる年はじめ

縁は異なもの、「青頭鳥」再考、の巻

故郷の川面におはすミサゴかな

再生の象徴 楷の葉は緑

時至れば花咲くならんおのづから

笹鳴くや鶯宿の主おはすらん

お名前は? 鶯宿、紅さし、そして南高

春の夜の夢途絶えさせ地震(なゐ)震ふ

冬の日や鏡の上の巫女秋沙

豊饒の小鳥の森の日の光

私が初めてトラツグミに会ったのも、この場所でした。

われもまた たずねあてたり とらつぐみ

の記事で、「場所は、敢えて伏せますが、県内某所」と書きました。心ない観察者によって場所が荒らされることを警戒しての配慮でしたが、今では時効でしょうね(笑)。この時も、M師に教わった情報でした。
その大恩あるM師は、昨日のメールで「お暇な時に現地取材をされ(現在入場禁止ですがどこからでも入れます)ナードサークで取り上げていただければ大きな力になると思います」と書き添えてくださいました。「大きな力」にはまったくほど遠いですが、たとえお一人・お二人にでも、お伝えしないわけには行くまいと、早速「現地取材」に出向いてきました。
施設の大部分にロープが張り巡らされ、物々しい立ち入り禁止の表示があちらにもこちらにも掲示されています。











(上の図は、HPからコピーしました)
この工事について、岡山県のHPには、こんなQ&Aが掲載されています。
Q&A [PDFファイル/106KB]
 三徳園の再整備に関するお問い合わせ (Q&A)
(問1)
なぜ、 三徳園に農業の担い手育成の拠点施設を整備するのですか。

・ 三徳園は、 昭和 9年に現在の第一生命保険(株)の創始者である矢野恒太氏が若手農業者を養成する施設である 「三徳塾」 を創設し、 その後県に寄付されたもので、昭和43年に現在の三徳園に改称されるまでの間、約1, 400名の卒業生を輩出 しています。
・現在は、古農具等の展示や農業者等が交流する建物のほか、農作物や郷土樹木等の展示園を有する農業公園として、 山林エリアに整備した小鳥の森と合わせ、 多くの県民にご利用いただいておりますが、 建物につきましては、 いずれも50年以上が経過して老朽化が進み、 利用者の安全を確保することが困難な状況になっております。
・また、 本県農業の現状をみますと、 この10年間で農業就業人口が約4割減少し、 農業者の平均年齢も7 0歳となるなど、 担い手の育成は喫緊の課題となっております。
・ このため、 三徳園に本県農業の担い手を確保 ・ 育成するための拠点施設を整備することで、 次代を担う人材育成の加速化を図り、 併せて、 公園利用者の安全性や利便性を確保することとしたものです。
「農業の担い手育成」は、もとより重要ですが、「公園内の森を切り開いて畑にしなければならない理由がどこにあるのか」という疑問に答えることもなく、市民の声に耳を傾けることもないまま、工事は進んでいるようです。
いずこも同じです、、、、か?

重機が間断なく轟音を響かせて山肌を削り続けています。
傷跡が無惨です。自然災害による壊滅ではなく、人為による破壊・蹂躙であることが、皮肉なことです。
正面の建物は、M師のメールでも「三徳園のシンボル」と紹介されている農業展示館(明治35年に建設された高松農業高校の本館を移築復元した建物)です。その、文化的価値を思えば、修復・保全が望ましいと思えますが、コストがかかりますかね?安上がりに、「公園利用者の安全性や利便性を確保」するには、「改修」がおトクということですかね?

廃墟に似合う鳥と言えば、カラスでしょうか?





左側へ進むと、小鳥の森エリアです。

「小鳥の森」へは、何カ所か入り口があり、それは工事によってもふさがってはいません。

次のような立て看板から、森や樹木への愛情と畏敬が読み取れます。







このコメントに込められた自然感と、工事強行を譲らない県の姿勢との間には、計り知れない落差があるように思えてなりません。
県HPのQ&Aの続きに、小鳥の森に関わる記載があります。
(問2)
三徳園には小鳥の森もありますが、 どこの樹木を伐採するのですか。
・三徳園は、 総面積が18.1ha(園地9.0ha、 山林9.1ha)あり、 このうち山林エリアの一部を小鳥の森(4ha)としていますが、 このたびの工事は、 園地内の
一部を対象とした整備であり、 山林(小鳥の森)は対象にしておりません。
園地エリア、山林エリア、工事対象エリア及び小鳥の森の位置は、 こちらをご覧ください。
・ 工事対象エリア内の樹木は、 郷土樹木園の一部など、 必要最小限の範囲で伐採を行いますが、 移植可能な樹木は植え替えるとともに、 新たな植樹も予定するなど、 引き続き、 野鳥観察などもできる緑豊かな農業公園となるよう努めることとしております。
工事対象エリアの詳細は、 こちらをご覧ください
「郷土樹木園の一部など、 必要最小限の範囲で伐採」とあり、「移植可能な樹木は植え替える」などとも書いてありますが、移植に適さない季節との指摘もあり、性急な工事強行は嘆かわしい限りです。

「郷土樹木園」というのは、県内に自生する樹種約500種のうち,245種を自然に近い形で植栽展示。自然環境の違いによって植生を分類し,県下の自然の復元を目指すというユニークな庭園です。特筆すべきは、樹木にそれぞれ名鑑がつけられていて、私など、樹木にまったく詳しくない人間にとっては、この上なくありがたい配慮と、つねづね思ってきました。


今から20年数年前の1993年(平成5年)岡山県議会で、当時の長野史郎知事が、三徳園についてこんな答弁をしているのを、偶然見つけました。
故矢野恒太翁が農業の若い担い手を育成するため,昭和9年に創設したもので,農山村の伝統と文化的遺産を保持する施設を初め,各種樹木園を整備し,青少年の農業研修や交流の場として年間約12万人が利用しているところであります。  
御指摘の郷土樹木園には現在241種を植栽しておりまして,植生上,非常に育てにくいホンシャクナゲやレンゲツツジなど200種のものが残されております。今後とも,土壌改良や日照等を含めた植生の環境改善に十分配慮しながら,いまだ植えられていない樹木の収集に努めてまいりたいと思います 
当ブログでは、長野史郎元知事の県政の負の「業績」について、幾度か批判記事を書いてきましたが、この答弁からは、三徳園への、ある種の思い入れを感じ取ることができるような気がして、好感を覚えてしまいました。
(郷土の)自然にたいする愛着と畏敬、胸の奥深く刻み込まれた思い入れを蹴散らして、「本県農業の担い手を確保 ・ 育成するための拠点施設」づくりを優先させる発想は、「もはや、農政の大改革は、待ったなしであります。何のための改革なのか。強い農業を創るための改革。農家の所得を増やすための改革を進めるのであります」と叫ぶアベ農業改革の、ドライで無神経で威勢の良い、白々しくて脳天気なかけ声と、奇妙に響きあっているように思えます。
「国から五億円の予算がついて」という一言に影響された先入観、色眼鏡による印象かも知れません。けれども、「行け行け、ゴーゴーどこまでも」と、行き先も確かめず地獄までも疾走するのが、とりもなおさずアベ流というものですから、農業再生のためにも、アベ農政(アベの所為=momotaro様)にNOを突きつけることがまず肝要と思われます。。
「あわてない、あわてない。ひと休み、ひと休み」(一休さん)という姿勢が大切に思われてなりません。

さて、Q&Aのつづきがあります。
(問3)
三徳園は鳥獣保護区内にありますが、 樹木の伐採は問題ないのですか。
・ 三徳園は、 鳥獣保護管理事業計画において指定されている鳥獣保護区内にある施設であることから、 このたびの工事では、 当該計画を踏まえた上で、 必要最小限の範囲で樹木の伐採を行うこととしております。
・なお、 このことについては、 当該計画や鳥獣保護管理法を所管する部署とも協議し、 問題ない旨を確認しており、 引き続き、 工事期間中におきましても、法令等を遵守して取り組むこととしております。

「当該計画や鳥獣保護管理法を所管する部署」との協議や、「法令等」の「遵守」は、当たり前過ぎるほど当たり前の必要条件といえます。それだけこと足れりとするのは、「関係法令に基づき適切に実施」(加計問題でのアベ答弁)と、「法令遵守」を口実に、それ以外の重要な社会の要請をシャットアウトするアベ内閣の手法とソックリです。

ことは県立「公」園の運営に関わる、進め方の問題です。「法令遵守」にくわえて、その道の専門家や、地域住民・市民・県民、公園利用者、自然愛好家の声に耳を傾け、その妥当性を社会的に検証することが、つよく求められているのではないでしょうか?

今日はこれにて。

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