「それで何人死んだんだ?」、の巻 [時事]
25日、共産党志位委員長が行った沖縄米軍機事故に関する国会質問に対して、松本文明内閣府副大臣が浴びせたヤジ。信じがたい暴言です。チンピラまがいの恫喝以下の品のなさ。辞任は当然ですが、辞任して済む問題でもないでしょう?
沖縄タイムズの1月27日付け社説(ウェブ版)の記事に、まったく同感です。
米軍ヘリの不時着が相次いでいることについて、米海兵隊のネラー総司令官は25日、事故を未然に防ぐための予防的着陸だったとして「非常に素直に言って良かった」と述べた。 ワシントンで開かれたシンポジウムでの発言である。「誰も負傷しなかったし、機体も失わなかった。私は心配していない」とも語った。 ハリス米太平洋軍司令官も9日、ハワイで小野寺五典防衛相と会談した際、「一番近い安全な場所に(機体を)降ろす措置に満足している」と述べている。 2016年12月、オスプレイが大破した名護市安部海岸での事故は、「クラスA」に分類される重大事故だった。ところがニコルソン四軍調整官は、集落を避けて海岸に「不時着」させたパイロットの技量をたたえ、県民をあぜんとさせた。 04年8月、米軍ヘリが沖縄国際大構内に墜落炎上したときは、ワスコー在日米軍司令官が「ベストな対応」だと言い放った。 これらはすべて「軍の論理」である。米軍高官の共通認識だと言っていいだろう。 事故やトラブルが多発し住民に大きな不安を与えているにもかかわらず「軍の論理」で正当化するのは、占領者意識というしかない。 住民は、憲法第13条で保障された平穏な日常を求める権利(幸福追求権)を脅かされているのである。 村営ヘリポートにAH1攻撃ヘリが不時着したばかりの渡名喜村の桃原優村長は記者団に語った。 |
が、それにとどまらないのではありますまいか?「何人死んだんだ」というセリフは、仮に犠牲者が出ても、「そんなにわずかな犠牲者数で、四の五の抜かすな、今は国難の時、国家危急の時であるぞ」と言ってのける時にも用い得るセリフでもあるでしょう。
日本共産党発行の「しんぶん赤旗」2017年2月15日付記事(web版)にこんな記事がありました。
在日米軍の兵士や軍属らによる事件・事故が、1952~2016年度(11月30日現在)に21万件を超え、日本人の死者は1092人に上ることが、日本共産党の赤嶺政賢衆院議員の要求に防衛省が14日までに提出した資料で明らかになりました。 資料によると、旧日米安保条約が発効した52年度からの事件・事故の総数は21万750件。このうち公務中(勤務時間内)が4万9699件、公務外(勤務時間外)が16万1051件で、これらによる死者は、公務中521人、公務外571人です。16年度は、昨年4月に沖縄県うるま市で20歳の女性が暴行・殺害され、遺体を遺棄された事件を含め、公務内外合わせて293件、死者1人となっています。 件数と死者数は、防衛省が日米地位協定18条に基づく損害賠償の関係上、把握しているもの。52年度以前と、米軍の施政権下に置かれていた本土復帰前の沖縄は含まれておらず、実際はこれを大きく上回るとみられます。 |
その意味では、松本氏、いささかも反省も改悛もしておられるわけではなく、ただ、上述の沖縄タイムズの記事の通り、「あっという間の辞任劇の背景にあるのは、28日に告示される名護市長選」ということに尽きるのでしょう。
4年前の名護市長選挙結果を受けて、こんな記事を書いていました。
大寒や沖縄に春いちはやく 固き土破りて名護に春来たり 大寒や辺野古のジュゴン安くあれ 暦の上では、今日が大寒。 名前の通り、寒い朝でした。 その厳しい寒さとは裏腹に、昨日投票の、名護市長選の結果は、一足先の春の訪れを告げるものでした。いや、人々の燃える希望と熱気を、全国に伝えるものでした。 日米政府の強圧や、県知事の心変わりにも関わらず、住民は圧倒的多数で現職稲峰さんを選び、「辺野古の海を基地に渡すな」「ジュゴンの海を守れ」という決断を、繰り返して示しました。 ニュースを聞いていますと、今朝、いつもと同じように交通安全指導に立った稲峰さんに、通学途上の小学生や通行中の市民が「当選おめでとう」と声をかけると、稲峰さんはにこやかにそれに応えていました。 いや、比喩ではなく、実際に沖縄は、もう桜が満開なのでしょう。 |
今回の市長選挙は、明日が告示。「オール沖縄」、「オール名護」の力を結集して、日米の支配層が「まだこの程度」と高をくくってはいられない大きなうねりを作り出すことによって、政治の大変化への一歩が踏み出されることを祈っています。一休みすることもなく、たたかいの明け暮れを奮闘してこられた沖縄の皆様、もうひとがんばり、どうかよろしくお願いします。心から応援しております。
今日はこれにて。