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ようやくに尋ね当てたる緋連雀、の巻 [折々散歩]

ずいぶん以前こんな記事を書きました。

今日雨水青空も得しヒレンジャク(2014-02-19)

先日、M先輩から、写真も添えて教えていただいた鳥情報に誘われて、教わった公園に出かけてみました。

近所は通りかかることがあるのですが、中に入ったのは初めてでした。

すると、いろいろな鳥に会えました。

お目当ての、ヒレンジャク。いましたいました。

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緋連雀ひとたびたって影見えず(2014-03-08)

こんな句がありました。

緋連雀一斉にたってもれもなし 阿波野青畝

阿波野青畝についてウィキペディアはこう解説しています。

阿波野青畝(あわの せいほ、1899年(明治32年)2月10日 - 1992年(平成4年)12月22日)は日本の俳人。本名は阿波野敏雄。昭和初期に、山口誓子、高野素十、水原秋桜子とともに名前の頭文字を取って『ホトトギス』の四Sと称された。

大野林火の「近代俳句の鑑賞と批評』(明治書院)はこの句を取り上げて、こう解説しています。

幼時耳を患い、耳の遠いことが青畝の抒情詩人に駆り立てている。俳句を始めた畝傍 中学5年のときの句に「虫の灯に読み昂りぬ耳しひ児」(大正6年)があり、虚子を感嘆せしめている。加うるに当時郡山中学に教鞭をとる主観尊重の原田浜人の指導を受けていた。そのころのホトトギスは原月舟を中心にもっとも繊細な客観写生の試みられていたときである。少年 青畝はその不満を虚子に訴えた。「御不平の御手紙拝見しました。浜人君からも似よった御手紙をもらいました。しかし私は写生を修練して置くといふことは、あなたの芸術を大成する上に大事なことと考へます。今の俳句はすべて未完成で其内大成するものだと考へたら腹は立たないでせう。さう考へて暫く手段として写生の錬磨を試みられたならあなたは他日成程と合点の行く時が来ると存じます。不取敢(とりあえず-引用者中)其れだけを御返事と致し置きます。」が虚子の返事である。写生という、大きな、緩い、しかしながら強い 羈縛の許に、俳句会を率いてきたのが虚子である。大正八年九月のことである。この来書に青畝は大いに悟り、次第に写生を重んじ、謙虚に自然に接し、以後、その考えは揺ぐことがない。

森田峠によると、七月三日中学を卒えた青畝は半年ほど京都で下宿生活をしていた。そのころ、嵐山付近ではじめて緋連雀を見かけて、この句が出来たという。連雀は東部シベリア地方から秋季群をなして渡来する鳥、尾の先が黄色のものを黄連雀、赤いものを緋連雀という。体は葡萄色、翼と尾羽は黒色、小声でチリチリと鳴き、群をなして生活をする習性がある。

この句、その習性をとらえて彩色豊かな 一幅の日本画に仕立てている。眼前の賑やかな美しさは「一斉に立って」「もれもなし」で、すべては眼前から消え去ったのだ。一句の調子が張っている上に、景を叙べて印象明瞭であるため、眼前の美しさと、瞬時消え去った空白感との落差が鮮やかに伝わる。作者の主観はそうしたところに息づいているのである。

今年は、二度の訪問で、続けて運良くヒレンジャクの姿を納めることができました。

が、この状態から一斉に飛び立って去っていったのが、今年の緋連雀の見納めだったかも知れません。

それから時は経過して、こんな記事にもヒレンジャクが登場します。

ヒレンジャク再び、の巻(2018-03-12)

フカヤマと書いてミヤマです,の巻(2)(2018-04-02)

この日もカメラマンさんたちが、そこここで大きなレンズのカメラを構えておられます。その先を窺うと、、この鳥が飛んできて梢の先に止まったのが見えました。

この日は、子守がメインですので,望遠撮影の準備をしていません。携行カメラの最大望遠性能は、OLYMPUS E-PM1+lumix G VARIO 45-200mmです。これを,デジタルテレコンを有効にすると、400mm相当。35mm換算で800mm相当になるはずですが、、、豆粒ですね。
トリミングします。
ヒレンジャクに再会か?と思ったのですが、、、。

よくよく色の具合を見ると、、

これってキレンジャクじゃありません???

そして、つい最近、この記事に書いたとおり、またレンジャクの姿が見られるかも、という期待が募っていました。「募集する」という意味の「(-を)募る」(他動詞)、ではなく、「ますます激しくなる」という意味の「(-が)募る」(自動詞)です。念のため。

心ははやれど.の巻(2020-01-20)

M師から、レンジャクの飛来場所を教えていただきました。

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近くに、ミコアイサも見られる由。

先日、ようやくミコアイサは目撃することができましたが、レンジャクは去ったあとで、残念な思いをしたことでした。が、2月になってから、またM師から「またまたレンジャクが来ました、、、2、3日は滞在するのではないかと 思います」とのメールをいただき、おおよその場所も教えていただきました。ここのところ、いろいろと野暮用があって、まとまった時間が取れないと思いつつも、矢も楯もたまらず、今日の午前中、思い切って出かけてみました。

教わったあたりを車でウロウロしていると、巨大レンズや三脚などを装備したそれらしい方々が数人、街路樹の方を窺っておられるらしい様子が、遠目にも見て取れました。車の駐車場所を見つけるのに手間取りましたが、ようやくのことでお仲間に紛れ込むことができました。

と、しばらくして、にわかにカメラマンさん達の間に緊張が走り、上空を数羽がこちらに向かって飛んできて、少し離れた梢に止まるのが見えました。慌ててシャッターを切りましたが、またいっせいに飛び立ち、実際に写せたのはわずかの枚数でした。証拠写真だけは残せましたが、遠いのでトリミングします。

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緋連雀(ヒレンジャク)も黄連雀(キレンジャク)も混じっているようです。

と、先客の女性カメラマンの方から、撮れてよかったですね、と声をかけられました。見ると、なんと、M師の奥様でした。野鳥写真では知る人ぞ知るベテランカメラマンです。M師は午前中、地元のスケッチの集まりに出かけておられる由で、お一人で撮影に来られていたようです。といっても周囲のカメラマンの方々も、お知り合いのようですが、、、。

その場で待つこと小一時間、今度は近くの山の木枝の先に、さっきより沢山のレンジャクたちが舞い降りて止まりました。

持っていた機材は、PENTAXK5Ⅱ+AFBORG 60EDですが、さすがに遠すぎ、トリミングしないと姿が確認できません。

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思い切ってトリミングします。

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欲を言えばキリがありませんが、証拠写真が残せて、来た甲斐がありました。そうこうするうちに、お昼も近づいた頃、M師もおいでになり、声をかけてくださいました。直接お礼も言えて、嬉しいことでした。

今夜は演劇鑑賞。劇団民芸の「集金旅行」。井伏鱒二原作の、軽妙でコミカルな舞台。楽しい一日でした。

今日はこれにて。


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