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続野鳥の森で見たもの、の巻 [折々散歩]

1988年、わが地方に二つの「大橋」が架けられました。一つは瀬戸大橋(南備讃瀬戸大橋)、もう一つは「邑久長島大橋」です。前者については、「夢の懸け橋」と国を挙げて喧伝されましたが、歴史的意義は、後者が勝るといえるかもしれません。全長わずか30メートルのこの橋が負った「人間回復の橋」の名がその重みを端的に表しています。

というようなことを思いつつ、いろいろと記憶をひもとくうちに、こんな過去記事を思い出しました。

Iさんを偲ぶ、の巻(2019-08-26)

Iさんをしのぶ会が、昨日あったのです。しのぶ会は、澄んだ鋭い柝(き=拍子木)の音から始まります。これを打ち鳴らすのは、高校生演劇の指導やみずからも演劇活動に関わって来られたI女史です。実は、故Iさんも、高校教員のかたわら、地方劇団の中心として、長く演劇活動に携わってこられたのでした。

この柝は、実は、当ブログで何度か話題にしたことのある畏友、故Hさんの遺品で、歌舞伎好きだったHさんが入手していたものでした。この記事などは、Hさんと柝との結びつきを思い出させます。

現職時代、私も所属していた岡山高生研(全国高校生活指導研究会岡山支部)のHP(現在は閉鎖中)に、こんな記事がありました。温羅に関する記事を一部引用させて戴きます。

温羅太鼓(ダイジェスト)目次


1990年岡山・倉敷市で開かれた高生研第28回全国大会で,現地実行委員会が発行した情宣紙の題名が「温羅太鼓」。
「さりげなく,だが力強く」を現地スローガンに掲げ,明るく楽しいトーンを大切にとりくんだ全国大会が,岡山高生研に残した財産は何だったか?あらためて確認してみたいものです。
なお「温羅」は「うら」と読み,古代吉備の伝説上の人物。近年岡山県では,町おこしの一環として,この「温羅伝説」にスポットライトをあて,「市民参加型のまつり」として「うらじゃ」祭りが盛大に取り組まれています。
このまつりが始まったのが,1994年だそうですから,岡山高生研の「温羅太鼓」のほうが,4~5年も先輩ということになります。自慢するわけではないですが...。(2007年9月記)

(中略)

「温羅太鼓」と名付けられたこの情宣紙は、1990年8月2日までに34号が発行されています。私も、当時、情宣係の一員として、この発行のお手伝いをし、大会期間中は会場となっていたホテルの一室にとまりこんで早朝から深夜まで、一日数回発行の速報の編集に携わったことが思い出されます。また、現地実行委員会が提供する文化行事として、「温羅」とその一族に焦点を当てた群読劇にも取り組み、私も演者の末席を汚したものでした。このとりくみの中心を担ってくれたのが、当ブログでも何度か紹介済みの畏友H氏でした。その彼は、早々と文字通りの「鬼籍」に入ってしまわれました。

長い引用になりましたが、ここに紹介した「群読劇」で、柝を鳴らしたのは、在りし日のHさんでした。

そして、そのHさんが逝去された後、有志実行委員会で主催した偲ぶ会では、実行委員の一人だったIさんが柝を鳴らしたのだったと、I女史は思い出させてくださいました。下の記事を書いた2014年のことでした。

亡き友を偲ぶ会あり燕来る(2014.3.28)

長い引用を含んだ冗長な引用で、さぞや読み取りにくいことでしょう(汗)。細部は端折って、ここで紹介した情宣紙「温羅太鼓」にこんな記事があったことを言いたかったのです。これを書いたのは私でした。

おかやまうらおもて4
瀬戸大橋

”夢の本四架橋の謳い文句のもと大型プロジェクトの一つとして8988年4月瀬戸大橋が開通した。
全長12.3キロメートルに及び観光橋としては世界1級らしいが,①大橋建設工事で潤ったのは大手企業ばかりで,地元業者はさっぱり,②予想以上の騒音公害,沿線住民は憤激,③高い通行料で気軽に利用するわけにもいかず,④宇高連絡船の廃止で港町は寂れるばかり,⑤地元児島に停車する特急はわずか,⑥橋桁となった島々には,期待された恩恵もなく,地元無視もきわまれりと「怒りの声は里に満ち」ている。

これと並んで、長島大橋についても書いたように思うのに、見当たりません。記憶違いでしょうか()

長島大橋に関連して、「東洋経済ONLINE」2019年10月17日付けの記事(https://toyokeizai.net/articles/-/307361)に栗田 シメイさんがこんなことを書いておられます。

瀬戸内海に浮かぶ長島とそれをつなぐ邑久長島大橋(写真:Sunrise / PIXTA)

https://toyokeizai.net/articles/-/307361

ハンセン病隔離政策で苦しんだ「孤島・長島」の今

「人権の島」を生きた人々の数奇な人生

人間回復の橋――。それは、岡山県瀬戸内市長島にかかる30メートルほどの「邑久(おく)長島大橋」のことを指す。岡山市から40キロに位置し周囲約16キロメートルの長島は、ハンセン病の国立療養所として90年近い歴史を刻んできた。”人権の島”とも呼ばれる長島。“希望の橋”が架かったのは今から31年前だ。これは瀬戸内海に面する孤島が、実に58年間も隔離が続いてきたことも意味する。かつて、国立ハンセン病療養所・長島愛生園内に県立邑久高校新良田(にいらだ)教室という4年制の定時制の高校があった。新良田教室は、国立ハンセン病療養所内で唯一設置された高校だ。1955年の開校から1987年の閉校まで、全国からハンセン病の若者が集まり、その間307人の生徒が巣立っていった。

新良田教室教師の自責の念


新良田教室は、ハンセン病療養中の学生たちにとってわずかな希望でもあった。当時、ハンセン病を発症した子どもたちは、進学への道が絶たれていたからだ。同高を卒業し、完治することで大学や短大・専門学校への進学が公的に認められた。
卒業生の中には、医師・作家・教師・看護師・実業家やデザイナーなど幅広い分野で優秀な人材を輩出した。
新良田教室で1970~1975年まで5年間にわたり英語教師として教員を務めた山下順三氏(78)は、教員を退職した後もハンセン病の啓発活動に勤しんでいる。
山下氏は、自身の回顧録を基にした自主映画も現在制作しているという。山下氏をつき動かすのは、今なお残る自責の念だ。「当時の教員たちは、厚生省・県・医療機関と学校との板挟みでした。生徒たちには全身の消毒が義務づけられ、職員室の前のベルを鳴らすことで、初めて職員室への入室が許可されました。ある日、生徒の1人から言われました。『先生、私たちが職員室に入るときにベルを鳴らさないといけないという行為自体が、偏見と差別じゃないんですか。もう私たちは職員室に行くのが嫌なんです』と。
(中略)

紡がれる思い 新良田の記憶を風化させないために――。そして未来へ

32年前に閉校した1つの特別教室が、未来へと繋がる懸け橋となったのは1年半前のことだ。新良田教室に関わった人々が発案し、映画という形でその記録を公開するプロジェクトが動き始めた。長島を舞台とした映画は、『ベルの音が聞こえる』という名前で2020年春に上映予定だ。自主制作映画でありながら、18名のプロジェクト発起人が立ち上がり、資金繰りから監督の調整まですべて自分たちの足で動いた。
(中略)

岡山の孤島を生きた人々が紡いだ想いは、1つの作品として後世へと継がれていく。

同業のよしみで、邑久高校新良田教室の概要については、既知のことがらでもあり、旧職員の方の幾人かとも面識がありますし、この映画制作についても聞き及んでいました。というよりも、親しい友人であるOさんが、この映画「新良田レクイエム・ベルの音が聞こえる」のオーディションに通って、教師役で出演されていること、その撮影も終わり、今年の春公開予定であることなどなど、ご本人からお聞きしていたのでした。

OさんのFBから、写真を勝手に借用させていただきます

画像に含まれている可能性があるもの:5人、、スマイル

そんなわけですから、太平山野鳥の森からの俯瞰でこの橋を見た時、ピンとくるのが当たり前ですのに、別の橋と勘違いするなんて、何とうかつなことでしょう。いつものことながら、半知半解というのは、とんでもなく恥ずかしい間違いをおかすものかと、改めて赤面した次第です。

それでも、過誤を改むるに遅すぎるということはないわけで、「わずか30メートル」と口で言ってきましたが、実物で見るとその至近さへへの認識が深まる思いがします。その思いから、前回記事へのgonntan様のコメントにこう返させていただきました。「文字通り目と鼻の先のわずかな距離を、自由に行き来出来ないつらさ、くやしさ、察するに余りあります。見下ろせば、ほんのわずかの『隙間』でしかないのに、、、」

終わりに今日の付録。

昨日、馬鈴薯の植え付け準備に、畑を短時間耕したあと、近所の自然環境体験公園へ、PENTAX k-30+ケンコーミラ-レンズ500mmf6.3を持って出かけました。

すると出会ったのは、先日「これなあに?」とお尋ねしたのと同種らしき小鳥。

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頭の頂きに黄色い菊の模様が見えます。キクイタダキですね。

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太平山「野鳥の森」などをわざわざ訪ねなくとも、地元の公園であっさり出会えたのは、嬉しいような拍子抜けするような、、、。

安価のミラーレンズですのでそれなりの画質ですが、500mmの望遠性能は侮れません。(それでも少しトリミングします)

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午後、もう一度、今度はTAMRONレフレックスレンズSP 500mm F/8を持ってでかけました。画質較べは、こっちの勝ち?

マンサクの花(ノートリミング)

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またまたキクイタダキ。

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この鳥は、菊の紋様が赤いです。

IMGP7530


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