赤ちゃんの散歩と兼ねて、乳母車で保育園一歳児のお迎えに行きました。麗らかな春日を浴びて、乳母車2台でお散歩とは、のどかなことです。

三好達治の詩「乳母車」はいつの季節の詩でしょうか。

乳母車      三好達治



  母よ――

  淡くかなしきもののふるなり

  紫陽花いろのもののふるなり

  はてしなき並木のかげを

  そうそうと風のふくなり



  時はたそがれ

  母よ 私の乳母車を押せ

  泣きぬれる夕日にむかって

  轔々と私の乳母車を押せ



  赤い総ある天鵞絨の帽子を

  つめたき額にかむらせよ

  旅いそぐ鳥の列にも

  季節は空を渡るなり



  淡くかなしきもののふるなり

  紫陽花いろのもののふる道

  母よ 私はしってゐる

  この道は遠く遠くはてしない道



          三好達治  「乳母車」 『測量船』 

この詩は、梅雨はじめ紫陽花色の淡きことという記事でも引用しました。一昨年の、紫陽花の季節の記事でした。

そういえば、三好達治の忌日は、4月5日だったと、達治忌やわが身の影は雨に濡れの記事で書きました。そこで引用したこちらの詩のほうが、今の季節に似合っているかも知れません。