前回記事で、動物園内に生活する(?)アオサギが登場しました。これは、どうやら飼育されているのではなく、自由に暮らしている野鳥であるようです。

自然環境のもとで、日々食事にありついて、生命を維持し繁殖もする、ということはなかなかに容易ではなく、相当の努力と辛抱が必要なようです。

むしろ人間の生活圏近くに暮らすことで、いろいろな恩恵を得ているのが彼らの習性なのかも知れません。動物園で、他の飼育鳥たちの飼料をちゃっかりいただくのは、その最たるものでしょうが、いつもの散歩道で出会うアオサギたちも、農業用の水路や水田など、半ば人工的な環境の方が、採餌に好都合といえるのでしょう。

酷暑のさなか、スズメやカラスなどの他には、野鳥の姿を見かけることがほとんどまれになっていますが、そんなときでも身近な場所でアオサギには会えるので、ついカメラを向けてしまいます。







先日、児島湖周辺を散歩しておりますと、こんなところにいました。








ちょっと面白いので、つい、カメラを向けてみました。

連日の酷暑が緩んで、凌ぎやすさを覚えます。久しぶりの湖畔の散歩コースをブラブラと歩きます。




常山が対岸に見えます。








方角を変えて、これは臨海工場地帯方面の眺め。



市内中心部の方角。






水鳥の姿は、カルガモだけぐらいです。





と、沖の方を一隻の和船が波を立てて走るのが見えました。







みるともなく行方を追っておりますと、仕掛けてあった網を上げる作業が始まります。


この網に上に寛いでいたアオサギは、ふわりと飛び立って、岸の方へ身をかわします。




堤防のコンクリーとの上に止まり、じっと見つめている先は、網を上げる作業中の漁師さんの舟の方角。まんじりともせず様子を窺っている様子。


私が近づくのを察した様子で、飛び立ちました。






他にもあちらこちらに網が仕掛けられています。締切堤防によって淡水化される前の児島湾は、有数の漁場として知られていたそうです。現在の児島湖での漁業はどんな具合なのでしょうか。こんなサイトの記事から,漁獲状況についての資料をお借りします。




児島湖では、現在主にフナ、ウナギ、エビ、モロコなどが漁獲されています。
近年は漁業従業者の高齢化や、消費者の需要の低下により、漁獲量は減少傾向にあります。







 児 島 湖 の 漁 獲 量


単位:トン








年度
コイ
フナ
ウナギ
ボラ類
エビ類
その他



昭和51
12
1,459
6
11
10
7
1,505


昭和52
11
1,456
6
13
11
11
1,508


昭和53
12
1,425
6
17
13
14
1,487


昭和54
12
1,704
6
20
11
12
1,765


昭和55
30
838
3
48
12
15
946


昭和56
34
173
3
5
13
37
265


昭和57
44
214
3
7
19
49
336


昭和58
32
210
3
4
17
48
314


昭和59
31
238
3
4
15
73
364


昭和60
31
278
3
3
11
76
402


昭和61
27
301
3
2
9
82
424


昭和62
29
336
3
2
6
37
413


昭和63
34
350
2
1
5
56
448


平成元
32
294
2
3
4
48
383


平成2
35
322
2
2
4
68
433


平成3
38
336
2
3
6
41
426


平成4
42
328
2
3
7
45
427


平成5
43
294
5
4
9
27
382


平成6
45
266
6
4
8
36
364


平成7
70
266
6
13
7
24
385


平成8
63
259
6
15
7
31
381


平成9
85
240
6
12
4
24
371


平成10
38
240
5
12
6
19
319


平成11
32
210
4
10
6
17
279


平成12
20
147
6
63
6
24
267


平成13
28
143
6
75
6
17
275


平成14
30
153
9
125
7
26
351


平成15
40
260
9
50
9
45
413


平成16
30
250
9
46
8
39
381


平成17
9
240
9
46
7
34
345









※数値は四捨五入してあるため、計と内訳は一致しない場合があります。













図 児島湖における漁獲状況変化
(農林水産省大臣官房統計部編集 「漁業・養殖業生産統計年報」より作成)


























さておしまいは,今日の付録です。

ずっと以前、こんな記事を書いたことがありました。ダイサギ ゴイサギ ダイゴ帝?一部抜粋して引用です。


「アオサギ」というと、「青い鷺」と連想されます。実際は青色というよりは灰色の勝った色合いで、英名は Grey Heron(グレーの鷺)と呼ぶらしい。もっとも、黒毛の馬は、古くから「アオ」と呼びます。古語辞典によれば、「①青い色。本来は、白と黒の間の広い範囲の色で、主として青・緑・藍(あい)をさす。②馬の毛色の名。全体に青みがかった黒色。また、その毛色の馬。」(「学研全訳古語辞典」)とありますから、名前と実物に矛盾はありません。




「枕草子」に「鳥は」と題する章段があり、鷺についてこう書いています。「鷺は、いと見目も見苦し。眼居なども、うたてよろづになつかしからねど、『ゆるぎの森にひとりは寝じ』と争ふらむ、をかし。」
口語訳:「鷺は、見た目も見苦しい。目つきなども嫌な感じで、万事に親近感が持てないけれど、『ゆるぎの森で一人寝はすまい』と妻争いをするというのが、おもしろい。」
「ゆるぎの森に」は「高島やゆるぎの森の鷺すらもひとりは寝じと争ふものを」(古今六帖・第六)という古歌を踏まえているそうで、コロニーに集まる鷺たちが、夜中に声を上げながら騒いでいる様を、風流な妻争いになぞらえています。このことで、他の欠点が減殺され、「をかし」と感じられるというのです。
この鷺は、やはり「アオサギ」でしょうかねえ。」
ネット検索で、アオサギに関する専門的なページを見つけました。興味深い。
http://www.grey-heron.net/forum/06-literature/



今日はこれにて。