「稲妻(いなづま)」「稲光(いなびかり)」とは、いずれも雷光の別名です。
古来、「つま」とは、男女を問わず配偶者を呼ぶ呼称です。「稲妻」とは、「稲」の「夫(つま)」のことで、稲妻が光ると稲が実ると言うのです。古来、稲が結実する時期に雷が多いので、こんな言葉が生まれたようです。
ちなみに「雷」は古くは,「イカヅチ」と読んだようで「カミナリ」と読むのは相当時代が下って、中世以降に優勢になる読み方であるようです。
そういえば、平安初期の『伊勢物語』に「神さへいといみじう鳴り」「神鳴るさわぎ」という表現が出てきました。神様が鳴るのが雷(かみなり)なのですね。
「稲妻」「稲光」は視覚を、雷(かみなり)は聴覚を、それぞれ刺激します。