毎年毎年飽きもせず、相も変わらず、同じようなことを考えるものです。

今日書こうと思ったことを、一昨年の今日〈4月4日〉の記事に、そのまま書いておりました。

満開の花に嵐の無惨かな

悔しいので一部再掲します。


こんなお天気だと、こんなフレーズを口ずさんでしまします。

 この杯を受けてくれ

    どうぞなみなみ注がしておくれ

    花に嵐のたとえもあるぞ

    さよならだけが人生だ

   井伏鱒二 『勧酒』

もちろん、原詩は唐代の詩人 于武陵(うぶりょう)の五言絶句「勧酒 」。

勧酒    于武陵

勧君金屈巵

満酌不須辞

花発多風雨

人生足別離

(『唐詩選』) 


【書き下し】

酒を勧む  于武陵

君に勧む金屈巵

満酌辞するを須(もち)ひず

花発(ひら)きて風雨多く

人生別離足る



この「人生別離足る」を、井伏は「さよならだけが人生だ」と圧倒的な訳語を創出しました。


その断言の印象深さの故でしょう、 寺山修司がこれにこだわって、なんとかしてあらがおうと試みています。