九月になりました。
住井すゑさんの代表作「橋のない川」(新潮社)のハードカバー版が手元にあります。その第六部を手に取り、奥付を見ると、「昭和四十八年十一月十日印刷、十一月十五日発行、定価五百円」とあります。時代を感じさせられます。
「橋のない川」は、ご存じのように「部落問題」(同和問題)を正面から扱った小説で、高校時代に、島崎藤村の「破戒」などとともに、教師や、意識を持った級友などからも薦められた作品でした。
しかし、何につけても、人に薦められたものを、素直に受け入れることのない私ですので、なかなか読もうということにはなりませんでした。
そんなとき、今井正監督作品の映画「橋のない川」(第一部)が「ほるぷ映画」により制作され(1969年だそうですね。)、全国上映がすすめられました。学校近くの映画館(当時は、こんな田舎にまで映画文化が根づいていました)で上映されたものを、学校行事の一環として全校生徒で鑑賞する機会がありました。