ところで、今はもう歴史事項になったかも知れませんが、全民労協(ぜんみんろうきょう)=全日本民間労働組合協議会が発足したのが、 1982年(昭和57)の今日でした。
法政大学の大原社研(大原社会問題研究所)のホームページに、日本労働年鑑が収められていますが、その1988年版にこのような記述があります。
一九八二年一二月一四日、統一準備会参加五単産のうちすでに全民労協参加を機関決定している四一単産(四二三万五〇〇〇人)から二〇〇人の代表が参加し、全
民労協結成集会が開かれた。総会は、旧推進会のメンバーがまとめた先の「全民労協の結成について」と題する議案、それと「組織の性格」「活動方針」を満場一致で決定した。役員には議長に竪山電機労連委員長、事務局長に山田ゼンセン同盟副会長を選出した。当日に全民労協に参加した四一単産は次の通りであっ
た。鉄鋼労連、合化労連、全日通、電通労連、非鉄金属労連(以上、総評五)、ゼンセン同盟、全金同盟、造船重機労連、海員組合、一般同盟、交通労連、全化同盟、全食品同盟、紙パ総連合、航空同盟、建設同盟、資源労連、凸版労組、全炭鉱、基金労組、石油同盟、日本港湾(以上、同盟一七)、電機労連、食品労
連、全電線、全窯連、全石油、全国ガス、全国セメント、生保労連(以上、中立労連八)、全機金、新化学、新運転、京滋地連(以上、新産別四)、自動車総連、電力総連、商業労連、運輸労連、ゴム労連、全国自労、相銀全労(以上、純中立七)であった。
(中略)
統一労組懇は、一九七九年末に「ナショナル・センターのあり方を考える労働者懇談会」を提唱するとともに、総会では統一労組懇を「運動体」と性格規定し、ナショナル・センター
確立の方向を強めていた。さらに、八一年一二月の臨時大会では統一準備会の発足と総評の動向をみて、それまでの「ナショナル・センターの階級的民主的強化」の方向から、「階級的民主的ナショナル・センターの確立」へと大きく方向転換した。
つづいて、一九八二年における総評第二陣七単産をめぐる事態は、統一労組懇と総評主流左派とを接近させる方向へ作用した。総評三顧問の呼びかけで開かれた「労働戦線の右翼的再編に反対し、たたかう総評の再生をめざす六・二四集会」には統一労組懇の春山事務局長も出席し、あいさつを行った。統一労組懇の六月二八日に開いた全国代表者会議で、春山事務局長が、総評
三顧問の動きについて「当初の全的統一の橋渡し役をするのではないかとの懸念もあった。その後、多くの点で共通していると判断して六・二四集会に統一労組
懇を代表してあいさつした」と述べているように、この時点まで総評主流左派と統一労組懇とは一線を画していたが、以後、両者の接近が強まっていく。八三年三月一日には、総評三顧問は、「総評労働運動の階級的戦闘的再生を実現するため、全民労協への参加拒否を基本に据え」るとした「労働問題研究センター」を設立させた。
専門外の人間には、何やらわかりにくいおハナシですが、民間企業の労働組合を中心に、日本全体の労働運動を「統一」しようという動きが、「討ち入り」の覚悟をもって実行されたということのようです。
この動きは、官公労の組織をも巻き込んで、「連合」(日本労働組合総連合会)の結成(1989年)へとつながっていきます。
一方、この動きを、労使一体化による賃上げ自粛や人減らし「合理化」容認の特定の運動路線を容認する組合だけを結集する「労働戦線の右翼的再編」と批判する勢力は、1989年、「全労連」(全国労働組合総連合)を結成して、「資本からの独立」「政党からの独立」「共通の要求での行動の統一」を原則とする運動をすすめてきています。
「数は力」はひとつの真理でしょうが、どちらに向かう力かも、問われなくてはならないでしょう。
前掲の大原社研「日本労働年鑑」その1988年版をもう少し引用します。
「連合」発足は、当然のことながら、政界・財界・労働界などで大きな反響をまきおこした。ここでは、その一部を紹介しておこう。
竹下登首相=「与党たる自民党が“連合”にすり寄るのではなく、堂々と抱擁してお付き合い願いたい」(一一月一九日の同盟解散記念レセプションでのあいさつ。『毎日新聞』一一月二〇日付)。「良かった。万歳という意味で快哉(かいさい)だ」(『朝日新聞』一一月二一日付)。
安倍自民党幹事長談話=「日本の労働運動にとって画期的なできごとだ。大いに歓迎し、ここに至るまでの努力に敬意を表する」(『読売新聞』一一月二一日付)。
(中略)
鈴木永二日経連会長=「かねてから、健全な労使関係の発展を願っているわれわれとしては、心から『連合』の誕生をお祝いしたい。いうまでもなく、わが国の労使関係は、企業別の労使関係にその基礎をおいており、その事実には今後とも変化はありえないと思われる。しかし、急激な国際化の進展や産業構造の変化等により、労使が直面する課題の中には、企業レベルでは解決しにくい問題が増えていることにも注目しなければならない。日経連は従来も、全民労協をはじめ主
要な労働団体とさまざまな問題について率直な意見交換を重ねてきた。新たに誕生する「連合」とは勤労者全般に関わる重要な政策課題を中心に、これまで以上に意思疎通、相互理解を深め、考え方の一致する問題についてはその解決に努力を惜しまぬ所存である」(『週刊労働ニュース』八七年一一月二七日付)。
(中略)
統一労組懇の声明=「全民労協は大企業本位の自民党反動政治を基本的に支持し、発足以来、反労働者的反国民的役割を事実を通して鮮明にしてきた。いま総評・地評地区労もこの路線に追随して自らを解体しようとしている。いま、わが国の労働運動では大きく『二つの潮流』が鮮明になっている。一つは、統一労組懇を『根城』とし労働者・国民全体の利益擁護を追求し大切にする階級的潮流であり、一つは連合に集結して労組の名で米日反動支配勢力全体の利益擁護を進める右翼的潮流である。労働者・国民の側に立ってその切実な要求実現のために奮闘している階級的潮流にこそ未来がある。労働者・国民の期待と信頼に応えて要求を前進させるためには、統一労組懇の運動と体制強化を一層図りつつ、「共同」行動を広げ、反動勢力と真っ向から対決した闘うナショナル・センターの確立を着実になしとげるために全力をあげることがますます重要となっている」(同前)。
労研センターのアピール=「政府・自民党、財界の盛大な拍手の中で発足した連合は、労使協調、反共主義、国際自由労連一括加盟の路線を明らかにして、自ら独占資本のよきパートナーであることを明らかにした。政府・自民党の強権的行革攻撃と闘う官公労働者はもちろん、独占の苛酷な収奪にあえぐ膨大な数の中小・下請関連企業で働く労働者や未組織の仲間が、『連合』を信頼し、期待を寄せることはないであろう。総評が『連合』を容認し、これを母体に『全的統一』
を夢想し、一九九〇年に自ら解散することを決めたことは重大な誤りであり、社会党がいち早く『連合』支持を決めて党の基本政策の見直しに着手したことは決定的な誤りだと指摘しないわけにはいかない。『連合』に反対する全国の同志に対して、総評の解体に反対し、県評・地区労運動を守り、その戦闘的再生・強化
に全力をあげることを心から呼びかける。『八八春闘懇談会』が連合に反対する闘う労働者の全国的結集の場として前進するよう全面的に支持する。また政府・独占の総評解体攻撃の中心環となっている国労と日教組を支援し守ることは、闘う労働戦線構築の緊急の課題である」(同前)。
誰が歓迎し、誰が警鐘を鳴らしたかを、改めて思い起こしておきたいものです。
さて、今年の今日12月14日は、総選挙。女性アイドルグループの「総選挙」よりも切実に、国民の関心を集めたでしょうか?
いやいや、私達国民が関心を寄せたか否かに関わらず、自民党が単独で「絶対安定多数」を獲得した事実は、 重いと言わなければなりません。安倍路線にさらにアクセルが加えられる懸念はぬぐえません。
で
も、投票率はわずかに52パーセント。そのうち、自民党の得票率はわずかに4割に過ぎません。特に、沖縄では全選挙区で自民党公認候補が敗退するなど、知
事選挙に引き続いて安倍路線にノーが突きつけられました。アベ政権が全面信託を得たと強弁して、思うがままに「この道」を推し進められると思ったら、大間
違いでしょう。
さて、今日の鳥は、エナガ。
強風波浪注意報も出て、冷たい強風のなか、自然環境体験公園(玉野市)を歩いていると、エナガの群れが近くまで飛んできて、しばらく遊んでくれました。
いつもながら、すばしっこい動きですが、いつになく多彩な姿が写せましたので、喜んでアップさせていただきます。
まずは、OLYMPUS PEN Lite E-PL5+ZUIKO DIGITAL ED 70-300mm F4.0-5.6。フォーサーズ→マイクロフォーサーズアダプターを使用しています。測距速度が遅くなりますが、それを我慢すれば、ほぼ満足な写りです。
期待以上に近寄ってくれるので、シャッターチャンスを重視して、カメラを交換してみました。
駐車場に駐めた自動車に置いていたバッグの中から、PENTAXK5Ⅱ k10+TAMRON AF18-250mm を撮りだして、もう一度さっきの現場に戻ってみましたが、もはや姿を消していました。がっかりしながら、もう一度公園内をぶらりと歩いていますと、またまた近くの木枝にエナガの群れが飛んできました。
ぬいぐるみのような、ふわふわの姿が可愛いです。
ほかの鳥については、回を改めてご紹介する予定です。