あるバラード 第二章 (1) 木下透 [木下透の作品]
このカテゴリーの文章は、おおむね、私自身の回想に関わるので、常体(だ・である調)で書くことにする。
木下透は、私の高校時代の筆名である。彼の作品を紹介するのが、趣旨である。未熟さは、その年齢のなせる業なので、寛容な目で見てやっていただきたい。
詩「あるバラード」の続きである。第二章は、(1)~(3)まであるが、今回は(1)回想 を掲載する。
あるバラード 木下透
第二章
(1)回想
ああ俺はどれだけ歩いて来たろう。
俺が歩き始めたのは 確か 柔らかい陽射しが
小さな生命をはぐくみ、
あらゆる物質が目覚め 行動を開始した
そんな春の朝だったようだ。
甘くほのかに漂うエーテルに
俺は そこはかとないなつかしさをおぼえ
しばし子供っぽい涙を流したものだった。
しかし いつまでも そんな感傷にふけってばかりはいられなかった。
すぐそこに、全力で立ち向かわなければならない障壁が俺を待ち構えていたのだった。
それはなんと物憂い季節だったろう。
俺の肉体はすっかりかびてしまい
あらゆる気力を失っていた。
そして 宿命的な 懐疑の芽ばえ。
--------俺は一体-------何故に----------。
ああ 虚無。虚偽-------逃避---------。
-------快楽-------官能---------。
-------------------そして 退廃----------。
--------そうしたうつろな単語が
混乱した俺の意識をかけ巡り
疲れ果てた俺の大脳を
いやが上にも打ちのめすのだった。
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