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年金裁判第2回公判傍聴雑感、の巻 [時事]

一昨日の9月20日(火)は、◇子どもが登校した後で警報を出されても困るわけよ、の巻の記事にも書きましたように、台風16号の影響で大雨警報が出されるあいにくのお天気でした。幸い孫たちは、学校待機で通常通りの授業ということになりましたので、私は当初の予定通り、「年金訴訟」の傍聴に岡山地方裁判所に向かいました。7月4日に開かれた公判(◇年金訴訟と朝日訴訟についてのおもいつくままの記事参照)に続いて、この日が第2回目になります。

9月20日付の地元紙「山陽新聞」(web版)が「『マクロ経済スライドは違憲』 岡山地裁へ県内年金受給者が提訴」という見出しで記事を載せていますので、引用させていただきます。

 物価や賃金の上昇幅より年金給付の伸びを低く抑える「マクロ経済スライド」の適用は実質的な年金減額に当たり、生存権を定めた憲法に反するとして、岡山県内の年金受給者203人が20日、国に1人千円の損害賠償を求める訴訟を岡山地裁に起 こした。マクロ経済スライドを巡る違憲訴訟の提起は全国で3カ所目。
 訴状によると、マクロ経済スライドは2015年4月に初めて適用され、過去3年度分の賃金の伸び率が2・3%だったのに、給付額は0・9%増に抑えられた。さらに、政府が14年に実施した財政検証は、マクロ経済スライドの適用で国民年金部分の削減率は43年度には29・3%になると試算している―と指摘。「健康で文化的な最低限度の生活」を定める憲法25条などに違反するとしている。
 岡山地裁では、物価が下がっても年給支給額を減額しないという特例の解消に対する訴訟も起こされており、原告側は両訴訟の併合審理を求めていく。提訴後の会見で岡山弁護団の古謝愛彦弁護士は「高齢者の生活を支える年金制度の意義を、訴訟を通じて社会に訴え、より良い制度づくりにつなげたい」と話した。

 厚生労働省年金局事業管理課は「マクロ経済スライドは法律にのっとった仕組みで適法。裁判で正当性を訴えていく」としている。




また、毎日新聞2016年9月21日 地方版でも、こうありました。
 年金の給付額の伸び幅を物価や賃金の上昇より抑える「マクロ経済スライ ド」の仕組みを適用したのは年金の実質的な減額となり、生存権を定めた憲法に反しているとして、県内の受給者約200人が20日、国に損害賠償を求める訴 訟を岡山地裁に起こした。原告1人当たり1000円の慰謝料を求めている。同様の訴訟は大阪、岐阜両地裁にも起こされているという。
 訴状などによると、マクロ経済スライドは2004年の年金制度改革で導入が決まり、昨年6月の支給分から初めて適用された。昨年度の年金給付額は、物価 指数などを基準にする「物価スライド制」によると2・3%増額されるはずが、0・9%増に抑えられ、「年金の価値の維持の放棄」などと指摘している。

 また、13年10月以降の減額について、差額の給付を求めて既に起こされた訴訟と併せて審理することも求めた。【林田奈々】

前回始まった公判では、2013年10月の年金減額を不当として争っているのですが、今回新たに、2015年4月に初適用されたマクロ経済スライドを違憲・違法として追加提訴に踏みきり(第二次訴訟)、二つの事案を併合して審理するよう求めています。

激しい雨風のなか裁判所のロビーを目指すと、県北の新見市、津山市と言った遠方の方を含め、次々とお集まりでした。久しぶりにお目にかかる方もおられますし、先日の学習会でお目にかかった方にもお会いし、「連日ご苦労さん」などと声をかけられます。新採用の頃に職場が近くでお世話になった先輩や、また別の職場でご一緒させていただいた先輩など、懐かしい顔もたくさん見えます。
現役時代お手本にして背中を仰いできた方々は、シルバーになっても、なおまだお手本です。そのことは、何の不思議もありませんが、いたく感慨を覚えます。
入廷に当たって、世間へのアピールのために裁判所の周縁道路を、横断幕を掲げてわずかな距離行進するのがならわしです。あの激しい雨風が収まって、うっすらと日差しがのぞくほどの瞬間がありました。これ幸いにと、当初の予定通り、入廷行進をおこなって、法廷に入ります。傍聴席は、今回も満杯です。

14時30分に予定通り始まった「口頭弁論」は、書面の確認や、新しい提訴の扱い、今後の日程など、もっぱら実務的やりとりに終始し、十分ほどの短時間で終わりました。
その後会場を移して「報告集会」が開かれました。

弁護団からの報告を聞いて、もっとも印象に残ったのは、原告側が求めた釈明に対して被告・国側の用意した準備書面が、実に不誠実な答えに終始していることでした。
二つだけ例示します。

その1
改正法の制定にあたり、「年金生活者の生活水準、生活実態、特例水準解消を理由に年金額を低下させることによる」具体的な「不利益の程度・内容」を取り上げて検討を行った記録は存在しない。

何が起ころうと知ったことではない、やりたいようにやるだけさ、というわけですな。

その2
 現時点において積立金が存在することを根拠に現在の年金受給者の年金額を減額しなかったとしても、将来世代の給付水準は下がらないなどと言った想定は、見通しの甘い非現実的な想定である。

あんたに言われたくないよ、という話です。庶民の虎の子の積立金を、リスクの高い国内外の株に投じて、5兆円もスッちゃったのは、さぞや見通しのきく、現実的な、家族泣かせの極道ギャンブラーではないですか。

問題は、ことあるごとに「将来世代」を引き合いに出して、世代間の対立をあおるいつもの手法。そんなに将来世代が気になるなら、安心して「老後」を迎えられる年金制度の確立に心血を注ぐべきでしょう。

「報告集会」で、記者さんの質問に答えて、弁護団から、一次訴訟と二次訴訟の関連、二次訴訟の意義について強調されていました(必ずしも記事には反映していないようですが)。

第二次訴訟の「マクロスライドは憲法違反」という点こそ、この訴訟の眼目。ただ、一次訴訟の段階では、まだ、マクロスライドが未実施だったので、物価低下を口実とする年金額引き下げの是非を争点としたとの由です。一人千円の国家賠償訴訟としたわけは、賠償金額が大きいと印紙代がかさむ(笑)ので、裁判所に違憲判断を迫ることにこそ意義がある。また、国賠訴訟にしたのは、手続きが簡便なため。大いに納得できました。

今日も雨。散歩に出ようかと準備している頃、七ヶ月の女の子を小3生が、傘を差してつれて来ました。長靴をはいて歩きたいのを、サポートして歩いてきてくれたらしいです。

きょうは、予定を変えて、熱帯魚水槽の清掃、ペットショップで新しくチェリーバルブ(小3の兄の選択)、ベタ(5才の保育園児の選択)を買ってきて.水槽に入れました。今日の写真は先日のストック写真です。

和気町自然保護センター、「虫の原っぱ」のばった、







また迷う、キアゲハ?ナミアゲハ?



















ニラの花に止まるツマグロヒョウモン♀











これなあに?地面に落ちて、蟻がたかっていました。



ヒメジャノメ。















今日はこれにて。
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コメント 10

hatumi30331

年金生活、厳しいよね〜
何とか生きて行けて・・・・
楽しい日々・・・・
目指してます。^^

蝶チョたち、まだ元気やね〜
でも飛び方が少しゆるくなってきて・・・
私にも撮れる季節になって来ました。へへ;
by hatumi30331 (2016-09-23 08:18) 

馬爺

確かに現役時代と違って半分に成りましたからね。
ですから何事にも始末する羽目になっています。
ま~~食えればいいかと思っております。
by 馬爺 (2016-09-23 09:12) 

majyo

年金は若者世代と我々世代を断絶させています
本来、きちんとした給付が出来るようにするのが国ですが
バクチに使ったりしいます。国民の根幹にかかわる事を
約束通り出来ないのは、誰が悪いのでしょうね
チョウチョが本当にきれいです
by majyo (2016-09-23 10:53) 

kazg

hatumi30331様
悠々自適を夢見ていましたがとんでもないですね。基礎年金(国民年金)だけのひとはもっと悲痛ですし、マクロ経済スライドは、この基礎年金をより大幅に切り下げる仕組みだそうで、弱い者いじめの極みですね。
チョウチョ。たくさん出てきて、きれいです。
by kazg (2016-09-23 17:49) 

kazg

馬爺様
100円ショップと古本屋に足が向くようになりました。それで真財布のひもは固いです。
これではデフレ脱却は難しいと思います。
年金に、思い切って国家財政を注ぎ込むことで、「デフレマインド」は大いに緩和され、購買力向上に大きく貢献するはずですが、政権担当者は気づかないのですかねえ。


by kazg (2016-09-23 18:37) 

kazg

majyo 様
高齢者が生きにくい社会が、若者に暮らしやすいはずはないのですが、弱者同士角つきあわせていることが都合の良いせいりょくがあるということですかね。
チョウチョ、自然の造形の見事さを感じずにはいられません。。
by kazg (2016-09-23 19:12) 

えんや

貧者と弱者には金を使わない、、、我が国の政治の基本とでも言うんでしょうか?
私は年金受給者、年金は減るが天引きの介護保険、国民健康保険は高くなる、、、年々です、、、。
こんな政権、だれがした!!!
by えんや (2016-09-23 20:36) 

kazg

えんや様
今日より明日、明日より明後日が、どんどんひどくなっていくような時代、これまであったでしょうか?制度的民主主義が存在しているはずで、国民が自らの意志で政治を動かせるはずの社会で、、、。
by kazg (2016-09-23 23:16) 

momotaro

一人千円の国家賠償訴訟 ?と思っていましたが、同じく大いに納得できました。
素晴らしい昆虫図鑑ですね。孫に見せてやりたいけれど、またまたスマホに興味を持っちゃう?どうしようかな・・・
by momotaro (2016-09-25 06:53) 

kazg

momotaro様
形は「国家賠償」ですが、目指すは「政策形成」だそうです。
勝訴した場合、千円の賠償は原告のみに支払われますが、誤った政策をただした結果としてのメリットは全年金受給者(および将来の受給者)が享受するということになる、という考え方ですね。
「昆虫図鑑」、写真と名前が一致しない、、かも知れない、、のがモンダイです(汗)。
by kazg (2016-09-25 17:20) 

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