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諸事多端、の巻 [折々散歩]

孫たちの夏休みは、ジジババにとってはそれなりに忙しいです。年は重ねても、夏休みは忙しいです。幼少時ほど、みっちり託児所業務に携わる必要はなくなりましたが、小学生は夏休みの宿題を持って我が家に滞在しますし、中高生にも、昼ご飯を提供すべき日も多いですので。


それとは別に、退職者の身には、平日休日の別なく「貧乏暇なし」を痛感することが多く、とくにこのところなぜだか忙しく、スケジュール帳をめくるとこんな有様。


7月27日 年金者組合県本部定期大会
28日 教育相談ボランティア当番
29日 コロナワクチン2回目接種
30日 教育相談スタッフ研修会
8月3日 年金者組合地元支部の定期総会。これにあわせて会計処理とか、活動経過のまとめとか、なかなか手間暇と気疲れを伴う作業が必要で、かなり消耗しました。
7日 年金裁判原告団会議 岡山地裁での国言いなりの不当判決を受けて、高裁への控訴を決定した原告団・弁護団と支援者の意思統一の集会。五人の弁護士が、それぞれの立場から裁判の意義・争点を解明。並々ならぬ知的刺激 を受けました。
8日 さらぬ会議


(注)古語辞典より


さら-ぬ 【然らぬ】

①そうでない。それ以外の。そのほかの。

②たいしたことではない。なんでもない。


さら-ぬ 【避らぬ】

避けられない。



9日 地元「九条の会」の「九の日行動」


退職同業者の会の「会報」に、あらまし次のような記事を寄稿する予定です。またまたおなじみのフライングですが---


地元「九条の会」は、毎月9日に、スタンディングアピールなどを中心に「9の日行動」を実施していますが、長崎被爆76年に当たる今年の8月9日、地元「集会場」で、憲法をテーマとした学習会を行いました。
学習会に先立って、世話役のQ男さんのギター伴奏で、うたごえを楽しみました。曲目は「青い空は」、「あの日の授業~新しい憲法のはなし~」など、よく知られた作品に加えて、世に出たばかりの新曲「旅の道標(みちしるべ)」を合唱。

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これは、同「9条の会」のメンバーの一人である本田ゆみこさんが最近出版された「読む絵本 旅の道標」に収められた作品で、本田さんの原詩・原曲を音楽家の八木たかしさんが補作したもの。

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「読む絵本 旅の道標」は、本田さんの詩に、お嬢さんのFさんが描く淡く美しいイラストの数々が添えられ、それらが優しいハーモニーを奏でる珠玉の詩画集です。

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メインの学習会は、地元在住の先輩高校退職教師Aさんを講師に、「自己責任論と憲法」というテーマで、学習と意見交換を行いました。「新自由主義のキーワード」としての「自己責任論」は「国家による洗脳」の現代版、との指摘は鋭く胸に響きました。   
講義レジュメの一部を紹介させていただきます。


はじめに
国家権力が全国民を巻き込む謀略的な政策を強行しようとするとき 最も有効な手段の一つは国家による洗脳だと思います。
無謀な侵略戦争は 治安維持法(死刑法)の下で皇国史観・大東亜共栄圏論をもとにすべての国民を洗脳(マインドコントロール)することによって遂行されたことは歴史が証明しています。
この国民的洗脳を徹底するために、国家権力が手をつけるのが教育です。 教育勅語を根幹に据えた小学1年生からの軍国主義教育がそれでした。私たち小国民はこの恐ろしい歴史的事実を決して忘れることはできません。そういう立場から、自己責任論の始まりからコロナ禍の深刻化した現在までの事態の経過を見る時、新自由主義の キーワードとしての自己責任論は、「国家による洗脳」の現代版だと考えます。
1自己責任論を教育分野の基本に
日本における新自由主義は1980年代に始まりました。新自由主義の特徴は 簡単に言えば経済のグローバル化、規制緩和、自由選択、受益者負担などによって国家の責任を縮小し、市場原理に任せて失敗も成功も最終的には個人に責任を負わせるところにあります。 この個人の責任の正当性を広範な国民に浸透させることが政策の不可欠の条件であることから、自己責任論を教育の分野の柱の一つに据えたのです。それを教育改革の名のもとに進めたことを 注意したいと思います。
(1)    臨時教育審議会答申自己責任論明記
1985年、日本経済調査協議会 (経済4団体協賛で運営)は「21世紀に向けた教育を考える」 と題する報告書を発表します。提言の形をとりますが 自由主義政策推進のための、財界の教育に対する要求と言ってよいでしょう。
それを受けてと言って良いと思います。1987年、臨時教育審議会は答申を発表しました。
「今次教育改革において最も重要なことは、これまでの我が国の根深い病弊である画一性・硬直性・閉鎖性を打破して個人の尊厳、個性の尊重、自由・自立、自己責任の原則、すなわち「個性重視」の 原則を確立することである。この「個性重視の原則」に照らして、教育の内容、方法、制度、政策など教育の全分野について抜本的に見直していかなければならない  。  
以上が答申の中心部分ですが、特に注目しなければならないことがあります。
第一に画一性、硬直性、閉鎖性を打破して、個人の尊厳、個性の尊重、自給。自立、自己責任の原則、すなわち地など三つの事柄を「根深い病弊」として全否定したこと。
第二に、ことさらに憲法24条の個人の尊厳を持ち出し、それとかかわらせて「自己責任の原則」を明記したこと。
第三に、第二の 規定を「個性重視の原則」なるものに一くくりにし、教育の抜本的見直しを求めていること。
前述したように新自由主義の推進による最終的責任は個人にあるという論理を、「自己責任の原則」として教育の基本に据えることを求めたものであることが本質です。

(2) 学習指導要領の改定-方針の具体化 -
1989年学習指導要領が改訂されました。方針を具体化し教育現場での実践を義務付けるものです。特に注目されるのは「新しい学力観」という考え方を示したことです。教科学習の評価に「 意欲・関心、態度」を加え、教科内容の知識理解より重要な観点としたことです。
この観点は、分からないのはその子の個性で、自己責任であるとする見解とつながるもので、すべての子どもたちに基礎的学力をという共通の課題だったものを画一性・硬直性として否定し、競争の激化と学力の格差をいっそう拡大する措置です。やがて、「勝ち組」と「負け組」が流行語となり、一握りの「勝ち組」と大多数の「負け組」を生み出すことになります。学習内容だけでなく制度の改変を進めます。「選択の自由」に関わる者の一部だけをあげます。小中高一貫校の設置、学校間格差の承認、 通学区域の自由化などです。なかでも子育ての分野への自己責任論の導入は社会問題になりました。公的保育所の削減、統合・廃止・民間企業の参入・基準緩和など)は、保育からの公的責任を回避し、選択の自由の名によって個人に責任を負わせる制度の強行です。やがて”保育園落ちた、日本死ね”という母親の 痛烈な叫びを生みます。


この論考は、近年の索漠として救いの見えない教育状況に、悲嘆といらだちを覚えることが常となった私にとって、子ども・教師・父母たちの苦痛の根源を解き明かす上で、目からウロコの解明でした。


長く日照りが続いたこの夏でしたが、ここに来て天気の崩れとともに、長い激しい降雨が心配されるようです。「ほどほど」ということを、自然にばかり求めるのは身勝手というものでしょうかね?


これから先、何日も雨が続くようですが、晴れた朝散歩の景色を載せておきます。


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今日はここまで。


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コメント 6

gonntan

学習会の論考、素晴らしいですね。日田の9条の会の資料として使わせて貰っても良いでしょうか?
新自由主義経済は国民に過大な税負担を求めつつ、見返りの社会保障を国として負担しないこと、さらに企業が国家をまたいで活動しながら法人税を適切に負担しようとしないこと。この点がかなり問題だと思っています。
経済も天候もほどほどに、って切実に思いますね。
by gonntan (2021-08-12 21:25) 

kazg

gonntan様
お目に留まり、光栄です。
私自身、学ぶところ大でしたので、手書きのレジュメを、とり急ぎそのまま文書ファイル化しました。実はこれが全体の半分くらいで、つづきは追って仕上げていくつもりです。
さて、この論考の著作権は、筆者のAさん(ネット公開の性質上匿名化しています)にありますが、私の属する退職教職員の会の「会報」への掲載については快諾をいただいております。そのご意向を「拡大解釈」して、拙ブログで紹介させていただきましたが、その事情をご理解の上、日田9条の会で内部的にご利用くださることは歓迎、と考えます。ところでAさんは、91歳の高齢ですが。毎月の九の日行動には皆勤で参加され、折に触れて様々なテーマで学習会の講師を勤めてくださることなど、ブログ過去記事でも紹介したことがあります。

by kazg (2021-08-13 07:54) 

gonntan

勉強会内部資料として使わせて下さるとのこと、ありがたく感謝申し上げます。なかなか簡潔に物事を理解させうる資料ってないんですよね。重ねて感謝申し上げます。
by gonntan (2021-08-13 19:37) 

momotaro

九条の会、相変わらず、活動がしっかりしてますね!
by momotaro (2021-08-17 10:53) 

kazg

gonntan 様
執筆者のAさんは、91歳。ますます冴えていらっしゃいます。とてもまねできませんが、ぼちぼちついていこうと思っております。
by kazg (2021-08-17 20:19) 

kazg

momotaro様
身の丈相応に、とにかく続けていることに偉大を感じております。
by kazg (2021-08-17 20:20) 

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