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緋連雀ひとたびたって影見えず [獺祭魚]

このカテゴリーは、カワウソが捕らえた獲物を岩に並べて祭りをするという故事になぞらえて、 撮った獲物を並べてひとりたのしもうというコーナーです。

 こんな句がありました。

緋連雀一斉にたってもれもなし           阿波野青畝

阿波野青畝についてウィキペディアはこう解説しています。

阿波野青畝(あわの せいほ、1899年(明治32年)2月10日 - 1992年(平成4年)12月22日)は日本の俳人。本名は阿波野敏雄。昭和初期に、山口誓子、高野素十、水原秋桜子とともに名前の頭文字を取って『ホトトギス』の四Sと称された。

 

大野林火の「近代俳句の鑑賞と批評』(明治書院)はこの句を取り上げて、こう解説しています。

幼時耳を患い、耳の遠いことが青畝の抒情詩人に駆り立てている。俳句を始めた畝傍 中学5年のときの句に「虫の灯に読み昂りぬ耳しひ児」(大正6年)があり、虚子を感嘆せしめている。加うるに当時郡山中学に教鞭をとる主観尊重の原田浜人 の指導を受けていた。そのころのホトトギスは原月舟を中心にもっとも繊細な客観写生の試みられていたときである。少年 青 畝はその不満を虚子に訴えた。「御不平の御手紙拝見しました。浜人君からも似よった御手紙をもらいました。しかし私は写生を修練して置くといふことは、あ なたの芸術を大成する上に大事なことと考へます。今の俳句はすべて未完成で其内大成するものだと考へたら腹は立たないでせう。さう考へて暫く手段として写 生の錬磨を試みられたならあなたは他日成程と合点の行く時が来ると存じます。不取敢(とりあえず-引用者中)其れだけを御返事と致し置きます。」が虚子の返事である。写生という、大きな、緩い、しかしながら強い 羈縛の許に、俳句会を率いてきたのが虚子である。大正八年九月のことである。この来書に青畝は大いに悟り、次第に写生を重んじ、謙虚に自然に接し、以後、その考えは揺ぐことがない。

森田峠によると、七月三日中学を卒えた青畝は半年ほど京都で下宿生活をしていた。そのころ、嵐山付近ではじめて緋連雀を見かけて、この句が出来たという。連雀は東部シベリア地方から秋季群をなして渡来する鳥、尾の先が黄色のものを黄連雀、赤いものを緋連雀という。体は葡萄色、翼と尾羽は黒色、小声でチリチリと鳴き、群をなして生活をする習性がある。

この句、その習性をとらえて彩色豊かな 一幅の日本画に仕立てている。眼前の賑やかな美しさは「一斉に立って」「もれもなし」で、すべては眼前から消え去ったのだ。一句の調子が張っている上に、 景を叙べて印象明瞭であるため、眼前の美しさと、瞬時消え去った空白感との落差が鮮やかに伝わる。作者の主観はそうしたところに息づいているのである。

今年は、二度の訪問で、続けて運良くヒレンジャクの姿を納めることができました。

が、この状態から一斉に飛び立って去っていったのが、今年の緋連雀の見納めだったかも知れません。

あれから何度か訪ねてみましたが、三度目の出会いは今のところありません。 

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コメント 2

doudesyo

お早うございます。
ヒレンジャクが見れているんですね。見納め?とのことですが、撮影出来て良かったですね。私の方では昨年初めて飛来してくれましたが、もうなかなか見ることは無いだろうなあと思っています。^^;
by doudesyo (2014-03-09 09:06) 

kazg

doudesyo 様
そうなんです。今年は、同じ公園で、2回見ることが出来ました。三度目に行ったら、会えませんでした。
お知り合いの方は、最近100羽ほどの群を見たと、写真を送ってくださいました。いるところにはいるんですね。
カケスも、友達が以前見たと言っていましたが。私は見たことがありません、うらやましいです。
by kazg (2014-03-09 21:45) 

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