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20年前のベトナム訪問記(3) [木下透の作品]

現在、新ブログ「ナードサークの四季vol.2」 をメインブログとして更新していますが、こちらの初代ブログも、時々更新しないと、希望しない広告がふんだんに表示されます(PC版の場合です。スマホ版は常に広告が表示されているらしい)ので、それを避けるため、時折更新を続けています。

20年ほど前に体験したベトナム訪問旅行での撮影写真と、記録文をもとに、当時作っていたプライベートホームページのdataから、少しずつ小分けにして.再掲しています。今回は(その3)です


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2.韓国からベトナムへ

韓国仁川を経由して
 8月7日正午過ぎの便。岡山空港発は魅力です。ただ、そのための制約とは言え、韓国仁川空港周辺での半日の時間調整は、正直余分でした。が、私にとっては、ベトナムも韓国もはじめての地。しかも、いずれも、平和・自由・民主主義という主題に関連して、関心を向けざるを得なかった土地でした。
 「共産主義の脅威から自由陣営をまもる」というアメリカ流の「大義」のもと、「大国とは衝突を避けて小さな社会主義国・民族解放運動を各戸撃破する」「アジア人をしてアジア人と戦わしめる」という戦略に基づいて、最大の前線基地の役目を担わされたのが日本だとすれば、実際に流血の戦場に兵士を送り込んだのが韓国でした。
 分断国家の不幸を担いながら、しかも、他民族に対する侵略戦争に全面加担していくという、二重の不幸。そして、侵略政策を強引に遂行するために、歴代軍事独裁政権が繰り返した乱暴な人権抑圧・迫害の数々。「金大中氏拉致事件」「徐勝・徐俊植氏兄弟投獄・拷問問題」「詩人金芝河の受難」など、パクチョンヒ時代の暴政の数々は、いずれも30年前のホットニュースでした。
金芝河詩集

金芝河詩集

  • 作者: 姜舜
  • 出版社/メーカー: 青木書店
  • メディア: 単行本
わが魂を解き放せ (1975年) (国民文庫―現代の教養)

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  • 出版社/メーカー: 大月書店
  • 発売日: 2023/08/18
  • メディア: 文庫
 このようなもとで、いかに人間の尊厳と矜持を守りぬけるかという自問は、「平和な日本」の青年であった私たちの、「負い目」の自覚を帯びた問いでもありました。「実際の肉体的な暴力・迫害に耐え抜く勇気は、あるいは私にはないかもしれない。しかし、そのような極限の事態が将来生じないように、いまの条件のもとで、必要な声をあげ行動するくらいの勇気は、私にもあるつもりだ」という趣旨の早乙女勝元氏の言葉(ベトナム戦争の話題か、それとも、アウシュビッツの話題か、あるいは、多喜二虐殺に象徴される戦時下の日本の話題だったでしょうか、確かには覚えていませんが)なども、当時共感的に心に刻んだものでした。
 いま、幾たびかの転変を経て韓国の軍事独裁政治は基本的に終わりを告げ、かの金大中氏が大統領に就いていることにも、昔日の感を覚えますが、この地からベトナムへの直行便が友好的に運行されていることも、また、感慨深い限りです。
 空港の、行き先掲示に、英語、ハングルのほかに、「周志明」と漢字表記がなされているのも、何か新鮮で愉快な発見でした。ホーチミン(周志明)市までは、五時間半のフライト。窮屈な旅ではありました。  

 

ホーチミン市に着く
 ホーチミン市タンソンニャット空港に着いたのは現地時間の23時(日本時間で翌8日午前1時)過ぎ。ホテル着、チェックイン終了までに約一時間。初日からなかなかハードな旅の始まりでした。
 「石炭をばはや積み果てつ。」と書き始められる『舞姫』(森鴎外)を、夏休み前、三年の現代文の授業で読んできたところです。主人公太田豊太郎が、追憶にふけりながら旅の船の客室の夜を迎えた「セイゴンの港」が、このサイゴンなのだ、と感慨は深いのですが、いかんせん夜中のこと、ゆっくりと味わういとまもないまま、その夜は同室のS先生とともに、白河夜船とあいなったのでした。
 
舞姫(新潮文庫)

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  • 作者: 川端康成
  • 出版社/メーカー: 新潮社
  • 発売日: 2013/06/14
  • メディア: Kindle版
つづく

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