ビクトルハラをカーラジオで聞くの巻 [あれやこれやの知ったか話]
仕事上の都合で、音声を録音して、人に聞いてもらう必要が生じました。
機器が進化した現代、録音にはどんな方法があるでしょうか?デジタル方式のレコーダーも各種あるようですが、わたしはカセットテープレコーダーが便利だったと思います。
というのは、原始的と言えますが頭出しも簡便ですし、「頭」に限らず、聞き始めたいところを確実に探し出せることもアドバンテージだと思います。ほかの機器だって可能なのかも知れませんが、今は亡きMDにしても、フラッシュメモリタイプのICレコーダーにしても私には、ストレスが大きい印象だけがあって、使いこなさないまま時代に取り残されています。
思えば、オープンリールタイプの録音機で、基礎英語を録音した辺りから始まったテープレコーダーとのつきあいは、据え置き型のテープデッキ、スピーカーと一体型のラジカセ、さらにCDラジカセ、ウォークマンタイプのカセットレコーダー・プレーヤーetc.には、長らくお世話になりました。
ところが、巡り合わせが悪かったのか、一台はすぐ壊れ、買い換えたもう一台は内蔵マイクによる録音性能が低くて、使いものにならず、悔しい思いをした末に、結局、昔の価格設定と大差のない国産品を買い求める羽目になりました。以前所持していた外部マイクは、どこかへ見失ってしまいましたので、ついでにPCマイクというものを、ネット購入しました。昨年のことです。
それ以来、実際に使用する機会がないまま置いてあったものを、今日使ってみようと取りだして見ましたが、残念ながらマイクが用をなしません。苦肉の策で、ヘッドフォンをマイク端子に接続して音声を吹き込んでみますと、録音できるにはできましたが、あまりにもボリュームレベルが低すぎます。というわけで、録音用のマイクを買いに、午前中、車を電気店に走らせました。
聞くともなくカーラジオを聞いておりますと、「チリ」「ビクトルハラ」「フォルクローレ」などの言葉が聞こえてきました。
NHKラジオの『すっぴん』という番組です。
退職後、わたしは、パートのお仕事のために一時間前後をかけて車で通勤していますが、その間、たいてい、ラジオから流れてくるこの番組を聞きながら出勤しています。日によって勤務時間が不定期ですので、藤井彩子アナウンサーと曜日ごとのパーソナリティのおしゃべりを部分的に聞くだけですが、水曜日の今日のパーソナリティーはロッカーのダイアモンド☆ユカイさん。
そして、音楽家の大友良英さんが、ミュージックセレクターとして出演され、「大友良英が大好きで大好きでたまらない、男性ヴォーカリスト特集」と題して、お気に入りの楽曲を紹介するというコーナーが、ちょうど聞こえていたのでした。
紹介された曲は、
『アマンダの想い出』(ビクトル・ハラ)
『耕す者への祈り』(ビクトル・ハラ)
『平和に生きる権利』(ビクトル・ハラ)。
40年以上も前の音源による、ハラ本人の、若々しく伸びやかな、息づかいを感じる歌声に、改めて胸を揺さぶられる思いで、耳を傾け続けた私でした。
私達よりわずかに若い世代に属する大友さんや、ダイアモンド☆ユカイさんが、その音楽性の故にビクトル・ハラに引かれ、また、それを通してハラの人生とチリの悲劇を知り、そこに共感的関心を示しておられることに、感慨を覚えつつ、電気店に到着してもしばらく、ラジオから離れることができませんでした。
以前、チリクーデターのメモリアルデイに当たる9月11日の記事で、わたしはこう書きました。
こちらは「耕す者への祈り」です。
私が覚えている日本語訳とは少し違いますが、こんな歌詞です。
「♪起き上がれ そして山をごらん
川の流れを魂の風を
起き上がれ そして両手をごらん
育ちゆき 君の兄弟たちの手を握るために
共に行こう 血の絆に結ばれ
今日が明日に繋がっていくんだ
僕らを貧困へと支配するものから解放しよう
正義と平等の王国を我らのもとへ
共に行こう 血の絆に結ばれ
今も そして僕らの死のときも
アーメン!アーメン!」
最後に、チリクーデターにまつわる最もよく知られた民衆の歌「ベンセレモス」(我々は勝利する)の歌詞がここにありました。
- アーティスト:
- 出版社/メーカー: インディペンデントレーベル
- 発売日: 2008/07/15
- メディア: CD
電気店で買い求めたマイクは、無事に使用できました。
それを用いて吹き込んだのは、去年のこの記事ほか、何回か話題にした、吉野弘さんの詩「夕焼け」です。
朗読者は、kazg。まずまずのできです(自画自賛)。
というわけで、今日は散歩ができませんでした。
下は、一昨日の深山公園での写真です。
音声と映像、磁気記録で30年飯を食わせてもらいました(^^)ニコ
by johncomeback (2015-01-14 21:06)
johncomeback様
専門中の専門でいらっしゃったのですね。憧憬と羨望の分野です、、、。
by kazg (2015-01-14 23:04)