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栴檀の枝あたりまで溢水す   透 [木下透の作品]

このカテゴリーの文章は、おおむね、私自身の回想に関わるので、常体(だ・である調)で書くことにする。

木下透は、私の高校時代の筆名である。彼の作品を紹介するのが、趣旨である。未熟さは、その年齢のなせる業なので、寛容な目で見てやっていただきたい。


 栴檀の枝あたりまで溢水す  透

前にも書いたが、私の故郷は、岡山三大河川の一つ 吉井川の支流にあたる「吉野川」の流域にある。三大河川の中でも、治水が遅れているとの指摘があるとおり、かつてはよく氾濫し、耕地や民家の流出・浸水被害がよくあった。

いつもは穏やかで優美とも言える川の流れが、突如として怒濤となって荒れ狂う姿は、被害を受けた方々には申し訳ないが、子供心に 一種の「小気味よさ」を覚えるものだった。堤から大きな網で掬えば、フナやナマズやハエといった雑魚が、大きなものから小さなものまで、バケツに一杯採れるという非日常も、気持ちを高揚させた。

学校帰りなど、川沿いに下校路をすすんでいると、みるみる水かさが増していき、茶色い水が渦巻きながら、一切合切を押し流していく。

炭俵ぼこりぼこりと流れゆく   透

芭蕉の句集の名にあやかったわけでもなく、実景を詠んだ。

川の匂いが一面に拡がり、鼻腔を満たす。胸一杯に吸い込むそれは、決して深いな匂いではない。

山土を 匂わせながら土砂崩れ  透

土砂崩れで、山の土があらわになった場所は、むせるような濃密な匂いが漂ってくる。山土の匂いに違いない。それは、「臭」の表記は当てはまらない「匂い」だった。自然の生命をはぐくむ故の、懐かしくかぐわしい「香り」「薫り」であった。


栴檀(センダン)は、オウチとも呼ぶ。樹勢強く、10m、以上の喬木となって枝葉を茂らせる。通行人に木陰を提供するために、全国各地の街道端や、農地の畦などに植えられていたという。

夏には青い実がなり、秋・冬にはそれが黄色く色づいて、小鳥たちに貴重な食糧を提供する。

私の毎日の散歩コースにも、何本も植えられていて、四季折々に装いを変える。

しょっちゅう写真に写しているはずだが、探してもすぐには見つからない。仕方がないので、今日の散歩で台風一過の姿を撮影してきた。

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「栴檀は双葉より芳し」と中国のことわざに言う香木の栴檀は、別種だそうだが、誤解に基づくにせよ、その名前自体に、芳香を放つ香木というイメージがそなわっている。この 句は、洪水による浸水で,岸辺の栴檀の枝までが川水に洗われたという実景を詠んだ。烈々たる水しぶきを浴びて、栴檀の枝葉全体が、あたり一面に芳香を放っ ている様を想像していただけるとありがたい。

夏に高知であった同窓会で、世話役の一人で、司会やお料理のお世話をしてくれたH女史は、奇しき縁で高校の同級生でもある。その時の会話で、その彼女が、私のこの句を覚えていてくれたのは、感激だった。ありがとう。旦那さんの手作りのおでん、とても美味しくいただきました。


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