SSブログ
<

山笑うか滴るか、の巻 [Nature]

「山笑う」は春の、「山滴る(したたる)」は夏の季語だそうです。清らかな緑が山を覆い、まるで水が滴っているように瑞々しい、という情景を指すようです。


今の時期、山の気配が日々移り変わっていく様子を、自動車運転中の窓越しに眺めやるたびに、写真に残したい思いが募ります。なかなかそのチャンスがないままに、新芽→ツボミ→花→蘂と移り変わる桜の装いも、それを包み込む山全体のパステルカラーの彩りも、今ではすっかり、「新緑」と呼ぶのが相応しいような風情に変容してきています。


夏の季語「山滴る」が、そろそろ当てはまりそうに思うのですが、お天気の方は、またまた寒さがぶり返し、適応に苦労します。すくすくと育っていた畑のジャガイモの芽も、4月になって霜にやられ、この何日かの追い打ちでまたまた無惨な霜焼けが高じています。ジャガイモは早晩復活するでしょうが、なすび、トマト、キューリ、カボチャなどの夏野菜能越家と苗の管理は、例年のことながら悩ましいことです。


昨日は、郷里の父母宅を訪ね、津山市へ同行する用事がありました。その間も、道沿いの山々や、吉井川沿いの山と谷の景色が、存分に目を楽しませてくれました。


桜の名所、津山城=鶴山公園も、遠くから眺めるに、もう桜は終わり、緑に覆われている様子でした。グルリとまわって、美作市内の行きつけのスーパーに立ち寄りましたが、そこでやっと周辺の景色を写すことができました。


R9045135


R9045139


手前の小高い土手のように見えるのは、JR姫新線の線路です。そして正面に連なる山々と、そこからのマイナスイオンを運んで吹きすぎる薫風に、のどかな地方線の旅を、ちょっと想像で味わっていただきたいものです。


実家の庭から見える、景色。空き家の甍(いらか)越しに、裏山の緑が眩しく輝いています。


R9045150


手前の絢爛たるお花畑と見えるのは、広角レンズのいたずらで、父母宅の庭に咲く丈低いシバザクラです。


R9045152


正面に見える「お屋敷」も、やはり空き家です。


R9045151


帰りに、久しぶりに、長福寺三重塔まで寄り道しました。


どうやらこの記事以来のようです。


緊急事態宣言発出、の巻(2020-04-07)


野山にも春の花々が次々と咲き競っているのですが、存分に愛で楽しむことが許されない子どもたちをかわいそうに思います。

久しぶりに郷里の畑仕事や草刈りに帰ってきました。野も山も、桜が満開状態です。

ソメイヨシノあり、ヤマザクラあり、見飽きることがありません。が、時節柄、不要不急の楽しみには肩身の狭い思いがつきまといます。

その帰り道に、これまた久しぶりに、長福寺三重の塔を見てきました。

s-IMGP9658.jpg

s-IMGP9648.jpg

s-IMGP9615.jpg

s-IMGP9611.jpg

s-IMGP9610.jpg


去年の春、およそ一週間ほど早い時期ですが、季節感ががらりと変わって見えますね。以下は今年の写真です。


長福寺の正門。



「山滴る」を感じます。




R0020874


甍越しに塔の先端と山の緑が調和しているように思います。


R0020875


足もとのツツジがきれいに剪定されて、色とりどりに咲いています。




花びらを散らしているヤマザクラとのコラボも、ベストマッチングでした。





ところで、木々を濡らし、塔を濡らしてしたたり落ちているのは、日の光もまた然りではあるまいかと、室生犀星の詩を思い出したりしています。


春露にしたたりやまぬ日の光(2014-04-22)


乳母車二台並べて桜道(2016-04-08)


いちめんのなのはな、の巻(2019-01-25)


「寂しき春」 室生犀星

したたり止まぬ日のひかり
うつうつまはる水ぐるま
あをぞらに
越後の山も見ゆるぞ
さびしいぞ
一日もの言はず
野にいでてあゆめば
菜種のはなは波をつくりて
いまははや
しんにさびしいぞ


「春愁」という言葉のとおり、これは春の詩にほかなりませんが、、、、、


今日はこれにて。


nice!(37)  コメント(4) 

nice! 37

コメント 4

gonntan

立派なお宅、立派なお寺ですね。
手入れも大変でしょうね。
by gonntan (2021-04-16 21:28) 

kazg

gonntan様
「立派なお寺」は、ある意味その通りかもしれませんね。田舎寺ながら、なかなか手入れが行き届いていることは好ましく思っています。
「立派なお宅」は、コンデジズームの超広角域(24㎜レンズ相当)撮影による錯視です(汗)近くの小さく狭い芝桜の小群落が、まるで広く立派な花畑のように写りますし、猫の額そのものの庭や貧相な庭木も立派な庭園みたいに見えてしまいます。遠近感が誇張されるゆえのマジックなのでしょうね。正面に見えるお隣さんは、田舎の旧家ですので、それなりの、農家特有の広さはありますが、よくある「○○家邸宅跡」みたいな規模ではありません。写真にしてみて、実際とあまりに違って見えたのが面白くて掲載させていただいた次第です、、、。ただ、「手入れが大変」なことだけはたしかで、ご当主がお若いころは、庭作業もご自分でなさっていましたが、高齢になってからは荒れがちでした。今はなくなられ、ご家族もたまに訪れる程度ですので、ますます荒れる一方です。こんなおうちが、近所にあちらこちらにあります。高齢化、過疎化の一断面ではありましょうか。



by kazg (2021-04-17 05:08) 

momotaro

「山笑う」から「山滴る」に、季節の変化は早いですね。
長福寺三重塔は存在感がありますね、紅が見事ですね。
by momotaro (2021-04-18 21:29) 

kazg

momotaro様
まったく、季節の変化には、置いていかれそうになります、、と思いきや、足踏み、ぶり返しもあって、きょうなどは、冬物が恋しく、灯油を補給してストーブを焚いたりしました。 長福寺三重塔、数年前改修して、鮮やかな丹色に彩色されたときは、けばけばしくて不釣り合いに感じたものですが、雨風に洗われて周囲の景観としっくりなじむようになりました。
by kazg (2021-04-19 04:45) 

コメントを書く

お名前:[必須]
URL:
コメント:
画像認証:
下の画像に表示されている文字を入力してください。

※ブログオーナーが承認したコメントのみ表示されます。

フォト蔵にアップしている私の写真はこちらです。

写真販売サイトにも画像を掲載しています。
写真素材 PIXTA


この広告は前回の更新から一定期間経過したブログに表示されています。更新すると自動で解除されます。